Tokyo 2020, 東京, 馬術, 馬術トップ — 2021年9月11日 at 2:32 PM

パラ馬術:団体戦、やはり強い! 揺るがぬ王者イギリスが金メダル!

8月29日(日)、東京のJRA馬事公苑で、東京2020パラリンピックの馬術競技団体戦2日目が行われた。

パラ馬術の団体戦は2日間にわたって行われる。各国が出場資格を持つ人馬のうち、個人競技の成績順に3人馬を選出(うち1人馬はグレードI、II、IIIでなければならない)。各グレードでそれぞれ団体競技を行い、得点が確定。3人馬の合計得点が最も高いチームに金メダルが授与される。

Medal ceremony for the team competition. GBR finished in gold postition. Lee Pearson Breezer, Sophie Wells Don Cara M, Natasha Baker Keystone Dawn Chorus.
Photo Copyright © FEI/Liz Gregg

初日に行われたグレードI、II、IIIで団体を構成する3人馬がすべて登場し、最終累計スコアが確定しているのは、シンガポール(200.792%)とカナダ(211.699%)。
日本はグレードⅡの宮路満英&Charmanderが65.485%、グレードⅢの稲葉 将&Exclusiveが70.118%を記録し、合計135.603%で最終演者の高嶋活士&Huzetteの演技を待つ結果となっていた。

団体戦2日目はグレードVからスタート。このグレードには8人馬が登場。

最初に登場したのはオーストラリアの人馬。オーストラリアは今日グレードV、IVに2人馬を残している。最初に演技したAmelia White&Genius 60は70.558%、昨日のEmma Booth&Zidaneとの合計スコアは138.558%。
続いて登場したのは、アイルランドのTamsin Addison&Fahrenheit。昨日の2人馬合計は140.944%。66.232%のスコアを記録し、3人馬の合計は207.176%に終わった。

3番手はドイツのRegine Mispelkamp&Highlander Delight’s。
大きな伸長駈歩(しんちょうかけあし)や安定した移行。最後の数歩でややばたつきはあったものの、71.046%を記録。グレードIVの最終ライダーにバトンをつないだ。
4番手は イタリアのFrederica Sileoni&Burberry。途中、伸長速歩(しんちょうはやあし)でいきおいあまって駈歩(かけあし)が出てしまった場面もあり、少し乱れたところもあり、65.977%で合計214.057%の団体最終成績となった。
5番手はメダル候補オランダの2番手、Frank Hosmar&Alphaville。順当な演技で74.814%のスコア、2人馬終了時点の合計は151.049%で、現時点でイギリスに続く2位につけた。
6番手はベルギーの2番手、個人金メダルコンビ、Michele George&Best of 8。途中で移行でばたついたところも見られたが大きく影響せず77.047%の高得点。2人馬終了時点でベルギーの総計は149.312%。残る人馬のスコア次第ではメダル圏内に入るかもしれない結果でつないだ。
7番手はRPCの最終コンビ、Natalia Martianova&Quinta。個人競技の成績とほぼ同じ71.256%を記録、総計208.233%で競技を終了した。
グレードV最終演者は王者イギリスの最終演者、Sophie Wells&Don Cara.Mコンビ。途中駈歩の手前がずれるハプニングが一瞬あったものの、立て直して演技を終了。75.651%の演技で229.905%の最終成績。メダル獲得は当確と思われるイギリス。はたして何色になるのか? グレードIVのオランダ、アメリカの選手の成績次第でメダルの行方が決まることとなった。

団体戦最後のグレードはIV。最初に登場したのは、前回2016年リオパラリンピックより目覚ましい成長を見せたアメリカの最終演者、Kate Shoemaker&Solitaire 40 。団体メダルなるか、緊張の中チームメイトが見守る。71.825%の成績を収め、総合成績は224.352%。

Tokyo 2020 Paralympic Games – Equestrian Team
Kate Shoemaker riding Solitaer40 USA. USA finished in bronze medal position.
Photo Copyright :copyright: FEI/Liz Gregg

この時点でイギリスがリードも守るも、アメリカはまだまだメダル圏内の成績。
次はドイツの最終演者、Saskia Deutz&Soyala。71.475%のスコアで総計は215.036%。アメリカには及ばなかった。若手の成長がなかなか進まず、今後ドイツの復活への道に注目が集まる。
続いてオーストリアの最終演者Bernd Brugger&Bellagio 4。ドイツを抜くことができるのか? 期待がかかった演技は65.950%で最終成績は213.502%。

ここで日本の高嶋活士&Huzetteが登場。日本史上初の団体出場を締めくくる演技に注目が集まり、62.775%で演技を終了、団体総計198.378%となった。

次はオランダのアンカー、Sanne Voets& Demanteur。さすがのメダリスト、78.200%の高いスコアを記録し、接戦を演じたが、わずかイギリスに及ばず、オランダはこの時点で2位の総合得点229.249%に終わった。

銅メダルは誰の手に?
続いて登場したのはフランスの最終演者Vladimir Vinchon&Fidertantz for Rosie。笑顔とガッツポーズで満足の演技で71.525%を収め、ドイツを追い抜く216.219%の総合得点。現時点で4位。
銅メダルの行方がこの時点で気になる、デンマークの最終演者はSusanne Jensby Sunesen & Leeds。アメリカのスコアを抜くことはできるのか、両チームがかたづをのんで見守る中、72.250%の見事なスコアを収めたが、わずかな差でアメリカに及ばず、合計は224.324%で4位の位置につけた。

次はオーストラリアの最終演者、Sharon Jarvis&Romanos。ベテランらしい演技を披露し、67.900%を記録。団体総合得点は206.458%に終わった。

