関連カテゴリ: フランス, 国内大会, 夏季競技, 新着, 水泳, 観戦レポート, 静岡 — 公開: 2024年3月9日 at 11:58 PM — 更新: 2024年3月11日 at 4:00 PM

パラ水泳選考レース1日目。窪田、鈴木、宇津木らがパリ代表内定。

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パラ水泳のパリへの日本代表を決める2日間の選考レースが静岡で開幕。1日目は4人が派遣Aのタイムを、11人が派遣Bのタイムを突破した。

静岡県富士水泳競技場で「(WPS 公認競技会)2024日本パラ水泳春季チャレンジレース兼 パリ2024パラリンピック水泳競技日本代表推薦選手選考競技会」が、主催する(一社)日本パラ水泳連盟・河合純一会長の挨拶のもと3月9日開幕した。

1日目、窪田幸太(NTTファイナンス)、宇津木美都(大阪体育大学)、鈴木孝幸(GOLDWIN)らが「派遣A」のタイムを突破し、昨年8月の世界選手権で金メダルの山口尚秀(四国ガス)とともに4名がパリ代表に内定した。

100m背泳ぎS11と50m自由形で派遣Bを突破した石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)レース後のゴーグルチェック 写真・秋冨哲生

派遣突破の顔ぶれ

1日目は、200m自由形、50mバタフライ、100m背泳ぎ、400m自由形、100m平泳ぎ、50m自由形が行われた。派遣Aを窪田、宇津木、山口、鈴木の4名が突破したほか、派遣Bは、木下あいら(三菱商事)、西田杏(シロ)、日向楓(宮前ドルフィン)、石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)、小野智華子(あいおいニッセイ)、荻原虎太郎(セントラルスポーツ)、川渕大耀(宮前ドルフィン)、富田宇宙(EY Japan) 、福田果音(KSGときわ曽根)、芹澤美希香(宮前ドルフィン)、木村敬一(東京ガス)ら11名が突破した。

女子200m自由形S14、木下あいらが派遣Bを突破

2種目に出場した木下あいら(三菱商事)は200m自由形S14を2:12.17で派遣Bを突破。100m背泳ぎでもMQSを突破した。 写真・秋冨哲生

女子50mバタフライS5、西田が派遣Bを突破

50mバタフライを泳ぐ西田杏(シロ)37:23で派遣Bを突破した。 写真・秋冨哲生

「パラリンピックの選考会は3度目だが、すごく緊張したのでホッとしています。リオと東京の時よりは今のほうが確実に自信がついてきたので冷静に気持ちを落ち着かせることができるはずですが、どんな練習を積んでもこの選考会の1発勝負は慣れることができないです。みんなも同じくらい緊張しているし自分だけじゃないとスタート台に立ちました」

男子50mバタフライS5、日向が派遣Bを突破

50mバタフライをスタートする日向楓(宮前ドルフィン)。35:56で派遣Bを突破した。 写真・秋冨哲生

「派遣Bを突破してホッとしているが、自己ベストを目標として頑張ってきたので悔しい気持ちはあります。11月の佐賀で自己ベストが出せたが、今回も前半のスピードを後半につなげる泳ぎを意識しました。後半の泳ぎが乱れたかと思う。明日の50m背泳ぎを頑張りたい」と日向。ライバルで日本記録を持つ田中映伍(東洋大学)もMQS突破し選考対象となった。

男子100m背泳ぎS8で窪田幸太が派遣A突破、荻原が派遣B突破

100m背泳ぎを泳ぐ窪田幸太(NTTファイナンス)。1:7.41で派遣Aを突破しパリ代表内定を決めた。 写真・秋冨哲生

「ホッとしました。派遣A切るのが目標で6秒台を切りたかったが7秒台だったのでちょっと悔しい。後半の持久力の課題を1月から詰めて練習してきたので後半足がもった。パリまでにさらにしっかりと詰めていきたい。パリではメダル争いができるよう泳ぎたい。応援のために会場に足を運んでいただき力になっている。プレッシャーもあるが気負いせずにやっていきたい」

女子100m背泳ぎS11 石浦、小野がともに派遣B突破

女子背泳ぎS11、石浦智美(奥・伊藤忠丸紅鉄鋼)が1:19.12で、小野智華子(手前・あいおいニッセイ)が1:20.54でともに派遣Bを突破した。 写真・秋冨哲生

石浦は50m自由形でも30:10で派遣Bを突破した。小野は2008年北京パラリンピックから4大会出場だが派遣タイムを切っての参加は初めて。「初めて自力で派遣突破した」と、笑顔がこぼれた。 

男子400m自由形S9川渕がアジア記録・派遣B突破

400m自由形を泳ぐ川渕大耀(宮前ドルフイン) 写真・秋冨哲生

この1年で成長した中学3年の川渕大耀(宮前ドルフイン)が、自身のアジア記録を更新する4:20.63で派遣Bを突破した。 
「去年の世界選手権の選考会で落選しトラウマがあったが断ち切ってのぞんだ。東京パラでは(テレビで)見ているだけだった自分ですが、同じクラブの日向選手が決勝に残り、世界の選手と戦っているのを出て、自分もここに立ちたいと思いました。自分はまだまだですが、今日このレースに賭けていて、朝起きたときからすごい緊張がありましたがレースを楽しめてよかったです。」

