マラソン, 取材者の視点, 車いすマラソン, 陸上 — 2019年4月29日 at 6:20 AM

日本勢3選手が東京パラリンピック内定! 〜ロンドンマラソン〜

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WPA(ワールドパラ陸上)マラソン世界選手権を兼ねたメジャーマラソンのひとつ「ロンドンマラソン2019」が4月28日、イギリス・ロンドンで行われ、日本勢のメダルラッシュが相次いだ。
車いす男子T54の鈴木朋樹(トヨタ自動車)が3位入賞、視覚障がい男子T11/T12の堀越信司(NTT西日本)が3位入賞、同女子、世界記録保持者の道下美里(三井住友海上)が3連勝を果たし、3選手が2020東京パラリンピックへの切符をつかんだ。

鈴木、自己ベストでパラ内定

心拍数の計測など科学的トレーニングを取り入れた鈴木。世界に通用するスプリントが出来るようになってきたと、手応えを感じさせた。

心拍数の計測など科学的トレーニングを取り入れた鈴木。世界に通用するスプリントが出来るようになってきたと、手応えを感じさせた。

車いす男子T54は大混戦だった。昨年から活躍目覚ましい20歳のエース・ダニエル・ロマンチューク(アメリカ)、ホームで過去8回優勝のデビッド・ウィアー(イギリス)、今年2月の東京マラソンで優勝した王者マルセル・フグ(スイス)、そして日本の鈴木が序盤から第1集団をリード。ハーフ地点でほかの選手を引き離し、熾烈なメダル争いが繰り広げられた。

1位が目まぐるしく入れ替わる激戦のなか、鈴木は1時間33分51秒の3位でゴールし、銅メダルを獲得。3度目のロンドンマラソン出場で自身最高順位となった。これにより、パラリンピック出場の条件である4位以内の入賞をクリアし、事実上、2020東京パラリンピックへの切符を獲得。レース後、鈴木は「今回4位以内を目標にしていたけど、3位に入れて嬉しい」と喜びを語った。

欧米のレースでは坂道やコーナーが多く、レース終盤の持久力や、コーナーでの位置どりが課題だった鈴木。今回は「最後まで離されることなく、先頭集団に食らいつくことができた。ただ、コーナリングはまだまだ検討するところがあるので、次のレースに向けて突き詰めていきたい」と自身を分析。特に、最後の追い込みであるスプリントについては、「最後はマルセルやダニエルに離されてしまったので、まだまだ課題を感じている。別の壁が見えてきたという感じ」と、飽くなき向上心を見せた。

堀越、苦しい時期を乗り越えつかんだ東京への切符

視覚障がい男子T11/T12では、堀越が2時間25分56秒で3位入賞。日本人最上位かつ4位以内という条件をクリアし、東京大会に内定。レース後は「リオ大会を終えてから、体調不良や故障で苦しい時期が長かった。それを経ての今日、しっかりと完走したいなと思っていたので、素直に良かったなと思う」と安堵の表情を浮かべた。

沿道の応援が力になったという堀越。「健常者のレースと同じだけの声援を感じます。この大会は本当に楽しい、さすがロンドンですね」とレースを振り返った。

沿道の応援が力になったという堀越。「健常者のレースと同じだけの声援を感じます。この大会は本当に楽しい、さすがロンドンですね」とレースを振り返った。

年齢に合わせてトレーニングを変えてきたという堀越。ロンドン、リオとパラリンピックに出場し、ベテランランナーの域に入ってきた。今回は「タイムではなく、長い距離を走っていく。原点回帰のような感じですね。しっかり走れるようなトレーニングを積んできた」と好レースの要因を分析。東京大会へは「まだまだ世界との差を感じる。2020年は自国開催で(日本人選手は)注目されると思うんですけど、そこでしっかりメダルを取っていけるような走りをしたい」と、来年に迫るパラリンピックへの目標を語った。

道下、初めて感じたトップのプレッシャー

視覚障がい女子T11/T12は、道下美里が3時間6分18秒で優勝。リオ大会に続き2度目の東京大会内定を獲得した。35キロ地点からは独走状態がつづき、2位と7分の差をつけ余裕のフィニッシュ。だが、レース後の目に浮かんだのは涙だった。いつもレース前はタイムを計測して、極限まで追い込みトレーニングするという道下だが、今回はそのタイムがクリア出来なかったという。「こんな事は初めて。自分でも知らないうちにプレッシャーを感じていたのかもしれない。レース前はすごく不安だったので、優勝できて本当に嬉しい」と目を潤ませた。追われる者が見えないプレッシャーに打ち勝ち、掴んだ東京パラリンピック内定だった。

「自分を信じて冷静に走ろうと心掛けました」と道下。時折目を潤ませた。

「自分を信じて冷静に走ろうと心掛けました」と道下。時折目を潤ませた。

各レースの順位は以下の通り。

<車いす男子>
1 DANIEL ROMANCHUK (USA) 01:33:38
2 MARCEL HUG (SUI) 01:33:42
3 鈴木朋樹 (JPN) 01:33:51
(7位・西田宗城、10位・山本浩之)

<車いす女子>
1 MANUELA SCHÄR(SUI) 01:44:09
2 TATYANA MCFADDEN (USA) 01:49:42
3 MADISON DE ROZARIO (AUS) 01:49:43
4 ELIZA AULT-CONNELL (AUS) 01:50:02
5 喜納翼 (JPN)

<視覚障がいT11/T12 男子>
1 Chentouf, El Amin (MAR) 02:21:23
2
2 Laso, Alberto Suarez (ESP) 02:25:50
3
3 堀越信司 (NNT西日本/JPN) 02:25:5
(岡村正広NA、熊谷豊NA、和田伸也NA)

<視覚障がいT11/T12 女子>
1 道下美里 (三井住友海上/JPN) 03:06:18
2 Santos Dorta, Edneusa de Jesus (BRA) 3:13:17
3 En-Nourhi, Meryem (MAR) 03:18:11
(6位・西島美保子 8位・近藤寛子)

<参考>
ロンドンマラソンリザルト検索ページ
https://results.virginmoneylondonmarathon.com/2019/

(校正・佐々木延江)