
日本チームは、混合4×100m自由形リレー(49ポイント)で銅メダルを獲得した。大会開幕から6日間、途切れることなくメダルを手にする快挙となった。出場したのは、2日前のメドレーリレーと同じ木村敬一、齊藤元希、石浦智美、辻内彩野の4人。優勝したスペインに13秒08差で続き、3位に入った。

木村は、「4人の力が全部そろってみんな高いパフォーマンスで泳ぐことができました。この種目はパラリンピック種目でもあり、これから一人一人の力をもっと強くして、世界で勝負できるチームをつくっていきたい」とコメントした。日本代表が強くなるには、富田宇宙、クラス分けの進展により石原愛依などの起用も含め49ptとなる最高のパフォーマンスを発揮するチームの可能性を模索する。
その他、個人種目でも淡々と勝負が続いた。
齊藤元希(スタイル・エッジ)は、これまでほぼ毎日3種目の個人種目に出場してきたが、この日はリレーも加わり、1日で合計4レースを泳いだ。

「やはり疲労がたまっている」と本人も語る。しかし、それは挑戦を重ねているからこその言葉であり、過去のレース後には「これが自分の泳ぎだ」と語ってきた姿勢とも重なる。大会最終日には、齊藤のメイン種目である200m個人メドレーが控えている。
西田杏(シロ)

西田杏は最終種目の女子50m自由形を自己ベストに近いタイムで泳いだ。13人中13位でのエントリーだったが、予選を終えて11位となり、「順位を上げる」という目標を果たした。タイムにも満足感を示した。
パリ大会以降はなかなかタイムが伸びず苦しい時期が続いていたが、「年齢もあるが、世界にはこの大会に照準を合わせてくる選手がたくさんいる。(コロンビアのスイマーの)サラも、メインの50m自由形とバタフライでずっと一緒に泳いできた。彼女は友であり、目標です」と語る。
そのサラはこの日、決勝で2位に入り銀メダルを獲得した。
前田恵麻、世界の舞台で感じた手応えと課題
世界選手権初出場の前田恵麻(福井工業大学)は、レースを振り返りこう語った。
「アップの感触がよかったのでベストが出ると思ったのですが、緊張のせいか出せませんでした。みんな本当に速いですね。でも楽しかったです」

前半から飛ばす選手が多い中で、「自分は前半が得意ではない。練習ではできても、イメージ通りに身体が動かない」と課題を実感した様子だった。「もの足りないことばかりで、まだ世界で戦うのは早いのかなと感じます」と率直な思いを吐露した。


それでも、「予選から決勝にかけて力をしっかり上げられるのが世界で戦える選手。今回は大きな舞台で泳げただけでも楽しかった」と笑顔を見せ、初めての世界選手権を前向きに締めくくった。
荻原虎太郎(あいおいニッセイ)

予選ではラスト5メートルで1位から順位を落とした荻原虎太郎(あいおいニッセイ)は、予選・決勝ともに前半から力を出し切って泳いだ。レース後には「めちゃバテました!」と息を切らしながら、しんどそうにミックスゾーンへ倒れ込んだ。

シンガポール・スイマーの日は、予選の朝から子どもたちが集まり、会場は、どこかそわそわした雰囲気につつまれている。
シンガポールのパラムーブメントとイッピン・シューの思い
Yip Pin Xiuは、地元開催の特別な空気を全身で受け止めていた。女子50m背泳ぎS2決勝を終えた後、「応援してくれる人たちの前で泳げることは特別だった。結果を残したかった」と話す。

Yip Pin Xiuは、その緊張を前向きな力へと転じ「できるだけレースを楽しもう、ただ楽しもうとした」と語り、プレッシャーをも楽しむ心境を語っていた。
いよいよ、最終日のレースを迎える。
(写真取材・秋冨哲生 校正・そうとめよしえ)






