関連カテゴリ: ブラインドサッカー, ブラインドサッカー/東京2020, ブラインドスポーツ, ブラサカトップ, 取材者の視点, 東京, 東京パラムーブメント — 公開: 2021年8月30日 at 4:03 AM — 更新: 2022年3月9日 at 4:46 AM

ブラインドサッカー スペインvsタイ戦は第2PKで明暗を分ける

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 東京パラリンピック5人制サッカー初日、29日の第4試合スペインvsタイ戦の雌雄が決したのは、残り時間1分を切ってからのことだった。
 5月30日「Santen ブラサカグランプリ 2021」で相まみえた際は、3対2と点の取り合いとなりタイが勝利したが、この試合は終了間際までスコアレスのまま進んでいった。しかし決定機がなかったわけではない。タイのギッティコーン・パウディは右サイドからカットインして強引なシュート、ギッティタッ・ウィモンワンも迫力ある縦への推進力でスペインゴールに迫るが、GKセルヒオ・ロドリゲスがゴールを許さない。スペインのセルヒオ・アラマール・ガルシアも強烈なミドルシュートを放つが、タイのGKボーンチャイ・ガジコーンウドムバイサーンが懸命に右手を伸ばし指先でコースを変え、ポストを直撃する。

攻め込むタイのパンヤーウッ・クパン 写真・中村”Manto”真人

  しかしタイは徐々に、スペインの攻撃をファールでしか止められなくなる。そして後半の累積ファウルが6つを超え、スペインに第2PKが与えられた。
 ペナルティエリア内の反則に対するPKはゴールから6m地点からキックするのに対し、第2PKは8mの位置から蹴る。距離が長い分、決めるのは容易ではない。ファールが6つを超えてからはその都度、第2PKが与えられる。
 
 そして残り時間1分を切ったところで、三度目の第2PKがスペインに与えられる。蹴るのはアントニオ・マルティン・ガイタン。5分前は大きく枠を外してしまった。一方のGKは再三の好守を見せているガジコーンウドムバイサーン。
 見えざる者と見える者が8mの距離で向かい合い、ガイドがポストの位置を教える金属音が無観客の夜空に響き渡る。キッカーのガイタンは「最後のチャンスだから決めたい」と思っていたが、「プレッシャーはなかった」という。「サッカーは決める時もあれば、決まらない時もある」からだ。
 ガイタンは先程と同じところを狙い、右足を振りぬく。キーパーは猫のように飛び上がったが、ゴール右上のネットが大きく揺れた。その瞬間、スペインチームとスペインメディアの雄叫びが響き渡った。

スペインのガイタンが蹴った第2PKが決まる 写真・中村“Manto”真人

 日本代表のキャプテン、フランス戦で2ゴールした川村怜は、ブラインドサッカーの魅力を問われた際に「見えない者と見える者が真剣勝負をして、見える者からゴールを奪うこと」という意味合いのことを答えた。まさにそれが可視化された瞬間だった。

 その試合に先立って行われたアルゼンチンvsモロッコ戦は、前半3分アルゼンチンのマキシミリアーノがドリブルで持ち込んでゴールを決め先制。モロッコが前半9分ズハイール・スニスラのゴールで同点に追いつくが、前半15分に再びマキシミリアーノがゴールをあげ、アルゼンチンが初戦を制した。
 試合後アルゼンチンのキャプテン、フロイラン・パディージャは「いい試合ではなかったが、勝ち点3はアルゼンチンにとってすごく重要だ」と振り返った。

 5人制サッカーの初日は、結果として、いずれの試合もランキング上位のチームが勝ち点3を得ることとなった。

グループB アルゼンチン vs モロッコ

試合結果

チーム前半後半ゴール
アルゼンチン202
モロッコ101

2 - 1
フルタイム

グループB スペイン vs タイ

試合結果

チーム前半後半ゴール
スペイン011
タイ000

1 - 0
フルタイム

グループB 順位表

順位チーム試合得点失点得失勝点
133007169
231114314
3311123-14
4300306-60

(校正 望月芳子)

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