Tokyo 2020, 取材者の視点, 東京, 馬術, 馬術ニュース — 2021年9月3日 at 11:49 PM

パラ馬術:グレードIIIを制したのは二世選手、ヨルゲンセン

8月27日(金)、東京のJRA馬事公苑で2020年東京パラリンピックの馬術競技2日目が行われた。この日は、5つのグレードのうちグレードI、IIIの個人メダルを争うインディビジュアルテスト。この競技の各グレード上位8人馬は団体戦の後に行われるフリースタイル(個人自由演技)に進出する。
グレードIIIの各10点審査項目は25項目、総合評価4項目の合計21項目(うち5項目は係数2倍)。
※グレードIII経路図https://jrad.jp/wp/wp-content/uploads/2019/07/Ind_3.pdf

このグレードもベテランや新人が混在。パラ馬術競技の国際的成長と広がりを彷彿とさせる競技選手リスト構成だ。
グレード別世界ランキングトップ3を占める選手のうち、最初に登場したのは2016年リオパラリンピック銅メダリスト、オランダのRixt Van Der Holst & Findsley(11歳/牝/KWPN)。終始安定した演技で7点や8点を記録し、75.765%を記録した。

続いて演技順10番手に登場したのは、2012年ロンドンパラリンピックとリオパラリンピック金メダリストで3連覇を狙うイギリスのNatasha Baker & Keystone Dawn Chorus (10歳/牝/ハノーバー)。さすがのチャンピオン、演技内や総合評価で9点台を含む結果で、76.265%、この時点でトップにたった。

Tokyo 2020 Paralympic Games – Individual Grade III
Natasha Baker riding Keystone Dawn Chorus GBR. Silver medal position.
Photo Copyright © FEI/Liz Gregg

そして12番手に登場したのは、新星でグレード別ランキングトップ、デンマークのTobias Thorning Jorgensen & Jolene Hill(13歳/牝/ダッチウォームブラッド)。今回がパラリンピックデビューのヨルゲンセンは2008年北京パラリンピック、2012年ロンドンパラリンピック代表のLine Thorning Jorgensenを母に持つ2世選手。そして、リオのメダリストでデンマークのパラ馬術界をひっぱってきたStinna Tange Kaastrup選手(グレードII、2020東京大会直前の馬の負傷で出場辞退、引退)のアドバイスを受けながら成長。当初障害飛越を楽しんでいたが、2013年、体がすぐに疲労するというミオパシーを発病してからパラ馬術に転向した。
出だしの停止でやや評価がばらついたものの、その後は終始安定し、8点、8.5点、9点の高評価。78.971%を記録して、トップに躍り出て、金メダルを獲得した。

Tokyo 2020 Paralympic Games – Individual Grade III
Tobias Thorning Jorgensen riding Jolene Hill DEN. Gold medal position.
Photo Copyright :copyright: FEI/Liz Gregg

金メダルは新星ヨルゲンセン
「何とも言えない気持ちです。嬉しいけれど明日の団体戦がまだあるので、集中しなおさなくては。
(チャンピオンNatashaBakerを抜いてのメダルに)最高の気持ちです。でも、素晴らしいライダーで素晴らしい人なので、ともにメダルの表彰台に立てて嬉しいです。抜くとかいうことはあまり考えていません。メダルは意義はありますが、彼らとともに競技に参加できる、同じ場にいられるだけで大きいです。
(パラリンピック出場経験のある母は)言葉はなく、ただただ泣いていました」

銀メダルはイギリスのベーカー
「驚きとともに何とも言えない気持ちです。パラリンピックが実現したことすら本当にすごいことです。Lottie( KeyStone Dawn Chorus)はすごくいい演技をしてくれて、誇りに思います。入場の時にアナウンサーの声に少し驚いてしまったようですが、普段はそういうことはないんです。なので、そのあと、大丈夫だよとできるだけ安心感を与えられるように騎乗しました。
今年一番の演技ではなかったです。でも、一番大事なのは、馬場に入った時、ともに演技ができるような姿勢だったことです。今後のために自信がつく演技でした。
この馬は、今回初めてイギリスの外にでました。これだけ大きな競技場も初めてでした。よく頑張ってくれたと思います。コンビを組んだのは2019年のヨーロッパ選手権の数か月前からで、昨年は(コロナのため)まったく競技出場ができませんでした。状況の中でできるだけのことをしてきました。
グレードIIIのトップホースたちは今、世界選手権やヨーロッパ選手権の環境を経験していますし、旅慣れています。(Lottieは)食事をとらなくなってしまったこともあり、慣れないことづくしでした。今回あれだけの演技をできたことを本当に誇りに思います。
12か月前にもし来ていたら(パラリンピックが延期されていなかったら)正直、76%も取れていなかったと思います。今年の3月からやっと競技が再開され、経験を積むようになって徐々に良くなってきました。来年はもっと自信をもって世界選手権に出場して、再び金メダルを狙いにいきます。今回は、メダルが取れたら最高、と思っていたのに対して、世界選手権では狙っていきます」

Tokyo 2020 Paralympic Games – Individual Grade III
Natasha Baker GBR, Tobias Thorning Jogensen DEN and Rixt van der Horst NED on the podium during the grade 3 medal ceremony.
Photo Copyright © FEI/Liz Gregg

日本代表の若手ホープ、稲葉将も健闘!

グレードIII日本代表の稲葉将 & Exclusiveは18人馬中16番手に登場、67.529%を記録。
後ろあしを軸にまわるターンでやや低い点数がついたものの、全体的には6.5点や7点が多く見られる演技。「騎手の馬術的理解力と技術力、正確さ」の総合得点ではすべての審判が7点をつけるなど今後に大きく期待ができる結果を残した。

稲葉選手コメント
「この舞台に無事に立て、素晴らしいライダーと同じ土俵で演技できたことは良い経験で、貴重な時間でした。緊張していて自分の演技は半分覚えていませんが、点数だけ見たらもっとできたと思います。
団体戦のメンバーに選ばれたら、今日以上の演技を目指して頑張りたいです」

個人競技、グレードⅢ 稲葉 将(シンプレクス/静岡乗馬クラブ) 画像提供:一般社団法人 日本障がい者乗馬協会

競技日程、結果 https://olympics.com/tokyo-2020/paralympic-games/ja/results/equestrian/paralympic-schedule-and-results.htm
グリーンチャンネル放送予定 https://www.greenchannel.jp/program/tokyo2020_paralympic.html
パラ馬術とはhttps://www.parasapo.tokyo/sports/equestrian
一般社団法人 日本障がい者乗馬協会 https://jrad.jp/

(取材協力 一般社団法人日本障がい者乗馬協会 岡崎千賀子、FEI/Rob Howell、編集・校正 望月芳子)

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