関連カテゴリ: ゴールボール, ブラインドスポーツ, 国内大会, 夏季競技, 日本選手権, 東京, 観戦レポート — 公開: 2023年11月11日 at 3:57 PM — 更新: 2023年11月11日 at 5:30 PM

女子・チーム付属が2連覇、男子・ゴールデンスターズが初優勝「第30回日本ゴールボール選手権大会」

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ゴールボール女子日本代表がパリ出場権獲得のため杭州でのアジアパシフィック選手権へ遠征するなか、今年も日本選手権が開催され、男女クラブチームの日本一が決定した。

2023年11月4日から5日に、「第30回日本ゴールボール選手権大会」が新宿スポーツセンター(東京都新宿区)で開かれた。予選を勝ち抜いた男女6チームが、1日目3チームづつに分かれてリーグ戦を戦い、2日目に準決勝、決勝、順位決定戦が行われた。その結果、女子はチーム付属(東京都、筑波大学附属視覚特別支援学校)が去年に引き続いての 2連覇、男子はゴールデンスターズが初優勝をした。女子は日本代表が遠征中だった。

日本代表の状況
女子;8月のバーミンガム2023IBSAワールドゲームズ(以下ワールドゲームズ)は準優勝でパリパラの出場権を逃し、11月10日より杭州で行われる2023 IBSA Goalball Asia/Pacific Championships(以後APC、アジア・パシフィック選手権)(注1)での出場権獲得を目指している。APCに先立って10月に同じ杭州の会場で行われたアジアパラではワールドゲームズに続き中国に敗れ、準優勝。中国の壁を超えられずにいる。

男子;ワールドゲームズに優勝しパリパラの出場権を獲得した。杭州アジアパラでは中国に敗れ準優勝だった。今はパリパラに向けて万全の準備を整えているところである。

女子・決勝戦 チーム付属 2-1 なでしこ

先制点を決めたのは、九州のなでしこ。前半3分に天摩由貴(4番)が投げたスローは、相手ディフェンスに当たったものの、弾んだボールがゴールに吸い込まれ1点。前半10分、チーム付属は安室早姫(3番)がスローを決め同点に追いつく。後半はお互い一歩も譲らず。オーバータイム3分に安室が投げたボールがディフェンダーに当たることなくゴールイン、試合終了。チーム付属が優勝した。

同点スローを決めた安室早姫(3番)はMVPを受賞 筆者撮影

最終順位女子

女子優勝チーム チーム付属集合写真 筆者撮

優勝:チーム付属
2位:なでしこ
3位:むさしずく
4位:Merveilles
5位:RE☆STARS
6位:Team JIN

男子・決勝戦 ゴールデンスターズ 11−4 Be☆Stars

ゴールデンスターズの金子和也(7番)、鳥居陽生(1番)とBe☆Starsの佐野優人(7番)らの杭州アジアパラ帰国組が優勝をかけて臨んだ一戦。まずはゴールデンスターズが前半開始早々に2点を奪った後は、お互い我慢の時間が続く。残り3分でBe☆Starsが1点を奪うも、3点立て続けにゴールデンスターズがとり、5−1で前半終了。前半に引き続き、後半もゴールデンスターズが6点を奪って試合を優位に運び、最終的に11−4で優勝を決めた。

鳥居陽生(手前1番)の大きく足を伸ばしたディフェンス 筆者撮影

最終順位男子

男子優勝チーム ゴールデンスターズ 筆者撮影

優勝:ゴールデンスターズ
2位:Be☆Stars
3位:スーパーモンキーズ
4位:チーム付属A
5位:岐阜NBS
6位:モッコス JAPAN

個人賞
MVP 金子和也(ゴールデンスターズ) / 安室早姫(チーム付属)
得点王 佐野優斗(Be☆Stars) / 天摩由貴(なでしこ)