男子400m自由形S11、富田が派遣B突破

400m自由形S11をスタートする富田宇宙(EY Japan)4:37.04で派遣Bを突破。写真・秋冨哲生

「派遣Aを突破したかった。先週体調を崩しこの2〜3日前から持ち返した。悔しさが残ります。1月から2月頭までスペインで練習してきました。去年の世界選手権からもう一度400mに取り組んで持久系の練習、フォームの改善をしてきました。今日は結果は出せませんでしたが、前半最初の100mを1分4秒台で泳ぐことができたのは成果だった。パリでは、ヨーロッパにおける本当のパラリンピックで肌身で感じたい。まだ(本観客のいる)パラリンピックイベントを体感したことがない。この前のアジア大会もそうだがパラスポーツをみて多くの人たちがエキサイトして白熱したステージを目の当たりにしたい。そこで自分が選手として関われることは幸せだ。日本人選手として関わり、日本の方々にその片鱗を届けたい」

女子100m平泳ぎSB8は、宇津木がアジア記録・派遣A突破、福田が派遣B突破

宇津木美都(左・大阪体育大学)が1:25.23でアジア記録を樹立、派遣Aを突破した。福田果音(右・KSGときわ曽根)は1:26:94の派遣Bを突破した。 写真・秋冨哲生

女子100m平泳ぎSB8は、ライバルの2人が競り合ったレースだった。レースを終えた宇津木美都(大阪体育大学)は喜びのあまり泣きそうだったが、ライバルで後輩の福田果音(KSGときわ曽根)が悔しくて泣いているのを見て、とっさに励ます言葉を掛けていた。
「中学3年以来、7年ぶりの自己ベストで福田選手に奪われていたアジア記録を塗り替えることができて嬉しい。1月の知的パラのレースで課題分析ができ、自分の泳ぎに活かせた。2月から健常の試合でベストを更新し、分析を積んできたことが結果につながった。思っていた通りの泳ぎができた。福田選手とは切磋琢磨してきた。先輩として負けたくなかったが負け続けていた。高め合ってきた仲間で、つぎはお互い良いタイムで泳ごう、落ち込まないように声掛けした。自分は嬉しくて泣きそうだったが(福田)果音が悔し泣きしているの見て自分は(先輩として)泣いていられないなと思った。今回は派遣Aを取ろうとし、ベストで泳げましたが、パリ本番では記録も結果も満足できるものにしたい」(宇津木)

女子100m平泳ぎSB14は、芹澤が派遣B突破

100m平泳ぎを泳ぐ芹澤美希香(宮前ドルフィン) 写真・秋冨哲生

女子100m平泳ぎSB14では、昨年杭州でアジア記録を樹立した芹澤美希香(宮前ドルフィン)が、35秒94で折り返し、1:17.38で派遣Bを突破した。「前半に力を入れ、これまででもっとも速く泳げました」と記者の質問に答えて話した。 

男子100m平泳ぎSB14は、王者・山口が派遣Aを突破

すでにパリ出場権を獲得している世界記録保持者の山口尚秀(四国ガス)が1:03.62で派遣Aを突破した。 写真・秋冨哲生

「いつも通り、必要な筋力を強化して臨みました。3秒台、世界記録ペースで泳いだと思います。(昨年遠征した)イギリスでの水泳選手のトレーニングはただ泳ぐだけじゃなく陸上トレーニングも積極的だった。自分も家に空き部屋があったので、簡易な設備ですがバーベルとか、マシーンを置いてホームジムを設置しました。以前はジムに通っていましたが今は週に5〜6回、筋肉を休めながらいつでもトレーニングができるようにしています」

男子50m自由形S4は、鈴木が派遣A突破

50m自由形S4を泳ぎ終えた鈴木孝幸(GOLDWIN) 写真・秋冨哲生

男子50m自由形S4鈴木孝幸(四肢欠損・GOLDWIN)は、37.86で派遣Aを突破しパリパラリンピック内定、6大会目のパラリンピックを迎える。 
「38秒切りたいと考えていたことがこの1発勝負の選考会で実現できよかった。しっかりと泳ぎ込み、成果が出たと思う。世界選手権やアジア大会でもこのくらい出したかった。パリに向けてはもう一度泳ぎを調整します。」

男子50m自由形S11は、木村が派遣B突破

50m自由形レース後にゴーグルチェックをうける木村敬一(東京ガス)と星奈津美コーチ 写真・秋冨哲生

「惜しかった。いけるんじゃないかという気がしていたので残念です。確実にパラリンピックの代表になると思って、しっかりとコンディションを整えて入った。緊張はそんなになかった。良い感覚で泳げたように思っていたが、終わって冷静になると、飛び込みが少し深く、鋭角に浮き上がってきてしまったり、呼吸もうまくいかなかった。後半の泳ぎも流れの中で泳いでいるというより合わせながら力をだしていたなど細かいところにミスがあった。明日は、バタフライなので記録よりも良い泳ぎをしたいと思っている。それでAの記録を突破したい」
パリへ向けてチーム木村の進捗状況は順調で、オリンピアンのコーチ・星奈津美さんにもパリまでアドバイスをもらっていくという。

パリパラ水泳出場枠について

今年8月のパリパラリンピックへの出場枠は、昨年7月の世界選手権(マンチェスター)で日本は男子3枠・女子1枠を獲得。これに加えてWPSからMQS(パリ参加標準タイム)枠が配分され「男子9・女子9」(合計 男子12・女子10計22名)の出場枠が配分された。今大会でこの22名が選出され、8月のパリパラリンピック水泳日本代表として派遣される。

派遣タイムとしては、今回A・B と2通りが設定された。パリでのメダル獲得を目標とする「派遣A」と、8位入賞レベルの「派遣B」がある。チャレンジレースは(予選・決勝方式ではなく)1レースのみ、1発勝負で行われるため多くの選手が非常に緊張感があると話していた。

また、A・Bいずれも突破できなかった場合、MQSからの一定タイム以内であれば、同日に「再チャレンジレース」を行うことができる。大会1日目の再チャレンジレースは行われなかった。

(写真取材・秋冨哲生 校正・久下真以子、地主光太郎)

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