12月4日、横浜市立磯子小学校(横浜市磯子区・古沢昇一校長)に、射撃日本代表のパラリンピアン・田口亜希が訪問、体育館に集まった1年生から6年生の児童約530人に向け、障害やパラリンピックの歴史、自身の取り組んでいる射撃競技について講演した。
田口は、アテネ、北京、ロンドンのパラリンピックの射撃競技に3大会連続出場、アテネでは7位、北京で8位に入賞した。
豪華客船「飛鳥」のキャビンアテンダント(客室乗務員)として海上に勤務していた、25歳のとき、突然、激痛に見舞われ、脊椎損傷と同じ状態で両足が不自由となり、車椅子の生活を余儀なくされた。
リハビリ中の家族や友達の励まし、ライフルの先生との出会いがあり、射撃でパラリンピックを目指せるほど上達した。競技に取り組むようになって、先のことを考えることができるようになり、車椅子でも、目標や、夢を持つことができるということを、スポーツを通して知った、と言う。
競技で使う銃を見せることは、銃刀法のルールでできなかったが、パラリンピック・射撃競技の2種類の標的を、子どもたちに見せながら、競技について語った。
ライフルは、制限時間1時間のうちに60発を打ち、50m先の0.5mmの標的に当てる。パラリンピックでは、ほぼすべて当てなければ、上位に入れない。ものすごい緊張と、プレッシャーに耐え、集中力が要求される。それに、大変孤独な競技でもある。田口スマイルは時に、競技者の的をみつめる厳しさを漂わせていた。
そして、パラリンピックの歴史と夏季・冬季パラリンピック競技の数について説明し、YouTubeで公開されている、ロンドンパラリンピックの映像を上映すると、子供たちは釘付けになり「もう1回みたい!」という声がたくさん上がった。少し前に「射撃は子供たちに説明しにくい競技だから不安」と話していた田口だったが、パラリンピックの舞台を見せることで、5年後には東京にやってくる大会への子供たちの期待を膨らませることができたようだ。
最後に、アクセシビリティー(Accessibility)という言葉について解説し、車椅子用の駐車場・トイレ・点字ブロックなどが何のためにあるのかを、子供たちに理解しやすく話した。「知らずに健常者が使っていたら教えてあげてほしい」と伝えた。
そして、「2020年に皆は何歳になっているかな?」と問いかけ、東京パラリンピックでは、直接会場へ行って、見て、応援してほしいこと、毎日の生活を、家族や友達を大切にして、夢に向かって努力してほしいことを語り、子供たちと握手やハイタッチしながら別れた。