2023年11月4日から5日に、「第30回日本ゴールボール選手権大会」が新宿スポーツセンター(東京都新宿区)で開かれた。予選を勝ち抜いた男女6チームが、1日目3チームづつに分かれてリーグ戦を戦い、2日目に準決勝、決勝、順位決定戦が行われた。その結果、女子はチーム付属(東京都、筑波大学附属視覚特別支援学校)が去年に引き続いての 2連覇、男子はゴールデンスターズが初優勝をした。女子は日本代表が遠征中だった。
日本代表の状況
女子;8月のバーミンガム2023IBSAワールドゲームズ(以下ワールドゲームズ)は準優勝でパリパラの出場権を逃し、11月10日より杭州で行われる2023 IBSA Goalball Asia/Pacific Championships(以後APC、アジア・パシフィック選手権)(注1)での出場権獲得を目指している。APCに先立って10月に同じ杭州の会場で行われたアジアパラではワールドゲームズに続き中国に敗れ、準優勝。中国の壁を超えられずにいる。
男子;ワールドゲームズに優勝しパリパラの出場権を獲得した。杭州アジアパラでは中国に敗れ準優勝だった。今はパリパラに向けて万全の準備を整えているところである。
女子・決勝戦 チーム付属 2-1 なでしこ
先制点を決めたのは、九州のなでしこ。前半3分に天摩由貴(4番)が投げたスローは、相手ディフェンスに当たったものの、弾んだボールがゴールに吸い込まれ1点。前半10分、チーム付属は安室早姫(3番)がスローを決め同点に追いつく。後半はお互い一歩も譲らず。オーバータイム3分に安室が投げたボールがディフェンダーに当たることなくゴールイン、試合終了。チーム付属が優勝した。
最終順位女子
優勝:チーム付属
2位:なでしこ
3位:むさしずく
4位:Merveilles
5位:RE☆STARS
6位:Team JIN
男子・決勝戦 ゴールデンスターズ 11−4 Be☆Stars
ゴールデンスターズの金子和也(7番)、鳥居陽生(1番)とBe☆Starsの佐野優人(7番)らの杭州アジアパラ帰国組が優勝をかけて臨んだ一戦。まずはゴールデンスターズが前半開始早々に2点を奪った後は、お互い我慢の時間が続く。残り3分でBe☆Starsが1点を奪うも、3点立て続けにゴールデンスターズがとり、5−1で前半終了。前半に引き続き、後半もゴールデンスターズが6点を奪って試合を優位に運び、最終的に11−4で優勝を決めた。
最終順位男子
優勝:ゴールデンスターズ
2位:Be☆Stars
3位:スーパーモンキーズ
4位:チーム付属A
5位:岐阜NBS
6位:モッコス JAPAN
個人賞
MVP 金子和也(ゴールデンスターズ) / 安室早姫(チーム付属)
得点王 佐野優斗(Be☆Stars) / 天摩由貴(なでしこ)
(注1)パリパラ出場権獲得について:
男子 バーミンガム2023IBSAワールドゲームズ優勝にて出場権獲得済み
女子 2023 IBSA Goalball Asia/Pacific Championshipsにて、
日本が優勝する(日本が本大会で出場権を獲得。中国は2023 World Games優勝国として出場権を獲得)
中国が優勝する(中国が本大会で出場権を獲得。2023 World Gamesで準優勝した日本が繰り上がりで出場権を獲得)
韓国が優勝し、日本/中国が準優勝する(韓国は2022 Goalball World Championshipsで出場権を獲得済みのため、本大会で準優勝のチームが繰り上がりで出場権を獲得。中国が準優勝の場合、中国が本大会で出場権を獲得し、2023 World Gamesで準優勝した日本が繰り上がりで出場権を獲得)
<試合後インタビュー>
チーム付属 木村由 (APC日本代表)
ーー優勝について
木村「チーム付属は選手層が厚い。普段倍以上得点を取ってくれる萩原選手が(杭州遠征中のため)いなかったが、チームで協力して、戦略通りに投げることで、相手の隙を狙って点を取れたと思う。とにかく守り続ければチャンスは出てくるから、諦めずに粘って声をかけた。来年も優勝できるように頑張っていきたい」
ーーAPCに向けての意気込みを教えてください。
木村「心強い先輩たちが現地(杭州)で待ってくれている。日本選手権での優勝を自信にして自分のパワーのある球を投げてプレーができたらと思います。いつも通り、しっかり守って、粘って、粘って点を取っていくというのを協力してやっていきたい。悔いのないように今自分のできる全てを出し切りたい」
なでしこ 天摩由貴 (アジアパラ日本代表)
ーー2位になったことについて
天摩「先制点を取れたが、チーム付属はディフェンスも攻撃も安定していた。攻撃力が足りなくて1点しか取れなかった。自分がもう少し点を取れていれば別の展開もあったと思う。来年に向けて強くなっていきたい」
ーー日本代表として出場したアジアパラは?これから中国に対してどう対抗すべきか?
天摩「8月のワールドゲームズに続いてアジアパラでも中国に敗れチームとして厳しい壁にぶつかっている。ディフェンスが課題になっているところは明確で、我慢しながらのディフェンスで自分たちのリズムを作って、相手の嫌なところにぶつけられるコントロールで反撃していくというのが大事。得点が取れればということも言われるが、まずはディフェンスでしっかり我慢するチームになっていきたい」
ゴールデンスターズ 金子和也(日本代表)
ーー優勝の試合を振り返って
金子「Be☆Starsは決勝戦に残るだけの実力があるので、どう戦うか、どこがウィークポイントなのかを、今回の大会や予選大会も見て戦略を練った。それが実行できたというのと、実行できるチームメイトの成長が嬉しいし、より信頼感が高まった。ディフェンスは一球一球が速くて重たく、タイミングも崩されるので、1本終わったらもうリセットだと言って受けたら次のボール次のボールというのを言って臨みました」
ーーワールドゲームズ優勝の経験を今大会に活かすことができたか?
金子「個人としては世界の舞台でライトを経験して、レフトとしてはトップで戦っているという強い気持ちがある。試合をどう動かすか、自分のボールをどこに投げれば動いていくのか?をすごくイメージする。強いチームになればなるほどイメージができるので、ゲームメイクで活かせていると思う」
ーー杭州アジアパラ2022はどうでしたか?
金子「中国と東京パラ以来の対戦となり、アウェイの中決勝で戦うというのを目標としていた。負けてしまったが、勝てない相手ではなかったように感じた。次に期待してほしい」
ーーパリに向けては?
金子「“GoToParis”で動いている。国内大会、強化のレベルも上がっており、自分はそれを引っ張る立場にいる責任と自覚がある。強化を促しつつ盛り上げ、国内のゴールボールの底上げにつなげたい。尊敬されるプレーヤーでいられるよう、金メダルを取れるよう頑張っていきたい。絶対勝ってやるという強い気持ちを持っている」
(校正・佐々木延江)