ロホヤ(フィンランド)にて開催された「2024年世界車いすBカーリング選手権大会(WWhBCC2024)」にて、日本代表チームが世界車いすカーリング連盟主催の国際大会(公式戦)で史上初となる銀メダルを獲得した!
大会は来年3月にスコットランドで開催される世界車いすカーリング選手権大会(以下: 世界選手権)の出場権3枠をかけた戦いだった。日本代表チームは4月に行われた日本選手権で優勝したKiT CURLING CLUB (北見市)の鏡裕輝(フィフス)、松田華奈(リード)、岩田勉(セカンド)、柏原一大(サード・スキップ)とSafilva 北海道からサポート選手として高橋宏美(フォース・バイススキップ)が出場、コーチの持田靖夫と選手5名で挑んだ大会だった。
大会は、11月3日〜8日までの6日間で予選リーグ10試合と最終日の9日に決勝トーナメント2試合が行われた。
予選リーグ
出場国はアメリカ、イングランド、エストニア、スイス、スペイン、タイ、チェコ、フィンランド、ポーランド、香港、日本の合計11チーム。この内、アメリカ、チェコ、エストニアの3チームは今年3月に行われた世界選手権から降格したチームである。日本はこの予選リーグでチェコ、アメリカに敗退したものの、イングランドやエストニアの強豪に僅差のゲームで競り勝ち、10試合中8勝、予選2位で決勝トーナメントにコマを進めた。
準決勝 日本 vs チェコ
最終日の準決勝では、予選で敗北したチェコと対戦した。
ここで日本代表持田コーチは、国際戦デビューで競技歴1年3ヶ月の新人・鏡を抜擢した。
鏡は序盤から重要な場面でショットを決めて日本チーム優位の展開をもたらした。一方、チェコも世界選手権常連の意地をみせ徐々に点差を縮めてくる。
2点リードで迎えた第6エンド、フォースを務める高橋のヒットアンドロールが決まり、なんとか1点失点で凌ぎ切るものの、第7エンドには2点をスティールされてしまい、逆転を許す。
後がない第8エンドになんとか1点をもぎ取り、エキストラエンドへ。
このエンドで先攻する日本は、攻めの姿勢をみせ、序盤からガードストーンを置きに行く。
一進一退で進むエキストラエンド、第8投目を投げる高橋が針の穴を通すような正確なショットを決めて相手のNo.1ストーンを見事にテイクアウトする。
これで最後の1投を投げるチェコのセルネコヴィコヴァ・ダナ(Dana Selnekovicova)はガードストーンの間を通す難易度の高いショットが必要となり追い込まれる。
その結果、セルネコヴィコヴァのラストショットは日本のガードストーンに当たり、日本のNo.1ストーンのテイクアウトは失敗となり試合終了。
接戦を制した日本が6-5で勝利。決勝へコマを進めた。
決勝戦 日本 vs アメリカ
決勝は予選で敗北したアメリカと対戦した。
アメリカは世界選手権常連国であり、全選手のショット精度が高いのが特徴である。
序盤はアメリカの猛攻をなんとかかわすものの、迎えた第4エンドで日本は5失点のビッグエンドを与えてしまう。ハーフタイムを挟んで立て直しを図ったが、第5エンドで3点、第6エンド1点を立て続けに奪われ、7点差まで点差を広げられる。
第7エンドに2点を取り返すものの、終始アメリカペースで試合を進められ4-9で試合終了。
決勝戦は敗戦となったが、日本はこれまでの大会で最高位となる準優勝という結果で大会を終えた。
本大会では新人の鏡の成長が目立った。元パワーリフターの彼の武器は相手のガードストーンを吹き飛ばす力強いテイクショットである。短期間での成長ぶりには、今後の期待が膨らむ。
3月の世界選手権までの残り4ヶ月弱でどこまでパワーアップできるかが日本代表の成長の鍵になると言っても過言ではない。
日本は昨年の2023年に15年ぶりとなる世界選手権に出場したが、その時は12位(最下位)となり非常に悔しい思いをした。
日本の世界ランキングは現在13位。
パラリンピック出場には世界ランキング9位以内(開催国を除く)に入ることが条件であるが、パラ出場のためには次回の世界選手権常連の強豪国を倒してランキングを上げなければならない。
ミラノ・コルティナ2026 冬季パラリンピックまでの道のりは過酷ではあるが、今後の日本代表の飛躍が楽しみだ。
(校正・佐々木延江、そうとめよしえ)