関連カテゴリ: Tokyo 2020, サッカー, チームジャパン, ブラインドサッカー, 取材者の視点, 合宿, 夏季競技, 東京 — 公開: 2021年7月12日 at 10:23 AM — 更新: 2021年8月22日 at 5:10 PM

注目は中国戦! ブラサカ日本代表メディア公開

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 7月10日~11日の2日間、東京都内でブラインドサッカー日本代表の合宿が行われ、その一部がメディアに公開された。コロナ禍以前はピッチ間際で取材できたが、許可されたのはスタンドからの取材のみで、ピッチレベルに下りることはできない。翌12日からパラリンピック開幕2日前の8月22日まで緊急事態宣言が出されることになり、パラリンピック前、最後のメディア公開となるようだ。

ゴムチューブで負荷をかけられボールをキープする佐々木ロベルト泉選手 (写真・中村和彦)

 ストレッチの後、ボールを使う練習前には、ボイストレーナーによる声を出すトレーニングが行われた。ブラインドサッカーは、ボールを持った相手に向かって行く時にスペイン語で「行く」を意味する「ボイ!」と声を出さなければならない。日本代表高田敏志監督が過去の試合を分析したところ、声を出さない「ノーボイ」の反則が多かったことから、その対策としてこのトレーニングが始まった。継続してきた成果が上がり「喉だけではなく体全体でだせるようになった」結果、試合のなかで心拍数が上がった状態でも選手同士が声を出して話せるようになったという。
 「見えない選手がゲームを賢く進めるに当たって重要なのは音。ボールの音、周りの音、仲間の声」と高田監督は語る。1か月前に開催されたワールドグランプリでは仲間同士の「声の連係ミス」から失点につながった場面もあり、パラリンピックへ向け、さらに声によるコミュニケーションの質も上げていく。

 その後は、ゴールキーパーからのビルドアップの練習が行われた。2015年に高田監督が就任以降、代表チームは攻撃力を各段にアップさせてきたが、強豪国は攻撃パターンを読んですぐに対応してくる。ならばB案、C案を繰り出すしかない。そのための練習でもあった。

指導する高田監督と選手たち (写真・中村和彦)

 練習終了後には、監督、選手の囲み会見が行われた。当初は、直接の対面形式が想定されていたが、記者は競技場のスタンド、監督と選手はその下の控室に分かれてのオンライン会見となった。
 パラリンピック予選プールは、ブラジル、フランス、中国との対戦が決まっているが、「ポイントとなる試合は?」という問いに高田監督は「中国戦」と答えた。
 2008年の北京パラリンピックに向け中国が代表チームの強化を図って以降、ブラインドサッカー日本代表の歴史は中国の後塵を拝する歴史でもあった。だが東京パラリンピックで準決勝に進出するためには、中国を上回る必要がある。勝たなくてはならない。
「日本のブラインドサッカーの歴史はずっと中国にやられてきた。僕らの前に立ちはだかってきたアジアの王者、予選プールでその国に勝ったら準決勝に行ける。これほど面白い組み合わせはないと思うし、ものすごくモチベーションが高い状態。中国に勝ったらどれだけの人が喜ぶか。ブラインドサッカーにかかわってきた人は、みんな喜ぶと思うので…」

 筆者も2009、2011、2014、2015年と中国戦を生観戦しているが、いずれも悔しい思いをしてきた。取材する立場上、声に出して喜ぶわけにはいかないが、心のなかでガッツポーズが出来ることを願っている。
 だが、高田監督が「雑技団レベル」と高く評する中国のドリブルをどう抑えるか、どうやってボールを奪いカウンターを仕掛けられるか? 
注目の一戦となる。
 
 フランスには5月のワールドグランプリで1-0と勝っているが、容易に勝てる相手ではない。フィジカルの強さには手をやいたし、その試合のフランスはベストメンバーではなかった。

 ブラジルは2004年アテネパラリンピックでブラインドサッカーが採用されて以降、全ての大会で金メダルの「トップ・オブ・トップ」である。なかでもリカルジーニョことリカルド・アウベス、ジェフィーニョことジェフェルソン・ゴンサレスの破壊力は凄まじい。
 「我々がやってきたことが通用するか。守備的な戦いになるが恐れずにいきたい」と高田監督は語る。

練習でシュートを放つ黒田智成選手 (写真・中村和彦)

 黒田智成は2002年のブラインドサッカー日本代表立ち上げ当初から代表選手として活躍してきた。
「20年前は日本にブラインドサッカーを導入した人たちの熱い思いがありゼロからのスタートでした。サッカーをやりたいという情熱をもった人たちの思いだけで突き進んできた数年間があり、そこからどんどん輪が広がって、いろんな面での支援を受けながら環境が整って20年前では考えられないほど幸せな環境でサッカーをやらせていただいている」
 東京パラリンピックは、そんな黒田の、そして日本のブラインドサッカーの集大成の場となるはずである。
 「私のポジションはゴールを決めるのが大きな役割ですので、ゴールを決めることで恩返しが出来ればと思っています」
 
 日本の初戦は、8月29日、オリンピックに出場するU-24日本代表やなでしこジャパンと同じユニフォームを身に纏い、キックオフの時を迎える。

(取材・記事 中村和彦 編集・校正・佐々木延江)

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