2026年9月11日から13日まで、新潟市のMGC三菱ガス化学アイスアリーナで「ナブテスコ 車いすミックスダブルスカーリング選手権大会2026」が開催された。
10チームが出場し、3つの予選リーグで総当たり戦を行った後、上位チームによるプレーオフで優勝を争った。
車いすカーリングのミックスダブルスは、男女2人でペアを組んで戦う。通常のカーリングとは異なりスウィーピングを行わないため、ショットの精度や戦術、2人のコミュニケーション、そして時間の使い方も勝敗を左右する。
ミラノ・コルティナ冬季パラリンピックでは、車いすカーリングのミックスダブルスが初めて正式種目として実施された。日本代表として出場した小川亜希と中島洋治も「チーム中島」として今大会に出場した。

夏・冬二刀流のパラリンピアン・斎藤あや子、決勝へ
今大会で決勝まで勝ち進んだのが、斎藤あや子と畑山勇の「チーム斎藤」である。

斎藤はパラアーチェリー日本代表として2008年北京パラリンピックに出場し5位に入賞、その後、車いすカーリングでも2010年バンクーバー冬季パラリンピックに出場した。夏と冬、2競技でパラリンピックを経験している。
準決勝では土屋知子・鈴木秀則ペアと対戦。第3エンドを終えて0―4とリードを許した。

しかし、第4エンドから流れが変わった。斎藤・畑山ペアは第4エンドから第8エンドまで、5エンド連続で1点ずつを積み重ねた。0―4から5―4と逆転し、決勝進出を決めた。

もう一つの準決勝では、村松由里・安杖直人ペアと大野美紀・和智浩ペアが対戦した。

村松・安杖ペアが第3エンドまでに5―0とリードしたが、大野・和智ペアも追い上げ、第7エンドを終えて5―5の同点とした。最終第8エンドで村松・安杖ペアが1点を挙げ、6―5で決勝進出を決めた。

決勝戦は第8エンドまで続く、世界につながる争い
決勝は、斎藤・畑山ペアと村松・安杖ペアの対戦となった。
斎藤・畑山ペアが第5エンドまでに5―0とリード。しかし、村松・安杖ペアは第6、第7エンドで1点ずつを返し、5―2で最終第8エンドを迎えた。
第8エンドでは斎藤・畑山ペアが持ち時間を使い切り、公式記録では「持ち時間終了のため、タイムアウト負け」となった。村松・安杖ペアが優勝を決めた。

優勝した村松・安杖ペアは、2027年3月1日から8日までフィンランド・ロホヤで開催される世界車いすミックスダブルスカーリング選手権に出場する。
元チェアスキー日本代表・野島弘、車いすカーリングで新たな勝利を目指す
今大会には、チェアスキー日本代表として1998年長野、2006年トリノ冬季パラリンピックに出場した野島弘も参加した。野島は、パラアルペンスキーの競技経験を持ち、車いすカーリングにも取り組む岸本愛加とペアを組み、「ZEN」として出場した。

予選2試合を終えた野島は「負けてばっかじゃ、だめだよね。やっぱり勝たないといけないね」と笑ったが、柔らかい笑顔と裏腹に、近くトップを奪い取ろうという静かな闘志を感じた。
子どもたちとの競技の普及にも取り組む野島は、障害が重く、ほかの車いすスポーツへの参加が難しい人にも車いすカーリングならできる可能性があると話す。
自身も車いす体験会でカーリングに出会い、子どもたちとともに競技に引き込まれていったという。今大会の会場にも、当初、車いすカーリングの体験会にともに参加した子どもが家族と観戦に訪れていた。
競技を広げる上での課題として野島が挙げたのが「練習環境」である。
「関東だと練習をやれるところが今なくてね。長野まで行かなくちゃならないんだよね。リンクがないのも深刻だよね」
競技人口を増やすことと同時に、継続して競技に取り組める環境づくりも課題となっている。
新潟から世界へ
ミラノ・コルティナでパラリンピック正式種目となった車いすカーリング・ミックスダブルス。新潟の氷上で競い合った選手たちの一投は、次の世界へとつながっている。
最終順位
1位 村松・安杖(村松由里/安杖直人)
2位 チーム斎藤(斎藤あや子/畑山勇)
3位 土屋・鈴木(土屋知子/鈴木秀則)
4位 チーム大野・和智(大野美紀/和智浩)
5位 KiT CURLING CLUB(高橋宏美/柏原一大)
6位 チーム中島(小川亜希/中島洋治)
7位 チーム札幌(坂口陽子/本間篤史)
8位 ZEN(岸本愛加/野島弘)
9位 チーム福永(岩澤代志子/福永泰大)
10位 チーム亀谷・金泥(亀谷光恵/金泥匠)
(校正・佐々木延江)






