公開: 2026年5月31日 at 7時12分 — 更新: 2026年5月31日 at 7時30分

【大会第2日目レポート】 山口尚秀が貫禄の1000ポイント超え 鈴木孝幸、木下あいら、若手勢も躍動 〜パラ水泳WS2026〜

知り・知らせるポイントを100文字で

パラ水泳ワールドシリーズは、異なる障害クラスの選手が同じレースで競う「マルチクラス方式」で実施される国際大会。順位はタイムそのものではなく、各クラスの世界記録を基準として算出されるポイントで決定される。

「パラ水泳ワールドシリーズ2026 富士・静岡」は5月30日、静岡県富士水泳場で大会2日目を迎えた。

男子100m平泳ぎ決勝で力強い泳ぎを見せる山口尚秀(四国ガス/SB14)。1分02秒92(1047ポイント)の好タイムをマークし、圧倒的な強さで優勝を飾った。 写真・秋冨哲生

日本選手にとって今年8月のパンパシフィック水泳、10月に開催される愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の代表選考を兼ねる今大会。この日は、世界の頂点を知るベテランたちの貫禄と、次世代を担う若手選手たちの躍進も光を放っていた。

男子100m平泳ぎ;全員が1000ポイント超えのレースで山口尚秀が優勝

1位から3位までが1020ポイントを超えるハイレベルな争いとなった男子100m平泳ぎの表彰台。1047ポイントの高得点で頂点に立ったのは山口尚秀(日本/SB14、中央)。2位に1023ポイントのAleksandrov Kirill(ロシア/SB5、左)、3位に1021ポイントのSerrano Zarate Carlos Daniel(コロンビア/SB7、右)が入った。 写真・秋冨哲生

男子100m平泳ぎでは、世界記録保持者の山口尚秀(四国ガス/SB14)が1分02秒92をマークし、1047ポイントで優勝した。
2位、3位も1020ポイントを超えるハイレベルなレースとなった。「今までのなかでも一番、世界記録を出すつもりで泳いだ」と話す山口。次は、8月のパンパシフィック水泳に照準をあわせる。

男子100m平泳ぎ;木村は惜しくも4位

男子100m平泳ぎ、オリンピックメダリストでタッパーを務める星奈津美氏とともにスタート地点に現れた木村敬一(東京ガス/SB11)。この種目では決勝で1分15秒03(946ポイント)をマークして力泳し、4位に入った。 写真・秋冨哲生

一方、視覚障害クラスの第一人者である木村敬一(東京ガス/SB11)は1分15秒03(946ポイント)を記録。力強い泳ぎを見せたものの、惜しくも4位で表彰台を逃した。

女子100m平泳ぎ;木下あいらが復帰戦で優勝、強さみせる

女子100m平泳ぎの表彰台。中央は1分17秒53(966ポイント)で優勝した日本の木下あいら(SB14)。左は2位のJohnstone Jessica(NZL/SB9)、右は3位に入った日本の芹澤美希香(宮前ドルフィン/SB14) 写真・秋冨哲生

女子100m平泳ぎでは、復帰戦となった木下あいら(SB14)が1分17秒53、966ポイントを獲得し優勝した。
2位にはJessica Johnstone(NZL/SB9)が1分19秒35、955ポイントで続き、3位には芹澤美希香(宮前ドルフィン/SB14)が1分20秒50(910ポイント)で入った。

隣同士のレーンで力泳する木下あいら(手前・SB14)と芹澤美希香(奥・SB14)。木下が優勝、芹澤が3位に入り、同クラスの日本勢が強さを見せた。 写真・秋冨哲生

芹澤は前回の杭州アジアパラ競技大会でアジア記録を樹立しており、愛知・名古屋大会では記録更新と連覇を目標に掲げている。長年の宮前ドルフィンでの練習に加え、昨年12月から新たに健常者のスイミングクラブでも練習を始めている。
最大のライバルとなる木下との対戦について、レース後には「隣で泳がれると緊張してしまうが、一緒に泳げることは嬉しく心強い」と語った。

