関連カテゴリ: ボッチャ, 夏季競技, 新着, 観戦レポート, 重度障害 — 公開: 2023年1月24日 at 10:06 PM — 更新: 2023年2月9日 at 10:00 AM

ボッチャ日本選手権 BC3男子優勝は高橋和樹

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第24回日本ボッチャ選手権大会が開催されBC3男子は、ランプオペレーターを変えてゼロから再スタートした高橋和樹が優勝した。

2023年1月21日~22日の2日間、愛知県豊田市のスカイホール豊田で第24回日本ボッチャ選手権大会が開催され、今大会からは各クラス男女別で優勝が争われた。

BC3男子決勝、有田正行(電通デジタル/右)と高橋和樹(フォーバル/左) 筆者撮影

ランプという投球補助用具を使用するBC3男子決勝は、前回大会優勝の有田正行(電通デジタル)と、東京パラリンピックのペア競技銀メダリスト高橋和樹(フォーバル)との対戦。
有田は準決勝で江川拓馬(テスホールディングス)を5-2、高橋は河本圭亮(トランコム)を5-1で下しての決勝進出だった。
決勝は4エンドともに、高橋の目の前、ジャックボールを無効ゾーンぎりぎりのライン上あたりに置く緊迫した展開となった。
高橋は「自分たちのプレーをシンプルに出し切る」ことを意識し、精度の高い投球で「相手に寄せられたらずらす、相手のいやなところに寄せる」ことをシンプルに繰り返し、第3エンドまで1点ずつを積み重ね3-0と差を広げた。最終第4エンドは有田が1点を返したものの、高橋が3-1で2015年大会以来の優勝を飾った。

優勝が決まりハイタッチを交わす高橋和樹とランプオペレーターの星豊 右は 有田正行と有田千穂 筆者撮影

前回大会では3位に終わった高橋は代表強化指定選手からも外れ、ボッチャを引退することも考えたという。そんな高橋の心の中に、「ボッチャを楽しみたい」「もう一度パラリンピックの舞台に立ちたい」という二つの思いが出てきた。
だが「何かを大きく変えなければ、上の2人(前回優勝有田正行、準優勝河本圭亮)に勝つことは難しい、代表に戻ることは難しい」と思った高橋は、ランプオペレーターを元々友人だった星豊に変えることで「0からスタートして自分自身の弱さとか足りないところに気付けるんじゃないかと思ってスタートした」
高橋がその頃の自分を振り返る。
「東京パラリンピックでペアでメダルをとって、一つの目標を達成できて、正直気持ちも上がらなくて。ボッチャをやってはいるものの楽しくなくて。ボッチャを楽しみたいということから楽しむためのパートナーを見つけて。星さんは一年前の今頃はボッチャのルールも知らないくらいだったんですよ…。その彼と始めたことで、初心を思い出したり、練習もボッチャを始めた時のようなことから一から始めてこつこつ積み重ねて」
この1年間、高橋は有田や河本圭亮が世界選手権や他の国際大会に出場するのを見ながら「悔しさとか、自分の今いる立場のみじめさとか」、そういった気持ちを胸に抱きつつ、「今日のこの大会で日本一になり、代表に戻る」という気持ちだけで続けてきた。
その高橋にとってこの優勝は「これまでの大会のなかでは一番と言っていいくらい嬉しい」ことだった。
ランプオペレーターの星さんにとっても「感無量」の出来事だった。

3位決定戦は江川拓馬が最終エンドに4点を奪い、河本圭亮に5-4で逆転勝利。3位江川、4位河本という結果となった。
BC3女子は、16歳の一戸彩音(ポルテ多摩)が日本選手権初出場で初優勝。

その他の優勝者は以下。
BC1男子 中村拓海(大阪発達総合療育センター)
BC1女子 遠藤裕美(福島県ボッチャ協会)
BC2男子 廣瀬隆喜(西尾レントオール)
BC2女子 伊藤彩水(静岡ボッチャ協会)
BC4男子 内田峻介(大阪体育大学アダプテッド・スポーツ部 APES)
BC4女子 岩井まゆみ(あいちボッチャ協会)

(校正・佐々木延江)

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