「港北区民に希望と感動をありがとう」車いすバスケ古澤拓也が地元横浜で区民表彰を受賞

 去る9月5日に決勝戦が行われた東京パラリンピック車いすバスケットボールで銀メダルを獲得した日本代表の一人、古澤拓也(WOWOW/パラ神奈川SC)の「感謝会 兼 区民表彰授与式」が10月15日、地元横浜市港北区の区長、菊名北町町内会、古澤の母校に通う子供たちとともに、所属するパラ神奈川スポーツクラブの練習拠点の障害者スポーツ文化センター横浜ラポール(横浜市港北区、以下横浜ラポール)で行われた。
 古澤は、同区出身の25歳。U23日本代表キャプテンも務めた次世代のリーダーだ。スピードのあるチェアワークと正確なシュートが持ち味で、チームの銀メダルに貢献した。

東京パラリンピック最終日、銀メダルを獲得した古澤拓也(左)と鳥海蓮志(右)。二人はパラ神奈川SCでもともにプレーしている 写真・中村 Manto 真人

 野球少年だった古澤は、小6のとき、先天性二分脊椎症による脊髄空洞症の手術で車いすとなったが、北京パラリンピック(2008年)での国枝慎吾(車いすテニス)を見て憧れ、自宅に近い横浜ラポールで様々なスポーツを体験。車いすバスケに魅了され、「パラリンピックで金メダルを獲る」と、小学校の卒業文集に書いていた。
 「10代からU23(世界大会)に出場して、今回初出場のパラリンピックでも特別な緊張感はありませんでした。今大会で引退する先輩選手たちと家族同然で過ごしてきました。そのメンバーで形になるものを手に入れることができました!」と、古澤は東京大会での一番大切な思いについて語った。

凱旋のお祝い

東京パラリンピック最終日、車いすバスケットボール決勝戦、アメリカ優勝、日本銀メダルが決まったアリーナの様子。左端7番の古澤拓也 写真・中村 Manto 真人

 東京パラリンピックでの功績をたたえ、港北区長・鵜澤聡明氏から区民表彰状が授与され、古澤の地元菊名北町町内会からは、思い出の通学路でもあった菊名駅前と綱島街道の歩道橋に掲げられていた横断幕が古澤に手渡された。
 さらに、古澤の母校、市立菊名小学校と市立大綱中学校の子どもたちが挨拶した。
 菊名小学校6年生の児童は、「試合の時に相手にボールがとられてもすぐに追いかけ、車いすに乗ってドリブルする古澤選手がすごいと思いました」と、手作りの花束を古澤へプレゼント。

古澤の母校、横浜市立菊名小学校の6年生らと交流する古澤拓也 筆者撮影

 大綱中学校3年の生徒会長は「東京大会に対する私たちの気持ちが(コロナ禍で)大きく揺れている中で、素晴らしいパフォーマンスを見せてくださって、尊敬の念がやみません。古澤選手を先輩にもつことができ、誇らしい気持ちでいっぱいです」と思いを伝えた。

 横浜市には現在約30の小学校がオリンピック・パラリンピック教育推進校として、アスリートの講演や、車いすバスケ、ブラインドサッカーなどの体験会が行われている。

3年後のパリパラリンピックへ向けて応援しよう

 車いすバスケットボールは、これまでパラリンピックでメダルを獲ったことがなかった。東京大会で男子日本代表が決勝を戦ったことで、次は、金メダルを獲るための具体的なトレーニングや準備が明確化され、大きな成果となった。そこには、地域の支えがあった。

 古澤は、「自分の育ってきた地域の応援がとても嬉しく、良い報告ができたことを光栄に思う。また3年後もこのような機会を作っていただけるよう頑張りたいです」と、地域の応援が(無観客の東京パラリンピックでも)力になったことに謝意を述べた。

東京パラリンピック車いすバスケットボール男子 銀メダルの古澤拓也(WOWOW/パラ神奈川SC) 筆者撮影

 地域でパラスポーツを支える横浜ラポール館長・神山篤氏は「(横浜ラポールの)職員の中にもパラリンピック出場者がいて、古澤選手に影響を与えることができたと思います。障害のある子どもたちが横浜ラポールに来て、古澤選手を目標にして励み、スポーツに取り組む人が増えたら嬉しい」と話した。

 横浜市内最多の35万人の人口を有する港北区は、横浜国際総合競技場があり、2019ラグビーワールドカップ、そして東京2020オリンピック(サッカー競技)の舞台となった。鵜澤区長も「港北区は子どもも多く、今後も人口増加が見込まれる活気ある地域。障害者への理解やスポーツ振興などで活動を支援したい」と話し、パラスポーツを通じて地域の活動を連携、街づくりに取り組んでいる。

菊名北町町内会の横断幕とともに記念撮影 筆者撮影

 3年後となるパリでのパラリンピックに向け、古澤ら車いすバスケットボール選手たちはすでに練習を開始している。東京で活躍した日本代表も来年10月にアジアパラリンピック(杭州)、再来年には3年後に迫るパリパラリンピックに向け予選が始まる。
 また、ユース世代の代表活動に関しては、12月にアジアユースパラゲームズ(バーレーン)、来年5月にはU23世界大会(千葉)があり、来年にはきっと、身近なところでコロナ禍でできなかった世界トップの車いすバスケットボールの現地観戦ができるだろう。かつて古澤がチームを率いたU23の世界を見れば、世界を目指す車いすバスケットボールの深みに触れることができるだろう。

<参考>
・所属会社のホームページより(WOWOW)
https://corporate.wowow.co.jp/news/info/4191.html
・9月5日、東京パラリンピック・フォトギャラリー(PARAPHOTO公式Facebook)
https://www.facebook.com/media/set/?vanity=paraphotoclub&set=a.4264993350252628

(取材:石野恵子、編集:佐々木延江)

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