関連カテゴリ: AsianParaGames, JAKARTA 2018, パワーリフティング, 国際大会, 夏季競技 — 公開: 2018年10月15日 at 11:21 AM — 更新: 2019年1月25日 at 11:10 PM

ラオス・国際パラスポーツで初の金メダル~アジアパラ競技大会~

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人口約650万人・東南アジアに位置するラオス人民共和国。
パラスポーツ(障害のある人のスポーツ)がまだまだ発展しはじめたばかりのこの国の代表が、本アジアパラ大会で金メダルを獲得するという快挙を成し遂げた。その選手の名は、Pia Laophakdee (以下「ピア」)。ピアは、3歳の時にポリオにかかり両足が不自由に。その後、家での生活が多くなっていたが、パワーリフティングと出会って人生が変わったという。

リオパラリンピックで6位入賞の成績を残しているピア。彼が今回出場したのは10月7日に開催されたパラパワーリフティング(重量挙げ)競技の49キロ級(男子)。日本の三浦浩選手(最終成績:4位)を含む11選手が参加するこのクラス、3度目の試技で133.0キロを持ち上げることに成功、優勝した。また、これによって2020年東京パラリンピックの出場権も獲得した。

2位の選手とは、5Kgの差で勝利した。彼自身も金メダルを取ることができ喜んでいたがそれ以上に喜びの感情を表していたのはラオスの関係者であった。会場では、ラオスの国歌を歌い、国旗か掲揚された。表彰式が終わると、この時を忘れまいと、ともに頑張ってきた仲間同士が集まり歓喜の時を共にした。

133Kgを挙げ、成功の喜びの感情をガッツポーズで表した 写真・山下元気
133Kgを挙げ、成功の喜びの感情をガッツポーズで表した 写真・山下元気

実はこの成功の背景に、日本のNPO団体があった。ADDP(NPO法人 アジアの障害者活動を支援する会)は2000年よりラオス・パラリンピック委員会(LPC)の組織運営を支援している。また、首都ビエンチャンに日本政府の支援で障害者用体育館の建設などの事業を後援。全国障害者スポーツ大会の開催や選手支援を通してラオスのパラスポーツ発展に貢献してきた。今回のアジアパラ大会にもADDPから支援スタッフが参加し、選手たちの支援を行ってきた。

今回金メダルを獲得したピアとADDPの関係も深い。ADDPはピアが実力を発揮し、これからパラスポーツに参加してくるアスリートたちのロールモデルになってほしいと期待して支援を続けている。その一つに大分県との連携協定があった。その結果、北九州市で開催された2018年パワーリフティング大会で、見事49キロ級4位の成績を収めている。
こうしたADDPからの強い後方支援があってこそ、今回の結果につながった。

勝利の瞬間をみんなで分かち合った 写真・新部遥希
勝利の瞬間をみんなで分かち合った 写真・新部遥希

Pia選手インタビュ―

今大会を振り返って:世界ランキングをもとに今大会に参加できましたが、参加するだけではなくほかの海外の強豪選手に交じって戦い、金メダルを獲得できてとても嬉しいです。

日本での学び:今大会に来る前に、北九州市で2018年国際パワーリフティング大会に参加しました。8月31日から事前合宿を大分県別府市にて実施し、その後大会に臨みました。合宿・大会を通じていい経験ができたと思います。また、新しいテクニックも知ることができたことに感謝しています。この合宿・大会が今大会の成績につながったと思います。

パワーリフティングについて:やってて楽しい。(ADDPに雇用され)仕事ができるようになり、友達もたくさんでき人生が大きく変わりました。

今後の目標:ドバイの世界選手権に向け練習をしていきます。今のランキングより良いランキングが出せるように頑張ります。そして、2020年東京でよい成績が残せるよう、練習を続けるのみです。

日本人の支援を受け、アジアの国で成長するパラスポーツ選手たち。こうしてピアのような選手たちに東京で会えることを楽しみに、今後の成長に期待したい。

2020年メダルへ有力となったピア 写真・新部遥希
2020年メダルへ有力となったピア 写真・新部遥希

参考:

公式リザルト(男子・49キロ級) https://gms.asianparagames2018.id/RS2018/bm/wl/result_Snatch.aspx?eid=101

ADDP(NPO法人 アジアの障害者活動を支援する会)http://www.addp.jp/?cn=100071

ラオス情報文化観光省観光部 サイト:http://www.lao.jp/about_laos.html
「国土は236,800平方キロメートル。そのうちの約70%が高原や山岳地帯で、シェンクアーン県のプービア(ビア山)は国内最高峰(2,820m)である。
ラオスの人口は650万人(2015年現在)。そのうち約10%がビエンチャン特別市に集中している。民族も過半数を占めるラーオ族の他、モン族、ヤオ族、アカ族など多様であり、その数49ともいわれ、それぞれの民族が独自の文化を育んできた。」

Lao Paralympic Athletes Facebook https://www.facebook.com/laoparalympics/
IPC: Indonesia 2018: Debut delight for Laos https://www.paralympic.org/news/indonesia-2018-debut-delight-laos
The Laotian Times https://laotiantimes.com/2018/10/08/powerlifter-pia-gold-asian-para-games-2018/
Asian Para Games 2018 https://asianparagames2018.id/en/

(取材・写真:新部遥希、編集:田中綾子、取材協力:ADDPアジアの障害者活動を支援する会)
(撮影機材提供・ニコンイメージングジャパン)

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