
決戦の地へ送り出す、温かなエール
2026年2月14日、長野県軽井沢町の軽井沢アイスパークにて、ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会車いすカーリング(ミックスダブルス)日本代表の壮行会が開催された。

会場には御代田町長、軽井沢町長をはじめ、地域関係者や支援者が集い、地元有志による応援フラッグが贈られた。主役は、日本代表の中島洋治(スキップ)と今大会日本選手団旗手でもある小川亜希。二人にとって今回の舞台は、2010年バンクーバー大会以来、実に16年ぶりのパラリンピックとなる。
中島は「行くからには精いっぱい頑張りたい。日本からの応援を力にしたい」と語り、小川も「楽しみながら続けてきたことが、ここにつながった。感謝を胸にベストを尽くす」と決意を述べた。
バンクーバーの記憶と「雪辱」
16年前の2010年大会で、二人は4人制日本代表として出場し、強豪国と互角に渡り合いながらもメダルには届かなかった。
当時のチームメイトで、現在は協会理事を務める市川勝男氏は、「雰囲気にのまれ、自分たちのプレーができなかった」と当時を振り返る。
同じく代表として戦った斉藤あや子氏も、「世界選手権とはまったく違う空気だった」と、パラリンピック特有の重圧を語った。

あの悔しさは、今回の二人にとって長年消えない原体験であると同時に、それは競技人生を支え続けてきた原動力でもあったのだろう。
積み重ねた技術とコミュニケーション、再挑戦への道
バンクーバー後も中島と小川は同じ埼玉の拠点で競技を続け、国内外の大会で経験を重ねてきた。昨年には4人制で世界タイトルを獲得するなど、実績と自信を着実に積み上げている。
世界選手権金メダルで掴んだミラノ・コルティナへの切符は、決して偶然ではない。長い年月にわたる継続と鍛錬の末に掴み取った成果である。
最大の武器は「あうんの呼吸」
両氏が口をそろえて評価するのが、二人の「以心伝心」の関係性である。
「長年同じ氷の上に立ってきたからこそ、言葉がなくても通じる」(市川氏)

中島が戦略を組み立て、小川が最終投を託される役割分担は、すでに完成形に近い。通常、スキップが最後の一投を担うことが多いが、このペアでは小川がその重責を引き受けることで、中島が自由度の高い戦術判断を可能にしている。
互いに遠慮せず、信頼し合える関係性こそが、このペア最大の強みである。
課題と対策――進化したサポート体制
一方で、海外遠征に伴う食事環境や寒冷対策、そして世界王者として徹底的に研究される立場にあることは大きな課題である。
しかし今回は、分析スタッフやトレーナーを含む体制が整備され、2010年当時とは比較にならない支援環境が用意された。協会としても、選手が競技に集中できる条件づくりに力を注いでいる。
経験と科学的サポートの融合が、今回のチームの特徴である。
「成熟した二人」らしい集大成へ
市川氏は「上位を十分狙える力はある」と語る。
16年前に残した雪辱と向き合いながら、ともに成長した姿を見せれくれるだろうという信頼からだろうか。

中島・小川ペアは、3月4日開幕の予選リーグに向け、ミラノへと旅立つ。
長い時間を共有してきた二人だからこそ描ける物語が、いま再び世界の舞台で試されようとしている。






