夏季競技, 馬術 — 2018年10月28日 at 11:38 AM

パラ馬術:国内開催の国際大会(CPEDI***GOTEMBA)で高嶋活士、稲葉将らが活躍

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21日 フリースタイルテスト グレードⅢ 稲葉 将&ピエノ 写真・岡田友貴

21日 フリースタイルテスト
グレードⅢ 稲葉 将&ピエノ 写真・岡田友貴

21日 フリースタイルテスト グレードⅣ 高嶋活士&ケネディ 写真・岡田友貴 

21日 フリースタイルテスト
グレードⅣ 高嶋活士&ケネディ 写真・岡田友貴

10月19日〜21日、御殿場市馬術・スポーツセンター(静岡県)で、第64回東京馬術大会CDI*** GOTEMBA 2018/CPEDI*** GOTEMBA 2018が開催された。この大会は、一般の馬場馬術とパラ馬術の国際大会が同時開催。今回、CPEDIもチーム及び個人の国際ランキングポイントに加算される三ツ星ランクにアップされた*。

今回はパラ馬場馬術のパラリンピックレベル競技に先駆け、パラ馬術グレードIVノービステストが実施された。ノービステストは、パラリンピックレベルのテストの手前の導入競技。本大会では3人の日本人審判が審査、3人馬が参加した。

パラ馬術競技は、チームテスト、インディビジュアルテスト、フリースタイル**の3競技が実施された。こちらは、Marco Orsini (ドイツ) 、Anne Prain (フランス)、Hanneke Gerritsen(オランダ)、の3名の外国人審判員が審査を担当。

19日に行われた最初の競技、チームテスト(団体戦用の経路)は、合計13人馬(グレードI:2人馬、グレードII:3人馬、グレードIII:4人馬、グレードIV:2人馬、グレードV:2人馬)が参加。グレードIからIVは、世界選手権出場経験者やパラリンピック経験者〈グレードI:鎮守美奈(2010ケンタッキー世界選手権)、グレードII:宮路満英(2016リオパラリンピック)、グレードIII:稲葉将(2018トライオン世界選手権)、グレードIV:高嶋活士(同)〉がトップを占めた。
また、先日トライオン世界選手権で銅メダルを獲得した中村公子欠場のグレードVで優勝した高橋宗裕も、前回4月のCPEDI*御殿場より好成績を上げ、成長を見せている。

2日目は、パラリンピックでいえば個人メダル競技となる「インディビジュアルテスト(個人規定演技)」。
インディビジュアルテストもチームテスト同様、13人馬が参加。
グレードIは変わって、ベテラン細川裕史&藤風(東京障害者乗馬協会)が61.785%と、前回4月のCPEDI*を超える成績で優勝。グレードIIからグレードVは、チームテストと同じ人馬が優勝した。
なお、グレードIIIの稲葉将(静岡乗馬クラブ)は、本大会2頭登録し競技参加している。

最終日は、「フリースタイル(自由演技)」が行われた。 フリースタイルの本競技は、チームテストとインディビジュアルテストの平均が60%を超えた人馬のみが参加権を獲得。以下の人馬が権利を得た。
宮路満英&リファイン(グレードII)、稲葉将&ピエノ(グレードIII)、大塚宗毅&リトルアトム(同)、高嶋活士&ケネディH(グレードIV)

なお、競技経験を積むために行われるコンソレーション競技には以下の人馬が参加した。
石井直美&ゴールドティア(グレードV)、高橋宗裕&アキレスファースト(同)、久木山元和&豆太郎(グレードIII)、井上力&プリンセスクラリス(グレードII)、鎮守美奈&ラシーン(グレードI)。

21日 フリースタイルテスト コンソレーション グレードⅠ 鎮守美奈&ラシーン 写真・岡田友貴 

21日 フリースタイルテスト コンソレーション
グレードⅠ 鎮守美奈&ラシーン 写真・岡田友貴

21日 フリースタイルテスト グレードⅡ 宮路満英&リファイン 写真・岡田友貴 

21日 フリースタイルテスト
グレードⅡ 宮路満英&リファイン 写真・岡田友貴

21日 フリースタイルテスト グレードⅢ 大塚宗毅&リトル アトム 写真・岡田友貴

21日 フリースタイルテスト
グレードⅢ 大塚宗毅&リトル アトム 写真・岡田友貴

グレードIIIの3競技すべてでトップを記録した稲葉将(騎乗馬:ピエノ)は、今大会を振り返って次のように語った。

「今回2頭で出場しましたが、両方とも試合に一緒に来たのは初めてなので、どれぐらい点数を取れるかな、と思っていました。成績が良かった方のピエノは、コンビを組んでわずか10日、2週間弱でこの成績が出たのは今の段階ではまあよかったかな、と思います。また1か月ほどすると三木で試合*があるので、もっとよくなるように頑張ります」

