関連カテゴリ: PYEONGCHANG 2018, パラアイスホッケー, 観戦レポート — 公開: 2018年3月18日 at 11:00 PM — 更新: 2018年3月19日 at 3:03 PM

20歳のエースが勝利の立役者。アイスホッケー決勝戦、アメリカが3大会連続で優勝。

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金メダル獲得の瞬間、大歓声の中スティックを掲げるアメリカチーム(写真・中村“Manto“真人)
金メダル獲得の瞬間、大歓声の中スティックを掲げるアメリカチーム(写真・中村“Manto“真人)

王者同士の戦いに会場が揺れた。3月18日・競技9日目、平昌パラリンピックアイスポッケーのカナダ対アメリカの決勝戦が行われ、アメリカが3大会連続で金メダルを獲得。延長戦へともつれ込む大接戦の中、王者のプライドを見せつけた。

試合は開始序盤から激しい攻防を繰り広げる。攻守の切り替えが早く、どちらも譲らない展開が続くなか、12分、カナダにチャンスがやってきた。カナダFW10番のDELANEY BenとFW23番・HICKEY LiamのアシストでFW18番・Bridges Billyがシュート。先制点をあげ、1ー0で第1ピリオドを終える。

つづく第2ピリオド、流れはアメリカへと変わる。このピリオドでアメリカのショット数はカナダの3を上回る8となり、攻撃を一層強める。しかし、カナダも鉄壁の守備を崩さない。21分にはアメリカFW16番のFARMER Declanがシュートを放つもゴールならず。アメリカにとって苦しいピリオドとなった。

迎えた第3ピリオド。開始序盤にまたしてもDeclanがゴール近くで決定的なチャンスを迎えるが、スティックがわずかに届かず、パックが流れてしまう。もはやこれまでと思った終了間際、奇跡が起きる。Declanが激しい攻防の中、ついにゴールを決める。残り37秒で1ー1の同点にこぎつけ、アメリカサポーターから大歓声が上がる。そして、迎えた延長戦。開始3分で再びDeclanがゴール。20歳の若きエースは勢いそのままに、優勝への決定打を放った。

試合終了直後。カナダは悲願の金メダルにあと一歩届かなかった(写真・中村“Manto“真人)
試合終了直後。カナダは悲願の金メダルにあと一歩届かなかった(写真・中村“Manto“真人)

Declanは試合後のインタビューで、「2010年から続いたアメリカ優勝のレガシー(遺産)を繋ぐことができて嬉しい」と喜びを語った。勝因については「アメリカは皆が世界一のプレーヤー。個々の力がチームとして結集した時、歯車がかみ合うように上手くいった」と分析する。自身は2014年のソチ大会でわずか16歳にしてパラリンピックに出場したDeclan。2大会目の出場ながら、いまやエースとして最前線に立つ。「4年に一度の舞台はやはり緊張した。ただ、今までの経験をベースに必ず勝てると信じて試合に臨んだ」と、エースとしての風格を漂わせた。

「子供達のロールモデルになるような選手になりたい」と語るFARMER Declan。(写真・中村“Manto“真人)
「子供達のロールモデルになるような選手になりたい」と語るFARMER Declan。(写真・中村“Manto“真人)

平昌パラリンピックアイスホッケーは金メダルをアメリカ、銀メダルをカナダ、銅メダルを韓国が獲得して幕を下ろした。ホッケー大国で強豪のアメリカ・カナダが圧倒的な強さを見せた一方、韓国の3位入賞はアジアホッケー界の未来を見据える上で大きな意味を持つのではないだろうか。この平昌パラリンピックが、どうか日本チームにとって次への糧となる大会であってほしいと願う。

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