9月2日、東京パラリンピック5人制サッカー(ブラインドサッカー)準決勝の2試合、中国vsアルゼンチン戦、ブラジルvsモロッコ戦が行われ、それぞれアルゼンチン、ブラジルが決勝進出を決めた。
準決勝の第1試合は、グループリーグ3試合で5得点を奪ったアルゼンチンの15番マクシミリアーノ・エスピニージョが、サイドからカットインしてシュートという得意の形にもっていこうとするものの、中国の選手に阻止される。それならばと、4番ディフェンダーのフロイラン・パディージャがドリブルで持ち上がる、浮き球のパスを出してマキシミリアーノがゴール前で受けるなど多彩な攻撃を見せる。そして前半15分、中国のGKワン・ヂェン(王圳)がエリア外でボールを触ってしまい、アルゼンチンにPKが与えられる。しかしマキシミリアーノの強烈なPKは、自らが止めた。今度は前半残り2分となったところで、累積ファールにより第2PKがアルゼンチンに与えられる。通常のPKより2m長い8mのPKだ。マキシミリアーノが今度は決めて、アルゼンチンが先制。
後半開始早々にも、マキシミリアーノが右サイドからのドリブルシュートを決め追加点。2-0でアルゼンチンが勝利した。
この試合2得点のマキシミリアーノは大会通算7得点となった。カットインしてのシュート、一度フェイントを入れてからのシュート、ドリブルの勢いに乗ってのシュート、第2PK等々、多彩な得点パターンを見せつけている。決勝ではどんなゴールを見せてくれるだろうか?
また、マキシミリアーノは毎試合髪の色を変えることでも有名だ。この日は緑っぽい色であまり目立たなかったが、決勝ではどんな色を見せてくれるだろうか。こちらも目が離せない。
第2試合は1日降り続いた雨でピッチがとてもスリッピーな状態となり、繊細なドリブルを得意とする選手も多いブラジルにとって苦戦する要因ともなった。10番リカルジーニョも思うようにボールコントロールができない。通算4得点モロッコのズハイール・スニスラは虎視眈々とブラジルゴールを狙う。
スコアレスのまま後半7分を過ぎたところで、思わぬ形で得点が入った。ブラジルの7番ジェフィーニョが右サイドからゴール前にドリブルで侵入、その流れのなかからオウンゴール、ブラジルが先制した。そして試合はそのまま1-0で終了。決勝進出を決めた。
アルゼンチンはこれまでの9得点中7点がマキシミリアーノの得点なのに対し、ブラジルは6人が得点をあげている。選手層の差が影響してくるだろうか。決勝に向け、ブラジルのファビオ監督は「(長年ライバル同士の)ダービーで、とてもむずかしい試合になると思う」と語った。またアルゼンチンのデモンテ監督は「とても厳しい熾烈な試合になると思うが、アルゼンチンが勝つと確信している。そのために日本に来ました」と思いを語った。
2004年アテネパラリンピックで競技が採用されて以来、全ての大会で優勝しているブラインドサッカーのカナリア軍団に、こうもり軍団(ブラインドサッカーアルゼンチン代表の愛称)が挑む。決勝のキックオフは9月3日17時30分。
準決勝の前には7位決定戦、5位決定戦が行われた。
7位決定戦はタイがギッティコーン・パウディ、パンヤーウッ・クパンのゴールで3点リードするものの、フランスもカリファ・ユームが2得点を決めて追い上げる。しかし追撃及ばす、タイが3-2で勝ち、タイが7位、フランスは8位で大会を終えた。
5位決定戦は日本とスペインの対戦、日本のコーナーキックからの川村怜の浮き球のパスが落下して転がったところを黒田智成が直接蹴りこみ、1-0と日本が最終戦で勝利を飾った。目では見えなくても、川村と黒田のイメージのなかではシンクロし互いに見えていた、ブラインドサッカーの歴史に燦然と輝くような素晴らしいゴールだった。
試合結果
(校正 望月芳子)