国際的に活躍する稲葉をはじめとする日本のパラ馬術選手にとって、11月23日~25日に開催される第26回全国障がい者馬術大会・第2回全日本パラ馬場馬術大会(兵庫県・三木市/三木ホースランドパーク)が今年最後の競技会。

活躍する選手が増え、代表選考も厳しくなる中、これから日本代表を目指す選手たちはますます練習を積み、競技に挑まなくてはならない。稲葉ら選手たちがよい馬に巡り合い、日本のパラ馬術界が2020年、そしてその先へ発展していくことを期待したい。

**競技解説:
パラ馬術は、参加選手の障害の度合いによって「グレード」と呼ばれる分類によってメダルが競われる。5つのグレードがあり、Iが最重度、Vが最軽度の障害。
現在、国際馬術連盟のルールのもと行われる競技は、なんらかの身体障害のある選手のみ参加が可能となっている。
参加資格として、選手は事前にクラシファイアーによるクラス分け(クラシフィケーション)を受け、国際馬術連盟に登録されなければならない。

「テスト」とは経路のこと。パラ馬場馬術では人馬がフィギュアスケートのように、定められた動きや経路を暗記して行う。
経路は常歩(なみあし)、速歩(はやあし)、駈歩(かけあし)の3種の歩様(ほよう)の組み合わせで、各グレードによってどの歩様が含まれるかが決まっている。

競技種目は3種類:チームテスト(団体戦用の経路、インディビジュアルテストより難易度がやや易しく設定されている。本来3人馬の成績合計からなる団体の順位を決める種目)、インディビジュアルテスト(個人競技)、フリースタイル(自由演技、音楽に合わせて、規定の演技項目を時間内にアレンジした各選手オリジナルの経路を踏む)

*CPEDIとは
CPEDIは国際馬術連盟の国際大会運営基準に則って開催される競技会。種類には1☆から3☆があり、3☆とパラリンピックでは団体競技が必ず行われる。団体競技が開催された場合、チームテストとインディビジュアルテストの2競技のトップ3人馬の合計点数で団体成績が決まる。(2☆以下は開催必須でない)今回、フリースタイルの参加はインディビジュアルとチームテストの平均が60.000%の人馬に与えられた。その他の人馬はコンソレーション競技に。コンソレーション競技は国際ランキングなどのポイントには加算されないが、選手に競技経験を積む機会を与える。

CPEDI3☆に出場するためには人馬ともにFEI国際馬術連盟に事前登録が必要。また、ライダーは公式にクラシフィケーションを受け、認定されたグレードの記載されたカードを所持していなければならない。クラシフィケーションは、国際馬術連盟認定の資格をもった担当者(クラシファイアー)が規定に従い行うもの。これによって障害の度合いが判断され、競技参加するグレード(Iが最重度で、I-Vまでの5段階ある)が決定する。なお、グレードによりライダーの身体的能力が考慮され、一般の馬術で見られる3種の歩様(常歩、速歩、駆歩)のなかかから適切なものを取り入れた運動課目が定められている。グレードは2017年1月以降の表記方法。内容は変わらないが、それ以前は1a、1b、2、3、4の標記名称が使用されていた。

*FEI国際馬術連盟・パラ馬場馬術世界ランキング(詳細規定)1/1-12/31の間のチームテストとインディビジュアルテストの競技結果で60%以上のものがカウント。3☆以上の大会で最低2名の海外審判を含む3審判(または5審判制の大会は3名の海外審判)による審査が行われた大会で収められたライダーの成績が加算対象(選手に対する加算であり、どの馬に乗って出場したかにかかわらず該当する大会の成績が加算される)。

公式リザルト(JRADサイト)
公式リザルト(FEI国際馬術連盟サイト)https://data.fei.org/Calendar/EventDetail.aspx?p=DE64798079D75705C6057F3CAED52713

(執筆:田中綾子、取材・編集:望月芳子)