公開: 2026年7月13日 at 13時16分 — 更新: 2026年7月13日 at 17時07分

愛知・名古屋2026アジアパラまで100日 レジリエンスとインクルージョンが示す大会への思い

知り・知らせるポイントを100文字で

愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会(10月18日開幕)まで100日となった7月12日、名古屋市・オアシス21で記念セレモニーが開かれた。会場ではメダルやトーチ、聖火リレーのユニホームが披露されるとともに、開閉会式の演出コンセプトも発表され、大会が目指す社会の姿があらためて示された。

聖火を運ぶトーチのデザイン発表が、スポーツ庁・河合純一長官によって行われた。河合長官自身もリオパラリンピックで聖火ランナーを務めた 写真・秋冨哲生

アジアパラリンピック委員会(APC)のTarek Souei CEOは、大会が発信する価値として「レジリエンス(Resilience)」と「インクルージョン(Inclusion)」を挙げた。

アジアパラリンピック委員会(APC)のTarek Souei CEO 写真・秋冨哲生

レジリエンスとは、困難や変化に直面しながらも、自らの力で前へ進み続ける力である。アジア45の国と地域から集まるパラアスリートたちは、それぞれ異なる社会環境や競技環境の中で挑戦を積み重ね、この大会の舞台に立つ。その姿は、多様な社会の中で生きるすべての人へのメッセージでもある。
また、インクルージョンとは、障害のある人を既存の社会へ受け入れることではなく、多様な人々が最初から社会の一員として参加し、ともに未来を築くという考え方である。

JPC(日本パラリンピック委員会)委員長、APCアスリート委員でもある、三阪洋行氏は、車いすラグビーで世界にむけて数々の挑戦に向き合った。 写真・秋冨哲生

日本パラリンピック委員会(JPC)の三阪洋行委員長も、「大会の価値は競技結果やメダルの数だけではない」と強調した。
「挑戦する姿が人の心を動かし、障害の有無を超えて互いを理解し合い、誰もが挑戦できる社会を実感できること。そこに、この大会の本当の価値がある」と語り、100日前という節目は選手だけでなく、大会を支えるすべての人にとっての挑戦でもあると呼びかけた。

メダルデザイン

志波大輔氏がデザインしたメダル。裏面に点字が刻まれている 写真・秋冨哲生

大会の象徴となるメダルにも、その考え方が込められている。
デザインを担当した志波大輔氏は、「勝利の証しではなく、挑戦の証し」としてメダルを制作したと説明した。割れた円盤を再び組み合わせたデザインは、何度も挑戦を重ねてきた選手たちの歩みを表現しているという。

開閉会式演出コンセプト

この日には、開閉会式の演出コンセプトも発表された。
総合プロデューサーの栗栖良依氏が掲げたコンセプトは、「WABI(We Are Beautiful Individuals)」。日本語では「違うまま、一緒に」である。

トーク形式で演出コンセプトを発表する栗栖氏(左)と、大村知事(右) 写真・秋冨哲生

栗栖氏は、一人ひとりの強さや違いを掛け合わせることで未来の可能性を開いていきたいとの思いを込めたと説明した。また、「パラスポーツ大会の開閉会式は、ただのお祭りではない。一歩先の未来を皆さんにお見せする場だ」と語り、市民が「見る」だけではなく、「みんなでつくる」式典を目指す考えを示した。愛知の土を使い、職人と障害のある人・ない人、市民がともに制作する聖火台構想もその一つである。

大会組織委員会会長の大村秀章愛知県知事は、「障害のある方もない方も、ともに同じ目標に向かって挑戦し、共生する真の共生社会を、この愛知・名古屋から日本、そしてアジアへ発信していきたい」と述べた。

東京2020パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの競技が無観客で行われた。今回は、開閉会式だけでなく競技会場も観客の声援で満たし、アジア各地から集まる選手たちを迎えることが期待されている。

100日前イベントは、名古屋市のオアシス21で開催された。立体的な庭園で栄駅に隣接し市民が行き交っていた。 写真・秋冨哲生

100日前イベントで示されたのは、単なる大会準備の進捗ではない。APCが掲げる「レジリエンス」と「インクルージョン」、三阪委員長が語った「挑戦」、そして栗栖氏が示した「違うまま、一緒に」というメッセージは、それぞれ異なる言葉でありながら、多様な人々が違いを認め合い、ともに社会を築くという同じ未来を指し示していた。

開幕まで100日。愛知・名古屋大会は、競技だけでなく、式典やメダル、市民参加を通して、アジアのパラリンピック・ムーブメントを次の段階へ進める準備を本格化させている。

(写真・秋冨哲生、校正・能津和雄)

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