メダルの行方はいかに? 緊張が高まる中、75%以上を記録すれば銅メダルという状況でベルギーの最終演者Manon Claeys&San Dior 2がすべてを締めくくる。Claeysは満足の笑顔で73.775%を記録し、総合得点223.087%。
銅メダル争いで息をのむアメリカ、ドイツ、デンマーク3カ国の戦いを制したのはアメリカ。パラリンピック初の団体メダルを獲得した。4位デンマークとの差はわずか0.028%だった。
そして、若い馬たち、急なエントリー変更などのチャレンジを制して金メダルを獲得したのは揺るがぬ王者、イギリス。
団体戦のトップ3は、デンマークで2022年に開催される世界選手権の出場権が得られる。世界選手権は次の2024パリパラリンピックの資格取りの機会になる。メダルだけでなく、次につながる大事な意味を持つ結果だった。

日本は最下位の15位だったが、初めての団体戦。パラリンピックの大舞台で稲葉 将&Exclusiveが自己ベストの70.118%を出すなど、それぞれの人馬が健闘した。

金メダル イギリスチームのコメント
「まさか金メダルが取れるなんて、まったく誰も予想していなかったと思います。ここ数日間、馬たちが頑張ってくれて本当に誇りに思います」(Natasha Baker)
「まったく想像もしない結果でした。現実的ではないと思っていました。馬たちは経験が浅く、いままでこのような大会に出場したことのない馬たちです。オランダの人馬は安定していて、私たちの馬はまだまだだと思っていたので」(Sophie Wells)
「チャンピオンシップ経験のある馬は、一頭もいなかったんです」(Lee Pearson)

Tokyo 2020 Paralympic Games – Equestrian Team Grades I, II and III
Lee Pearson riding Breezer GBR. Grade Ⅱ
Photo Copyright :copyright: FEI/Liz Gregg

銀メダル オランダチームのコメント
「5年間このために努力してきました。ここで最高の演技ができるよう、そしてそれができたなら、がっかりするような気持ちにはなりません。
すごくプレッシャーがかかっていました。出番表を見た時、私が3人馬の最後だとわかり、その時には金メダルを獲得するために必要なスコアがわかっている、ということを実感しました」(Sanne Voets)

Tokyo 2020 Paralympic Games – Equestrian Team
Sanne Voets riding Demantur NED. NED finished in silver medal position.
Photo Copyright :copyright: FEI/Liz Gregg

銅メダル アメリカチームのコメント
「なんともいえない気持ちです。すごい接戦で、最後まで緊張が解けませんでした。この2人のチームメイトとともに表彰台にたてたことを嬉しく思います。(4大会経験して)ようやく、こうして団体戦で国を代表して表彰台に立てて夢が実現した、そんな気持ちです」(Rebecca Hart)

Tokyo 2020 Paralympic Games – Equestrian Team
Medal ceremony for the team competition. USA finished in bronze medal postition. Roxanne Trunnell Dolton, Kate Shoemaker Solitaer 40, Rebecca Hart El Corona Texel
Photo Copyright :copyright: FEI/Liz Gregg

日本チームコメント
「今日の演技は失敗した所があり悔しいです。日本チームとしてのトップバッターとして出場できたことは嬉しいですが、本当はもう少し点数をとり、次の2人へ繋ぎたかったです。リオの時は1人での参加で、東京は4人で団体戦に出場でき、チームワークで頑張ります。最終日のフリースタイルは楽しくやるだけです! 最後の演技を2人(コマンダーの奥様の裕美子さんと)で楽しみます!」(宮路満英)

団体戦グレードⅡ 宮路満英&Charmanderと、コマンダー(経路を読み上げる人)の妻、裕美子さん 画像提供:一般社団法人 日本障がい者乗馬協会

「ずっと目標にしていた70%を、東京パラリンピックで取ることができて良かったです。演技が終わり戻ってくる時の放送で点数がわかりましたが、実感がわかなかったです。自分ができることはできたかなと思っていましたし、昨日この舞台を経験したので、落ち着いて演技できたかなという感触はありました。
東京パラリンピック最後の演技なので、やり残こすことがないように思いきってやった結果がこの点数に表れて、本当に嬉しいです。
コンビを組んだエクスクルーシブには、本当にありがとうという気持ちでした」(稲葉 将)

団体戦グレードⅢ 稲葉 将&Exclusive 画像提供:一般社団法人 日本障がい者乗馬協会

「初めてのパラリンピックは楽しかったですが、もっと馬の動きをしっかり出してあげることができたら良かったです。
このパラリンピックは、沢山の方に協力や応援をしていただきました。そして開催地が東京というなかなかない舞台に立てたので感謝しています。
日本代表として選ばれ、チームとして戦えたことは、心強い味方がいて頑張れました」(高嶋活士)

団体戦グレードⅣ 高嶋活士&Huzette 画像提供:一般社団法人 日本障がい者乗馬協会

競技日程、結果 https://olympics.com/tokyo-2020/paralympic-games/ja/results/equestrian/paralympic-schedule-and-results.htm
グリーンチャンネル放送予定 https://www.greenchannel.jp/program/tokyo2020_paralympic.html
パラ馬術とは?https://www.parasapo.tokyo/sports/equestrian
一般社団法人 日本障がい者乗馬協会 https://jrad.jp/

2022年デンマーク世界選手権https://herning2022.com/

(取材協力 一般社団法人日本障がい者乗馬協会 岡崎千賀子、FEI/Rob Howell、編集・校正 望月芳子)

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