女子100m平泳ぎ決勝後、固く手を握り合う木下あいら(左)と芹澤美希香(右)。お互いの存在を心から喜んだライバルの絆が垣間見えた瞬間だった。 写真・秋冨哲生

ライバルとして競い合いながらも、互いを高め合う関係性が印象的なレースとなった。

50m平泳ぎ;鈴木孝幸が逆転優勝、女子はスペインTeresa Peralesも健在

男子50m平泳ぎでは、パラリンピック金メダリストの鈴木孝幸(ゴールドウイン/SB3)が49秒41(868ポイント)で優勝した。
予選からの韓国のJo Giseong(KOR/SB3)との接戦となったが、決勝のレースで鈴木が逆転。この日の日本勢の活躍を締めくくるレースとなった。

アジアのライバルによる熾烈なトップ争い。男子50m平泳ぎ決勝で、Jo Giseong(韓国/手前)と激しいデッドヒートを繰り広げる鈴木孝幸(奥) 写真・秋冨哲生
49秒41(868ポイント)の高得点で優勝を飾り、金メダルを手にする鈴木孝幸(ゴールドウイン/SB3) 写真・秋冨哲生

女子50m平泳ぎでは、スペインのレジェンド、Teresa Perales(ESP/SB1)が1分31秒76、840ポイントで優勝した。

プールから引き上がる際に笑顔を見せるTeresa Perales(スペイン)。大会第1日目の予選では世界記録を樹立する圧倒的な強さを見たパラ水泳界のレジェンドとして印象付けた。 写真・秋冨哲生

前日の女子150m個人メドレーでは世界記録を更新。この日も女子50m背泳ぎで2位に入るなど、49歳とは思えないタフなレースを続けている。

男子50m背泳ぎで日本勢ワン・ツー

男子50m背泳ぎ決勝、岸本コーチのサポートを受けてスタートする田中映伍(東洋大学/S5)。このレースで35秒43の高タイムをマークして991ポイントを獲得し、見事優勝を飾った。 写真・秋冨哲生

男子50m背泳ぎでは、田中映伍・日向楓楓の大学生が表彰台を飾った。
優勝したのは田中映伍(東洋大学/S5)。35秒43で991ポイントを獲得しトップに立った。2位には日向楓(中央大学/S5)が38秒57、876ポイントで続き、日本勢によるワンツーフィニッシュを達成した。

男子50m背泳ぎ表彰台。中央は35秒43(991ポイント)の高得点で優勝した日本の田中映伍(S5)。左は2位に入った日本の日向楓(S5)、右は3位のLeslie Cameron(NZL/S4)。 写真・秋冨哲生

3位にはLeslie Cameron(NZL/S4)が入り、若手選手たちによるレベルの高い争いとなった。

中学生・山田龍牙が派遣A基準突破

男子400m自由形予選で自己ベスト、目標のアジアパラ派遣基準記録を突破し、プールの中で喜びを見せる中学2年生の山田龍牙(S6)。大舞台での緊張を乗り越え、自己ベストを10秒以上縮める堂々たるレースを見せた。 写真・秋冨哲生

男子400m自由形では、中学2年生の山田龍牙(S6)が大きな前進を見せた。
予選で5分39秒22をマークし、自己ベストを大幅に更新。愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の派遣基準記録Aを突破した。

また、同じ組で泳いだ久保大樹(S10)、南井瑛翔(S10)、富田宇宙(S11)もそろって派遣基準記録Aを突破。代表争いへ向けて大きな一歩を刻んだ。

さらに、S9クラスのアジア記録保持者である川渕大耀も力泳し、ユースカテゴリーで1位を獲得している。

男子400m自由形でユースカテゴリー1位のメダルを手にする川渕大耀(NECグリーン溝の口/S9)。しかし本人は自身のタイム(4分23秒26)に納得がいかず、「400mではバテやすくなっている。そこを見直したい」と悔しさを滲ませていた。 写真・秋冨哲生

ベテランと若手、それぞれのアジアパラへ

大会2日目は、山口尚秀、鈴木孝幸、鈴木孝幸、Teresa Peralesら世界が誇るベテラン勢が存在感を示す一方で、山田龍牙をはじめとする若手選手たちも着実な成長を見せた。

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会、パンパシフィック大会への代表選考を兼ねる今大会は、いよいよ最終日を迎える。

それぞれの課題と手応えを胸に挑む最後のレース。代表の座を懸けた熱戦から目が離せない。

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