関連カテゴリ: IDクラス, WPS, ブラインドスポーツ, 今日の注目記事, 切断者, 国内大会, 夏季競技, 女子, 新着, 日本選手権, 普及, 横浜, 水泳, 知り知らせる, 神奈川, 記者会見, 重度障害 — 公開: 2025年7月2日 at 8:00 AM — 更新: 2025年7月11日 at 6:47 PM

経験と実力が交差する21人──シンガポール2025世界パラ水泳 日本代表選手が決定!

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2025年6月29日、日本パラ水泳連盟および日本知的障害者水泳連盟は、同年9月21日〜27日にシンガポールで開催される「世界パラ水泳選手権(World Para Swimming Championships Singapore 2025、以下シンガポール2025)」の日本代表選手21名を発表した。
最終選考の舞台となった「第28回日本知的障害者水泳選手権大会」は、横浜国際プール(神奈川県横浜市)にて実施され、代表入りを懸けた緊張感の高いレースが繰り広げられた。多くの選手が日頃から親しむ“ホームプール”で実力を発揮し、その成果が代表選出につながった。

パラリンピックに次ぐ重要な国際大会として位置づけられる本大会には、世界60カ国から600人以上のパラ水泳のエリート選手がシンガポール・ナショナルチームのホーム・プールであるOCBCアクアティクスセンターに集結、アジアでの開催は初となる。
日本代表の選考は、身体障害および知的障害のパラスイマーを対象に、4月13日に発表された第一次選考(WPSワールドシリーズ富士・静岡)、および6月末までに開催されたWPS公認大会(神戸市民選手権、知的障害者選手権)を経て行われた。

高校生スイマー川渕大耀(左膝下切断/NECグリーン溝の口/横浜市出身、神奈川県立岸根高校)6月29日ついにメインの男子400m自由形S9でアジア記録(4:16.76)を樹立した。 写真・内田和稔

選ばれたのは、身体障害区分で10名、21歳以下のユース世代で5名、知的障害区分で6名、総勢21名の多様な構成である。

今回の代表選考は、パリ2024パラリンピック後、初の世界選手権であり、東京・パリ両大会を経験したメダリストと、国際舞台に初挑戦する若手選手がチームに加わり、その成長が楽しみな布陣となった。

【代表選手一覧】

身体障害・22歳以上(10名)
木村敬一(東京ガス)100mバタフライS11、50m自由形S11
鈴木孝幸(GOLDWIN)50m平泳ぎSB3
窪田幸太(NTTファイナンス)100m背泳ぎS8
辻内彩野(三菱商事)100m自由形S12
石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)50m自由形S11
西田杏(シロ)50mバタフライS7
富田宇宙(EY Japan)400m自由形S11、100mバタフライS11、50m自由形S11、200m個人メドレーSM11
由井真緒里(ZENKO)200m個人メドレーSM5、200m自由形S5、100m自由形S5
荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損保)100m背泳ぎS8、200m個人メドレーSM8、100m自由形S8
齋藤 元希(スタイル・エッジ)200m個人メドレーSM13、400m自由形S13、100m平泳ぎSB13

身体障害・21歳以下(5名)
田中映伍(東洋大学)50m背泳ぎS5、50mバタフライS5
川渕大耀(NECGSC 溝の口)400m自由形S9
日向楓(中央大学)50m背泳ぎS5、50mバタフライS5、50m自由形S5
福田果音(KSGときわ曽根)100m平泳ぎSB8
前田恵麻(福井工大)200m個人メドレーSM9

知的障害区分(6名)
籠瀬嶺(ほけんの窓口)100m背泳ぎ
佐藤悠人(個人/仙台市)100m平泳ぎ
松田天空(NECGFS)100mバタフライ
村上舜也(NECGFS)100mバタフライ
山口尚秀(四国ガス)100m平泳ぎ、100m背泳ぎ、200m個人メドレー
芹澤美希香(宮前ドルフィン)100m平泳ぎ

経験を重ねる場としての世界選手権

パラリンピック翌年となる本大会は、メダルの獲得だけがみどころではない。とくに21歳以下のユース世代にとっては、世界の舞台での経験を積む貴重な機会となる。

世界選手権に初めて出場する前田恵麻(18歳、左上腕欠損/金井学園スイムクラブ/福井県出身、福井工業大学附属福井高等学校)200m個人メドレーS9で日本代表に選考された。得意は背泳ぎ。 筆者撮影

4月に行われた富士でのワールドシリーズや、横浜国際プールでの最終選考で選ばれた若手たちが、これから先輩をお手本に自分の成長と向き合い、さらなる飛躍を遂げることが期待できる。

男子200mバタフライS14、接戦のすえ村上瞬也が松田天空に競り勝った。記録はアジア記録タイ(2:08.11) 写真・内田和稔

パラ水泳の聖地「横浜国際プール」存続の危機

1998年に「障害の有無に関係なく使用できる国際競技用プール」として世界に先駆けて開業した同施設は、国際大会含め主要パラ水泳大会を数多く開催してきた実績を持つ。競技力向上と人材育成の両面で日本のパラ水泳を支えてきた重要な施設である。世界を目指す選手たちの飛躍の舞台として、今後もその役割はますます大きくなるだろう。しかし1年前、横浜市は施設の老朽化による再整備計画のなかで「プールを廃止し体育館にする」案を提示した。代替案と言えるものはなく「パラ水泳の聖地」は危機を迎えている。

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