神戸2024パラ陸上世界選手権・7日目の5月23日、800mT53(車いす)の決勝。シドニーパラリンピック(2000年)から7大会連続で出場し、金1、銀3、銅5、9個のメダルを手にしている超ベテランのPierre FAIRBANK(FRA)が1:43.80で金メダルを獲得し、パリへの切符を手にした。

決勝レースは4人で争われた。YOO Byunghoon(KOR)がブレイクラインを過ぎレーンがオープンになってからのポジション争いで、まずはトップとなる。FAIRBANKはここであえてトップを譲り後続で体力温存する作戦にでた。ラスト600mあたりまではYOOが先頭のままで進むが、残り200mを過ぎたところでFAIRBANKがラストスパートをかけ追い越す。そのままゴールへ入り金メダルを獲得した。

「3ヵ月後のパリでは、400メートルと800メートルでいいレースをしたい。今日と同じようにできれば完璧だ!パリは私にとって7度目のパラリンピック、私のキャリアの最後になる。今までパラリンピックで9個のメダルを獲得したので、あと1個取りたい」とパリパラリンピックでの希望を語った。

若い選手へのメッセージは?と聞かれると、「あなたの競技に情熱を持ちなさい。若いアスリートたちは1年か2年で勝てると思っているかもしれないが、長い時間、情熱を注ぐ覚悟をしなければならない。一度負けたとしても、その後は勝つことができるだろう、勇気を持って自分の道を貫いて欲しい」とエールをくれた。FAIRBANKが長年にわたって競技の第一線で活躍し続けることができるのは、パラリンピック、陸上競技への情熱のためだろう。


(取材・編集 佐々木延江、地主光太郎)