関連カテゴリ: Tokyo 2020, インフォメーション, 周辺事情, 地域, 東京パラムーブメント, 神奈川 — 公開: 2016年4月1日 at 9:07 PM — 更新: 2016年4月16日 at 7:45 PM

報告:横浜パラスポーツの街づくりへ、林市長と「つどいの会」がティーミーティング開催!

上映作品を観る林市長と横で作品の解説をする依藤氏。
上映作品を観る林市長と横で作品の解説をする依藤氏。

3月29日、横浜市の林文子市長の主催する「ティー・ミーティング~ようこそ市長室へ~」に、「横浜パラスポーツのつどい(以下;つどいの会)」から9名が参加した。ティーミーティングは市長が主催、市長室に市民のグループを招いて定期的に開催されている。

「ティー・ミーティング~ようこそ市長室へ~」林市長と横浜パラスポーツのつどいメンバーによる会議風景
「ティー・ミーティング~ようこそ市長室へ~」林市長と横浜パラスポーツのつどいメンバーによる会議風景

「つどいの会」は、昨年12月に、横浜・神奈川を中心にスポーツをする障害者、支える人、メディア、ファンなどが集まり、お互いの活動と課題を知らせ合う、プレゼンテーション会を開催したのが始まり。2月には、”よこはま大さん橋フェスタ”で、「パラスポーツ in よこはま大さん橋」を開催し、週末の2日間に横浜初の市民による体験交流会とトークセッション、生活車から競技車まで・乗れる展示コーナー、など、パラスポーツの魅力を伝えるイベントを行った。


桟橋フェスタ・パラスポーツ in よこはま大さん橋でのウィルチェアラグビー体験交流会
桟橋フェスタ・パラスポーツ in よこはま大さん橋でのウィルチェアラグビー体験交流会
大桟橋フェスタに関わったスタッフ、来場者での記念撮影
大桟橋フェスタに関わったスタッフ、来場者での記念撮影

ティーミーティングでは、まず、つどいの会が、2020年の後の地域づくりや新たなスポーツ環境への普及と交流を目標にしていること、林市長はじめとする行政と市民の対話のきっかけを求めた応募であったことを伝えた。
メンバーは、それぞれがパラスポーツと長く関わってきたが、これまで横の交流はなかった。2020東京パラリンピック開催を機会に、市民連携による地域振興、新たなスポーツのあり方を語り合う仲間を増やしている。

横浜の競技環境の現状
横浜市の障害者のスポーツ環境は、「障害者スポーツ文化センター横浜ラポール」(1992年設立、指定管理者:社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団)が1箇所で担っている。その取り組みにより、利用者数年間45万人と大阪長居障害者スポーツセンターと並ぶ全国トップの稼働施設となっている。スタッフも他より多いが、横浜市の人口比を踏まえれば、場所もスタッフも大きく不足している。練習施設、人材の確保が深刻な課題となっている。

電動車椅子サッカーのクラブチーム・横浜クラッカーズの平野誠樹監督により、障害の度合いにより異なるスポーツへの参加状況、練習場所、遠征資金、サポート人材の確保の難しさなどについて詳しい現状のレポートが行われた。

競技環境について話す、平野誠樹氏(左)。右は小山内明氏。
競技環境について話す、平野誠樹氏(左)。右は小山内明氏。

社会の変化に対応した、社会問題の解決に向けて

現在市では新たに横浜南部の障害者スポーツの拠点として、上大岡駅(港南区)の駅ビル「ウィリング横浜」の2フロアの活用を検討をしていることがわかった。28年度に検討を進めるための予算が組まれている。どのような形になるか、2020と連動した施設となるのかは、今年度の調査にかかっているということだ。

さらに時代の変化を補うには、既存にある民間施設のインクルージブな活用促進などが必要で、社会の側で解決すべきことを考えるための市民理解に向け、私たちつどいの会が行政とできることを模索していきたい。
とくに、車椅子スポーツでの体育館使用に理解が得られないことは、横浜市だけでなく、大きく報道されており全国的な課題として存在し続けていることなど、日頃から心を痛めている状況について現場からの声を市長に伝えた。

横浜市障害者スポーツ協会を
2020年へ向け、東京とともにオリンピック・パラリンピック開催を支えるとさえ思われる、スポーツ都市横浜。しかし、横浜での障害者のスポーツはこれからである。
元横浜市スポーツ振興審議会委員でもあり、長野パラリンピックから深くパラスポーツに関わってきた、野村一路氏(日本体育大学生涯スポーツ学研究室)は、「横浜市には『障害者スポーツ協会』がなく、日本障がい者スポーツ協会との調整や、地域の当事者を中心とした情報整理がなかった」と横浜市障害者スポーツ協会の必要を話した。スポーツをする市民を中心に横浜ラポール内に設ける必要があると伝えた。

野村一路氏(右)。左は、依藤正次氏。
野村一路氏(右)。左は、依藤正次氏。

この日の議論で、市長からは、「局をまたいで取り組む必要がある」という認識を引き出すことができ、大きな成果を得ることができた。
ミーティングは、つどいの会の司会・角野渉氏(建築家)と、時に市長がリードしながら、1時間という短い時間だったが、2020開催地に隣接する地域で、あらためて、障害のある人を含めたスポーツの街づくりを、根本的に見直す機会となることを願う議論が集中して行われた。

また、市民局、健康福祉局などのパラスポーツに関連する部署の人々も参加した。まさに、横浜パラスポーツの街づくりの市民と行政の対話が始まる瞬間となったのではないだろうか。

林文子市長と横浜パラスポーツのつどい参加者。左上から、石野恵子氏、角野涉氏、松本卓也氏(平野氏介助)、鈴木賀津彦氏、野村一路氏、小山内明氏、依藤正次氏、左下から、矢嶋志穂氏、平野誠樹氏、林文子市長、佐々木延江(呼びかけ人代表)
林文子市長と横浜パラスポーツのつどい参加者。左上から、石野恵子氏、角野涉氏、松本卓也氏(平野氏介助)、鈴木賀津彦氏、野村一路氏、小山内明氏、依藤正次氏、左下から、矢嶋志穂氏、平野誠樹氏、林文子市長、佐々木延江(呼びかけ人代表)

<参考>
電動車椅子サッカー普及の目的で制作され、市長ミーティングで上映した映像(制作:松本敦、プロデュース:森田和彦、依藤正次)
https://www.youtube.com/watch?v=c1Hdr9RqHz0

<ティーミーティング参加者>
林文子横浜市長
(以下、横浜パラスポーツのつどい参加メンバーの敬称略)
佐々木延江:NPO法人国際障害者スポーツ写真連絡協議会(パラフォト)代表
依藤正次:NPO法人横浜スポーツコミュニケーションズ代表
平野誠樹:電動車椅子サッカークラブチーム横浜クラッカーズ監督・元選手
野村一路:日本体育大学教授、元横浜市スポーツ振興審議会委員
矢嶋志保:元パラスイム選手、2020東京パラリンピック大成功WTエクスパートチームメンバー
石野恵子:トライアスリート、英会話講師・小学校PTA副会長・町内会広報副部長
小山内明:マルハン株式会社(人事部、電動車椅子サッカー大会スポンサー企業)
鈴木賀津彦;東京新聞編集局、当事者メディア研究
角野渉(司会):自営業(一級建築士事務所)、大桟橋トークショー「パラスポーツの街作り」司会
ほか、市民局、健康福祉局より参加

(ミーティングの写真:横浜市市民局広聴課提供)

この記事にコメントする

記事の訂正はこちら(メールソフトが開きます)