関連カテゴリ: 2020東京テストイベント, Tokyo 2020, ゴールボール, ジャパンパラ, トラック・フィールド, 取材者の視点, 夏季競技, 岐阜, 東京, 陸上 — 公開: 2019年7月24日 at 3:22 AM — 更新: 2021年5月29日 at 10:15 PM

走幅跳のスター、マルクス・レームが今年も8m超えジャンプ!ジャパンパラで観客を魅了

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男子走幅跳T64マルクス・レーム(ドイツ)。8m38のジャンプの瞬間 筆者撮影

世界が誇るジャンパーが、今年も観客を沸かせた。「2019ジャパンパラ陸上競技大会」の2日目が21日、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で行われ、走幅跳のマルクス・レームが8mを超える驚異のジャンプを見せた。

大会2日目は、トラック競技とフィールド競技あわせて338人がエントリー。雨で試合が一時中断になるも、懸念された終日の雨天は回避。12の日本新記録が新たに刻まれ、白熱したレースが繰り広げられた。

世界記録にせまる8m38

走幅跳では、世界記録を持つジャンパー、T64クラスのマルクス・レーム(ドイツ)に注目が集まった。昨年の2018ジャパンパラ陸上競技大会では、日本において世界記録を更新し、陸上ファンを魅了。現在、ヨーロッパ選手権でさらに更新した8m48の世界記録を保持し、走幅跳界のトップに君臨する。

序盤こそミスがあったが、6回目の最終跳躍で驚異の8m38を記録。自身の世界記録にあと10cmとせまり、レームのジャンプを一目見ようと集まった観客は大興奮。世界トップレベルの跳躍に、会場から割れんばかりの拍手が送られた。

試合後、観客にお辞儀をするマルクス・レーム。好きな日本食はカレーうどん 筆者撮影

強化のポイントはブレード

「一年ぶりの日本での試合を楽しみにしていた」と語るレーム。自身の強化のポイントは、競技用の義足「ブレード」だ。今年レームは、2013年から使用し慣れ親しんだスプリント重視のブレードから、ジャンプ専用の新しいものへとチェンジ。長年使用しているのは、スポーツ用義足で世界トップのシェアを誇るオズール社の義足。義肢装具士としての顔も持つレームは「走幅跳の選手がよりジャンプに専念できる義足があれば」というアイデアを持ち、開発や設計にも加わった。ブレードを変えたのは、ジャンプをより簡単に、ほかの選手にも使ってもらえるようにとの思いからだったという。

新ブレードを使用しての大会は2回目。「まだブレードとのフィーリングが100%に至っていない。来年に向けて残りの20%を上げていきたい」と、新たなブレードを味方にさらなる高みを目指す。

ジャパンパラのミックスゾーンで報道陣の取材に応えるマルクス・レーム(ドイツ) 筆者撮影

100mと走幅跳でWメダル

女子走幅跳は、T63クラスで、マルティナ・カイローニ(イタリア)が4m85で優勝。100mと共にこの種目の世界記録保持者が金メダルを獲得した。
試合後「自分の持つパフォーマンスができたと思う。日本の選手と再び東京パラリンピックで競技するのを楽しみにしている」と笑顔でコメントした。

女子走幅跳T63マルティナ・カイローニ(イタリア)の跳躍 写真・比嘉優樹

世界に近づく兎澤朋美

日本勢では、兎澤朋美が4m43と自己ベストまであと1cmに迫る健闘を見せた。
「自己ベストまでのあと1cmが悔しいですね。練習中では4m後半も出てきているので、5mも見えるんじゃないかなと思う」と手応えを語った。その先に見据えるのは世界だ。同じクラスのライバル、マルティナについて「昨年は全然届かない存在だったけど、今年は近づいてきている。ドバイの世界選手権をひとつの通過点として、記録をのばしていきたい」と意気込んだ。

女子走幅跳T63兎澤朋美の跳躍 写真・比嘉優樹

やり投げは、インド対策がカギ

やり投げでは、F46クラスで山崎晃裕が優勝。記録は57m55と、自身が持つ日本記録60m65には届かなかったが「いまの自分の技術と体力レベルで出せる悪くない数字」と納得の表情。冬から、助走から投てきまでのリズムやタイミングを強化し、練習を本番で活かせた。記録の伸びに重要なのは「助走スピードを、いかに投げにつなげるか」だという。「57mを一つの基準にしていたのでよかった」と安堵の表情を浮かべた。

男子やり投F46山崎晃裕の投擲 写真・比嘉優樹

この日欠場となった世界記録保持者、サンダー・シン(インド)との対決について聞かれると、「勝負できるのを楽しみにしていましたが、一番大事なのは、11月(の世界選手権)に勝って、東京を決めること。次回楽しみにしています」と期待を寄せる。

その世界選手権で勝利の鍵となりそうなのは、強豪のインド対策。詳しい手法は明らかにしなかったものの、「技術・体力・トレーニング、すべてインド勢に勝つために練習しています」と闘志を燃やす。個人としては「自己ベスト60mを更新することが第一。まずはこの付近を平均して飛ばすようになることが、勝つために大事な条件。自己ベストは時間の問題かなと思っています」と自信を滲ませた。

東京パラリンピックへの出場をかけた世界パラ陸上競技選手権大会は11月7日にドバイで開幕する。選手たちが最終レースへと走り出した。

<参考>
日本パラ陸上競技連盟サイト/リザルト
https://jaafd.org/results

ジャパンパラ陸上競技大会公式サイト(2日目の結果)
https://www.jsad.or.jp/japanpara/news/190721_001936.html

(校正・佐々木延江)

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