関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, ブラサカニュース, 夏季競技, 新着, 東京パラムーブメント, 静岡 — 公開: 2022年7月22日 at 7:47 PM — 更新: 2022年7月30日 at 12:29 PM

ブラサカ トップリーグが開幕。「LIGA.i」で東京パラ後の未来を築く!

知り・知らせるポイントを100文字で

浜松アリーナで、新しいブラサカ「LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2022」が始まった。新リーグ設立で強調されたのは「興行性」。有料、有観客で試合を行い、エンターテイメントとして楽しんで観戦してもらう場を目指す。

 7月18日 (月曜祝日)、浜松アリーナ(浜松市)にて、NPO法人 日本ブラインドサッカー協会(以下JBFA)が主催する、「LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2022」が始まった。

クロスを入れる女子日本代表のエース埼玉T.Wings菊島宙(9番) 写真・内田和稔

 これは、クラブ数の増加とともに、様々な価値観のクラブチームが生まれてくるなか、一層エリート化してくる世界のブラインドサッカー動向を鑑み、日本代表やクラブチームの強化を図る貢献度の高いリーグが必要であるとして設立された新しいリーグである。
 JBFA専務理事の松崎英吾氏は、「東京パラリンピックが終わって尻つぼみにならないように、トップリーグを開催できて安心した」とまず語る。

照明を落としてライトアップされた開幕式
照明を落としライトアップされた「LIGA.i」開幕式  写真・内田和稔

 LIGA.iの設立と発展に向けて「東京パラが終わったところで(形作られた)パラスポーツってこうだよねというレッテル感を払しょくしたかった。先を目指してリーグを立ち上げた」「(東京パラのレガシーの上に築いていく意味で)改めて自立してやっていくことが必要。社会から価値あるスポーツとして認識されることが必要」と会場でのインタビューで語っていた。

 LIGA.iは、競技性(競技力の高さ)と組織性(組織運営力や競技普及活動への注力度合いなど)という参加条件をクリアした4チームが参加し、全三節の総当たり戦で順位を競う。9月まで浜松市、品川区、墨田区において試合が開催される。

後半3分に大会初得点を決め喜ぶパペレシアル品川・川村怜(5番) 写真・内田和稔

 開幕戦はbuen cambio yokohama とパペレシアル品川の間でおこなわれた。日本代表佐々木 ロベルト泉を欠くパペレシアル品川は、日本代表キャプテン川村怜(5番)が守備に回ることが多く、なかなかシュートまで持ち込むことができない。
 buen cambio yokohamaは、何本かシュートを放つものの得点できず、前半をスコアレスで折り返した。
 そして後半3分、川村がリーグ初ゴールを決め、その1点を守り切ったパペレシアル品川が勝利。

buen cambio yokohama 中村のミドルシュート
ミドルシュートを打つbuen cambio yokohama 中村駿介(77番)

 第2戦の埼玉T.Wingsとfree bird mejirodaiの対戦はfree bird mejirodai が日本代表 園部優月(7番)の前半3分のゴールで先行するも、その後埼玉T.Wingsが攻勢にでて日本女子代表の菊島宙(9番)が前半8分、同15分と得点を決め、埼玉T.Wingsが逆転。

菊島宙2点目のシュート
埼玉T.Wings・菊島宙2点目のシュートシーン 写真・内田和稔

 後半は、一進一退の攻防で双方から惜しいシュート、特に菊島のループシュートなどもあったが、スコアレス。結局、埼玉T.Wingsがリードを保って勝ちを収めた。
 Player of the Matchは菊島と川島が受賞。女子日本代表エースの菊島は、男子日本代表の川村、園部を抑え2得点でランキング1位。リーグ得点王候補の一人となった。

Player of the Matchは川村(左)と菊島(右)が受賞した 写真・内田和稔

 今回の新リーグ設立にあたって、強調されていることは「興行性」である。有料、有観客で試合を行い、一興行として楽しんで観戦してもらう場を目指している。
 新たな魅せる演出として、選手入場のシーンでは、会場の照明を落としライトで作られた花道を選手が入場してくる。ビジョンには、選手一人ひとりの名前と、顔と背番号が表示され、コールされていた。

