競技最終日になる9月18日(現地時間)、コパカバーナ地区でマラソンが行われた。コパカバーナビーチはブラジルで最も有名なビーチの一つ。選手たちは潮風香る美しい海岸沿いのコースを走り抜けた。
視覚障害クラスでは、女子の道重美里(39歳・三井住友海上)が銀メダル、男子の岡村正広(46歳・RUNWEB)が銅メダルを獲得した。
道下は世界記録まで58秒に迫る2時間59分21秒の日本記録を持つ。同じレースには道下の他に、近藤寛子(49歳・滋賀銀行)と西島美保子(61歳・日本盲人マラソン協会)の二人の日本人選手が出場した。
レースはスペインのエレナ・コングストが一人でレースを引っ張り、2位と2分以上の差をつけ1時間30分41秒で中間地点を折り返した。道下はエレナと3分5秒差の3位で折り返し地点を迎えた。道下は終始ペースを崩さぬ走りを見せ、30キロの手前で2位に順位をあげるが、最後までエレナを捉えることができずそのまま3時間6分52秒の2位でゴールした。
レース後、道下は「スペインの選手が最初からとばして追いつけませんでした。日差しが強く後半で思ってたよりペースを上げることができなかった。追いつけなかったのは悔しいですが、最後まであきらめずに走り切り、銀メダルをとれたのが嬉しい」と笑顔を見せた。
インタビューの途中、「二人とも年下ですが。本当に頼りになるんです。二人に助けてもらったからこそ取れた銀メダルです」と一緒にレースを走った伴走者の二人について道下が話すと、伴走者の堀内規生が涙を流す場面もあった。視覚障害者にはレース中、隣に伴走者がつく。道下はレース後、二人の伴走者に改めて感謝を述べた。
「このストールも、いつも一緒に走っている会社の子が渡してくれたんです。日本の国旗がついてます。その人といつも一緒に走ってるから、今日も一緒に走りました」と首に巻いていたピンクのストールを見せてくれた。「苦しい時間帯も、いつも一緒に走っている人たちの顔を思い浮かべながら走ったら、1キロがあっという間でした」
道下にとって、周りに支えられながら獲得した嬉しい銀メダルになった。