東アジアで初開催となるパラ陸上の世界選手権が、明日5月17日から神戸ユニバー記念競技場で開幕する。この大会に104カ国・地域から1073人のアスリートが集結する。日本を含む各国の選手たちは、パリパラリンピックへ3ヶ月と迫る大舞台で技術と精神力を競い合う。今大会は、パリパラリンピック最終予選に位置付けられ、該当種目で1位・2位を獲得した国は、国に対してそれぞれ1枠ずつの出場権が与えられる。
開会に先立ち、国内外の出場選手らと世界パラ陸上競技連盟(WPA)代表・ポール・フィッツジェラルド氏、日本パラ陸上競技連盟会長・増田明美氏が出席して記者会見が行われた。
日本の走り幅跳び選手であり、ベテランの山本篤(新日本住設)は、記者会見に参加した子ども記者からの「どうしたら代表選手になれますか?」という質問に「努力をしようではなく、夢中になろうとしてきた」と答え、競技への情熱を伝えた。山本は、自身の準備についても「いい記録を狙えるよう準備している。メダル争いに絡みたい」と意気込みを語った。
会場を視察したアスリートたちはこの日強風が吹いていたことから、翌日以降の競技への影響を懸念していたが、山本は「スタジアムはしっかりとスタンドがあるので競技に支障はない。自分の競技の日には追い風になってほしい」とコメントをした。
ポール・フィッツジェラルド氏インタビュー
記者会見後、2022年にWPA代表に就任したフィッツジェラルド氏は、パラフォト記者のインタビューに答え、パラ陸上への思いと、東京2020パラリンピックのレガシーを受け継ぐ神戸での大会の意義について次のように伝えてくれた。
「この職に就いたとき、過去の遺産を未来に活かし、さらに発展させられるる素晴らしい機会を得られることに興奮しました。私たちの最高のアスリートたちには、彼らを支えるファンが必要です。また、パラ陸上競技にまだ触れたことがない人々の中にも、素晴らしいアスリートになる潜在能力を持つ人が多くいます。
世界中にはまだこのスポーツに触れる機会がない人々がおり、私たちは彼らにも声を届け、このスポーツを広めていく必要があります。今後10年間で、より多くの人々にパラ陸上競技の可能性を知ってもらいたいです。集まってくれたメディアの皆さんに感謝します。
今、私たちは日本に戻ってきました。この大会が東京でのレガシーの一部となり、神戸もまたレガシーを築いていくことで、より多くの人々にパラ陸上の魅力を理解してもらい、さらなる機会を提供できると確信しています。
これからの9日間は、この目標を達成する大きなチャンスです。ここに貢献できることを非常に嬉しく思います」
会場のユニバー記念競技場は交通アクセスが良好で、駅から近く、多くの観客が訪れることが期待されている。
世界各地からの選手が一堂に会する今大会は、東京2020パラリンピックでは無観客で声援を受けられなかったアスリートが声援を背に自己ベストの更新を目指すことができる。選手にとって、また観客にとっても忘れられない経験となるだろう。
<フォトギャラリー(facebook)>
5月16日 写真・中村 Manto 真人
https://www.facebook.com/media/set/?vanity=paraphotoclub&set=a.861990109300866
(校正・そうとめよしえ)