夏季競技, 東京, 水泳 — 2021年3月7日 at 4:51 AM

「競い合える楽しさを存分に味わって!」日本パラ水泳選手権が開幕

世界的パンデミックにより延期となった東京パラリンピックまであと170日余となった3月6日、日本代表選手らを含むパラスイマー315人が集まり、日本パラ水泳選手権大会が静岡県富士水泳場で無観客で開幕した。2日間の日程の初日は、11の日本記録と21の大会記録が樹立された。感染症対策で、パラリンピックを前に海外遠征がなくなり、日常練習のためのプールが使えなくなるなど苦境のなかでも自分の目標に向き合う選手たちの姿を目にすることができた。

静岡県富士水泳場 写真・秋冨哲生

開会にあたって、主催する一般社団法人日本障がい者水泳連盟会長の河合純一氏は「できないではなく、どうするかを考え、練習を積み上げてきた選手にお礼を言いたい。競い合える楽しさを存分に味わって、170日後のパラリンピックに向けて可能性を信じ、素晴らしい泳ぎをしてほしい。最高の泳ぎを楽しんで!」とあいさつした。

日本新記録更新(順不同)

西田 杏(三菱商事)

写真・秋冨哲生 女子50mバタフライ(S7)西田杏(三菱商事)

日向 楓(宮前ドルフィン)

日向楓(宮前ドルフィン)男子50mバタフライ(S5)のスタート前 写真・秋冨哲生

15歳の日向は「電光掲示板を見た時、すがすがしくてとても気持ち良かった。想像を超えたタイムが出て本当にうれしくてみんなに自慢したくなった。(自由形は)前回のタイムが、前半が50、後半が40秒だった。それだと10秒も差があってよくないので、できるだけタイムを揃えて泳げるようにした。今日は、自分の考えた通りにいけたのでよかった。今後は1位をとって、世界記録を更新したい」

中村智太郎(HISAKA)

男子100m平泳ぎ(SB6)中村智太郎(HISAKA)写真・秋冨哲生

「(11月の)仙台で遅かったので、距離、内容を増やし1から練習をやり直しました。今年の初めに22秒台で泳いだ。一発やってやろう、本気で臨んでいきたいと思っている。生まれつき腕がないので、頭と背筋で上半身整えないと、足も上がってくるし、沈んだりするので、上半身、体幹を主に鍛えて足の強化もするトレーニングを積んできた。自己ベストは1分21秒79(2011年・カナダ)で、クラス分けで(SB7から)SB6に変わったが、これを目標にしている」

 芹澤美希香(宮前ドルフィン)

100m平泳(SB14)終えた芹澤美希香(宮前ドルフィン) 写真・秋冨哲生

「前半から積極的な泳ぎができていてよかった。本当はもう少し早いタイムを出したかったが、ベストが出たことはすごくよかった。ベストが出た理由は、同じチームの林田泰河さんと一緒に、林田さんのメニューでたくさん泳ぎ込みをしたこと」


山田美幸(WS新潟)

女子50m背泳ぎ(S2)山田美幸(WS新潟) 写真・秋冨哲生

「レースがしばらくなく、レース感覚を忘れてないか心配だったか気持ちよく、前回のタイムよりも5、6秒縮めることができたので嬉しい。前回のレースで最初に飛ばしすぎて後半もたなかったので、トレーニング内容をスタミナをつける内容に変えてもらい、おかげで最後に飛ばしても最後の5ミリくらいいける、という気持ちで泳げた。メダルは正直とりたいがその前に自分との戦いで自己ベストがたくさん出るようにしたい。水泳は楽しい。特に水の中を潜るのが好きで、心が落ちつきます」

菅原紘汰(ミラクルスイミー)

男子50m背泳ぎ(S5)菅原紘汰(ミラクルスイミー) 写真・秋冨哲生

辻内彩野(三菱商事)

100m自由形(S13)スタート前の辻内彩野(三菱商事) 写真・秋冨哲生

「前半の10mが一昨年9月の世界選手権の時のようにいっぱいいっぱいになってしまってバテたのが非常に心残り。日本新だったことを聞いた時は、ああ、もうちょっと頑張れたな、と思った。後半は大きく泳ぐことを意識していたので、スピードは頭になかったが、前半29.2で入っていたのはよかったと思う。昨年11月のパラ水泳秋季記録会、その2週間後に東京都のマスターズの大会に出て、その際に1分00秒07を出しているので、このタイムまではもうちょっと調整をかけていきたい。
久しぶりにパラの大きな大会に出たので、柄にもなく緊張していたが、スタート台に立ったら『楽しかった』というのが一番大きい」

荻原虎太郎(セントラルスポーツ)

200m個人メドレー(SM8)を泳ぐ、荻原虎太郎(セントラルスポーツ) 写真・秋冨哲生

そのほか、日本新記録を樹立したのは、女子50m背泳ぎ(S8)花岡恵梨香(清水建設)、男子100m自由形(S13)長野凌生(野村不動産パートナーズ)、女子200m個人メドレー(SM14)井上舞美(イトマン大津)。

感染対策を徹底した開催

会場は、選手、報道陣がそれぞれのゾーンに分かれて行きかい、各パートで人数制限した。選手出場のための参加基準も高め、人数制限した。取材はオンラインでのインタビューなど、感染拡大防止に力をいれた上で、IT技術による効率化も図られていた。

両足麻痺という重度障害があり、感染対策にも慎重なベテラン・アスリートの成田真由美は今回の感染対策についてつぎのように話していた。
「観客がいてくれて、がんばれ、成田! が力になるのは間違いない。静かな試合は寂しいが、そういう状況のなかでも試合ができるのは嬉しい。このような形で水泳についてはできると思いました」

<参考>
大会リザルト(日本障がい者水泳連盟のページへ)

(校正・取材協力 望月芳子、石野恵子)

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