関連カテゴリ: Paris2024, チームジャパン, フランス, リンク, 夏季競技, 新着, 馬術, 馬術トップ — 公開: 2024年8月22日 at 10:07 PM — 更新: 2024年9月17日 at 11:25 PM

パリ2024パラリンピック、馬術日本代表は稲葉 将と吉越奏詞に決定!

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パリ2024パラリンピック馬術競技の日本代表人馬は、グレードⅡの稲葉 将(静岡乗馬クラブ)&ヒューゼットBHと、同じくグレードⅡの吉越奏詞(岡本ライディングクラブJAPAN)&ジャビロに決定した。

グレードⅡ 吉越奏詞&ジャビロ 撮影:HANAKA PARKER、CPEDI☆3 gememuiden(オランダ)大会

今月末に開催が迫ったパリ2024パラリンピック。馬術競技の日本代表人馬が、グレードⅡの稲葉 将(静岡乗馬クラブ)&ヒューゼットBHと、同じくグレードⅡの吉越奏詞(岡本ライディングクラブJAPAN)&ジャビロに決まった。

東京パラに続き、二度目のパラ出場となる若手二人

2023年1月1日から12月31日までに出場したCPEDI☆3以上の大会の成績によって、日本は個人2枠の出場枠を獲得したことが、今年3月発表された。その後、2024年1月1日から6月19日までのCPEDI☆3以上の大会成績も合算した結果、稲葉と吉越が日本代表候補としてJPC(日本パラリンピック委員会)に推薦された。

脳性まひで両下肢にまひがある稲葉は、中学に入る直前にホースセラピーを始め、大学4年生の時から本格的に競技を始めた。今年29歳。東京パラに続き、二度目のパラリンピック出場だ。
「約1年半の選考期間の間、人馬ともにケガやアクシデントなく過ごすことができ、プラス成績ということで、代表に選ばれてほっとしました。東京の時もそうでしたが、これまでやってきたものが出せるように、自分の一番いい演技ができたらいいなと思っています。入賞やメダルがまったく手が届かないところにいるわけではないと思うので、そういったところも狙いながら、自分のできることをパリの舞台でしっかりやるということに焦点を当てて頑張っていきたいと思います」

グレードⅡ 稲葉 将。「ヒューゼットのいいところが少しでも出るように、気持ちよく動いてもらえるようにしたい」 撮影:望月芳子

21歳で出場した東京パラに続き、同じく二度目の出場となる吉越も、競技歴は10年ちょっと。重度の脳性麻痺で「歩けないかもしれない」と言われ、生後約半年でホースセラピーを始めた。以来ずっと乗馬クラブに通い、東京パラの開催が決まった中学1年の時から競技を始めた。パリパラリンピックには、愛馬ジャビロとともに出場する。
「代表に選ばれてすごくうれしかったです。結構長い期間、選考があったので。去年すごくいい成績が取れて、今年も順調に成績が取れたので、パリに向けていい演技をしていきたいと思います。海外のすごく強い選手も多く出ますが、メダルを獲得できるように頑張ります」

グレードⅡ 吉越奏詞。「同い年のグレードⅢ Tobias Thorning Jorgensen(デンマーク)をリスペクトしている」 撮影:望月芳子

稲葉は昨年12月の大会以降、グレードⅢからグレードⅡにクラスが変更となった。競技を始めてからずっとグレードⅢで、体が経路を覚えてしまっているため、グレードⅡでは「次、あれして、こうして……」と考えながら動いている部分がまだ少しあるという。
「クラスが変われば、気をつけるポイントや指示の出し方などが変わります。まずはしっかり新しいクラスに適応することが引き続き一番大事なので、何か新しいことをするというよりも、できることを変わらず積み上げていくということをしっかりやっていきます」

吉越も、経路を正確に回ることをとても意識して練習してきた。
「バランスボールに座って体幹を鍛えるバランストレーニングをたくさんやるなど、万全にできるようにしてきました」

パリに向けて、それぞれの課題に取り組む選手たちだが、パリパラリンピック馬術日本代表選手団の三木則夫監督は、
「パリの出場枠を二つ獲得できたことは、日本にとって大きな成果だと感じています。パリでは、各人馬が持っている実力を出し切れたら入賞できる位置にいると思っています」
とコメント。

JRAD(一般社団法人 日本障がい者乗馬協会)の河野正寿事務局長も、
「東京パラリンピックの時に、宮路満英選手が2種目入賞という素晴らしい成績をあげてくださいました。パリでは2名の選手が出るので、1人1人の選手に入賞していただきたい。今回は残念ながら団体でパリに出場することはできませんでしたが、戦力が強くなることが、次のロサンゼルスパラへの団体出場にも大きな影響を与えると思います」
と期待を寄せる。

パラ馬術の魅力は、人馬一体となった正確で美しい演技。障害の程度によってグレードⅠ~Ⅴにクラスが分かれているが、同じグレードの中では、年齢も障害もさまざまな選手が男女一緒に競い合う。
パリパラ馬術競技の見どころは、もちろん日本代表人馬の活躍だが、欧米や、香港、シンガポールの選手たちもレベルが高い。競技会場がベルサイユ宮殿であることも、注目ポイントだ。

コアな馬術ファンでなくても楽しめる、と稲葉。
「この競技を知らない人がいきなり見ても、技術的な面などはなかなか見分けがつかないと思います。でも、いろいろな選手や馬が出場するので、この馬きれいだな、とか自分のお気に入りの馬や、推しの選手を見つけるといいかもしれません。また、ベルサイユ宮殿という場所の雰囲気を味わって、何となく非日常を感じられるのではないかと思います。そこでの演技を見たことが、自分も何かチャレンジしてみようかな、とか、馬に乗ってみようかな、ふれてみようかな、というきっかけになってくれたらうれしいですね。そう感じてもらえるような演技ができるように、しっかり準備したいと思います」

馬術競技は、9月3日~7日に行われる。熱戦が楽しみだ。

グレードⅡ 稲葉 将&ヒューゼットBH 撮影:VGB Photography、CPEDI3★Kronenberg(オランダ)大会

 
パリパラリンピック競技会 パラ馬術代表人馬選考基準
https://jrad.jp/wp/wp-content/uploads/2024/06/26127eb87962937cf3ac977a9aac2d1d-1.pdf

FEI Para Dressage World Individual Ranking – Grade II
https://www.fei.org/dressage/rankings

パラサポWeb パリ2024パラリンピック特設サイト
https://www.parasapo.tokyo/paralympic/paris2024

(取材協力:JRAD、写真提供:JRAD・稲葉 将・吉越奏詞、校正:佐々木延江・田中綾子)

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