 またプレー中も適宜、ルールの解説、選手名と背番号のコールがスタジアムDJからされ、初めての観客でも状況を把握しやすい工夫が施されていた。松崎氏は「背番号だけでなく、名前と顔を地道に伝えていきたい。試合中と、試合以外の表情のギャップを感じ、選手を好きになってもらいたい」と語った。

演出や工夫が施されたトップリーグの会場 写真・内田和稔

 一方選手たちもMixZoneインタビューにおいて様々な形でブラインドサッカーの魅力をアピールした。
 パペレシアルの川村は、「目の見えない人たちが身体を張ってボールを奪う迫力、ゴールキーパー、フィールドプレイヤー、ガイドが協力し合ってダイバシティを実現しているところ」を挙げる。更に強豪チームのみが出場するトップリーグの魅力として、「GKからパスをつないで、連動して、ビルドアップしていくこと」を挙げていた。

選手に指示を出すガイドとゴールキーパー。ゴール前での戦い方も見どころ 写真・内田和稔 

 埼玉T.Wingsの菊島は、国際的には男女別でプレーするが、日本では同じピッチで戦う現状を踏まえて「(女子が)男子の中でできるんだということを知ってもらいたい」と語る。

 パペレシアルの小島雄登監督は「(観客席との)一体感、お客さんがゴールの入った瞬間を教えてくれる。その一体感がすばらしい」と語ったうえで「こんなに動けるか?障害の常識を覆すスポーツ、刺激を受けてほしい」と魅力を強調した。

free bird mejirodaiが苦戦
free bird mejirodaiは先制したが逆転された。同点ゴールが遠い 写真・内田和稔

 今回、従来のブラインドサッカーと異なる点がいくつかあった。その一つが試合時間である。LIGA.iは、IBSA International Blind Sports Federationのルール変更を受けて従来の、前・後半各20分が15分に短縮されている。
 プレー時間の変更について、「強度、インテンシティーが変わってくる」(川村)というコメント、加えてbuen cambio yokohamaの齊藤悠希(7番)は「展開がスピーディーになった。晴眼者が多く、後半の持久力と集中力に課題があったので(長時間のアイマスクは負担となるため)、やりやすくなる。buenにはプラス」と、ポジティブなコメントが聞かれた。

タイ代表とのエキジビションマッチが行われた。buen cambio yokohama・齊藤悠希(7番)が2点を決めた 写真・内田和稔

 もう一つが試合会場である。通常は屋外のフィールドでプレーされるブラインドサッカーだが、今回は、第一節が浜松アリーナ、第二節が品川区立総合体育館と室内でのプレーとなる。ガイド、キーパーの声、壁の反響が大きな意味をもつブラインドサッカーにおいてどう影響があるのだろうか。
 川村は「広いと反響は少ない」と、音に関する懸念はそれほど示さなかったが、「ボールコントロールは難しい。湿気が多いので、フロアーとボールの間でグリップが効きすぎて外とは違う」と違いを説明する。
 齊藤は「体育館での練習は1度もできてない。壁のある環境での練習もできていない。ゴムを張ったり創意工夫をしながら空間認知につとめた」と語る。今後拡大していく中でどういった場所で練習して行くか、その環境整備の大切さもコメントからうかがえた。

 また一方で、協会が掲げる「視覚障がい者と健常者が、当たり前に混ざり合う社会の実現」というビジョンを体現する、晴眼者の参加、男女混合での日本独自のプレーを認めている点が特徴だ。

タイとのエキシビジョンマッチにも、女性のゴールキーパー、晴眼者のフィールドプレイヤーが出場した 写真・内田和稔

 今回の観客は730名。参加したチームがすべて関東圏のチームで、サポーターが来るにはちょっと遠かったのかもしれない。
 第二節、第三節はそれぞれ品川区と墨田区で開催される。第二節のチケットは残り少ないようだが、Youtubeによるライブ配信も予定されている。あなたも足を運んで、またはオンライン観戦はどうだろうか。ぜひ、ブラインドサッカーの新しい1ページを目撃してほしい。

<参考>
ブラインドサッカー・トップリーグ「LIGA.i」ホームページ
https://liga-i.b-soccer.jp/

LIGA.Iではタイ代表とのエキシビションマッチも行われる。東京パラリンピックでのタイvsスペインの試合の記事(中村和彦)
https://www.paraphoto.org/?p=29645

(写真取材 内田和稔、編集協力 中村和彦、佐々木延江)

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