(注1)パリパラ出場権獲得について:
男子 バーミンガム2023IBSAワールドゲームズ優勝にて出場権獲得済み
女子 2023 IBSA Goalball Asia/Pacific Championshipsにて、
日本が優勝する(日本が本大会で出場権を獲得。中国は2023 World Games優勝国として出場権を獲得)
中国が優勝する(中国が本大会で出場権を獲得。2023 World Gamesで準優勝した日本が繰り上がりで出場権を獲得)
韓国が優勝し、日本/中国が準優勝する(韓国は2022 Goalball World Championshipsで出場権を獲得済みのため、本大会で準優勝のチームが繰り上がりで出場権を獲得。中国が準優勝の場合、中国が本大会で出場権を獲得し、2023 World Gamesで準優勝した日本が繰り上がりで出場権を獲得)

<試合後インタビュー>

チーム付属 木村由 (APC日本代表)

APCに参加する 木村由(4番) 筆者撮影

ーー優勝について
木村「チーム付属は選手層が厚い。普段倍以上得点を取ってくれる萩原選手が(杭州遠征中のため)いなかったが、チームで協力して、戦略通りに投げることで、相手の隙を狙って点を取れたと思う。とにかく守り続ければチャンスは出てくるから、諦めずに粘って声をかけた。来年も優勝できるように頑張っていきたい」

ーーAPCに向けての意気込みを教えてください。
木村「心強い先輩たちが現地(杭州)で待ってくれている。日本選手権での優勝を自信にして自分のパワーのある球を投げてプレーができたらと思います。いつも通り、しっかり守って、粘って、粘って点を取っていくというのを協力してやっていきたい。悔いのないように今自分のできる全てを出し切りたい」

なでしこ 天摩由貴 (アジアパラ日本代表)

先制点を決めた天摩由貴(4番)はアジアパラから帰国して出場。大会得点王となる 筆者撮影

ーー2位になったことについて
天摩「先制点を取れたが、チーム付属はディフェンスも攻撃も安定していた。攻撃力が足りなくて1点しか取れなかった。自分がもう少し点を取れていれば別の展開もあったと思う。来年に向けて強くなっていきたい」

ーー日本代表として出場したアジアパラは?これから中国に対してどう対抗すべきか?
天摩「8月のワールドゲームズに続いてアジアパラでも中国に敗れチームとして厳しい壁にぶつかっている。ディフェンスが課題になっているところは明確で、我慢しながらのディフェンスで自分たちのリズムを作って、相手の嫌なところにぶつけられるコントロールで反撃していくというのが大事。得点が取れればということも言われるが、まずはディフェンスでしっかり我慢するチームになっていきたい」

ゴールデンスターズ 金子和也(日本代表)

MVPを獲得した金子和也(7番)、決勝では5得点を上げる活躍を見せる 筆者撮影

ーー優勝の試合を振り返って
金子「Be☆Starsは決勝戦に残るだけの実力があるので、どう戦うか、どこがウィークポイントなのかを、今回の大会や予選大会も見て戦略を練った。それが実行できたというのと、実行できるチームメイトの成長が嬉しいし、より信頼感が高まった。ディフェンスは一球一球が速くて重たく、タイミングも崩されるので、1本終わったらもうリセットだと言って受けたら次のボール次のボールというのを言って臨みました」

ーーワールドゲームズ優勝の経験を今大会に活かすことができたか?
金子「個人としては世界の舞台でライトを経験して、レフトとしてはトップで戦っているという強い気持ちがある。試合をどう動かすか、自分のボールをどこに投げれば動いていくのか?をすごくイメージする。強いチームになればなるほどイメージができるので、ゲームメイクで活かせていると思う」

ーー杭州アジアパラ2022はどうでしたか?
金子「中国と東京パラ以来の対戦となり、アウェイの中決勝で戦うというのを目標としていた。負けてしまったが、勝てない相手ではなかったように感じた。次に期待してほしい」

ーーパリに向けては?
金子「“GoToParis”で動いている。国内大会、強化のレベルも上がっており、自分はそれを引っ張る立場にいる責任と自覚がある。強化を促しつつ盛り上げ、国内のゴールボールの底上げにつなげたい。尊敬されるプレーヤーでいられるよう、金メダルを取れるよう頑張っていきたい。絶対勝ってやるという強い気持ちを持っている」

(校正・佐々木延江)

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