関連カテゴリ: Tokyo 2020, 東京, 馬術, 馬術/東京2020 — 公開: 2021年9月11日 at 2:40 PM — 更新: 2024年9月17日 at 11:24 PM

パラ馬術:東京の夜に人馬が舞う、フリースタイル

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8月30日(月)、東京のJRA馬事公苑で、東京2020パラリンピック馬術の最終競技、フリースタイル(自由演技)が行われた。
この日出場したのは、各グレード個人競技のトップ8に入賞した人馬。フリースタイルは各グレード別に定められた項目を含める演技を音楽に合わせて製作し、演技する。騎乗技術のみならず、音楽との調和など芸術性も採点対象となる。

フリースタイル、各グレードメダリストは下記の通り。

グレードV
(金)Michele George & Best of 8 (ベルギー)80.590%
(銀)Frank Hosmar & Alphaville(オランダ)80.240%
(銅)Regine Mispelkamp & Highlander Delight’s(ドイツ)76.820% 

Michele Georgeコメント
「感激しました。この馬はただただ素晴らしい馬です。若い馬を連れてきて、世界にこれだけの実力を持っているのを見せることができ、この気持ちは言葉になりません。ホームグランドでは素晴らしい演技をするので、彼女はきっとできるとは思っていましたが、まだ世界の舞台には早いかなと思っていました」

フリースタイルグレードⅤ金メダル、Michele George & Best of 8 (ベルギー) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅤ銀メダル、Frank Hosmar & Alphaville(オランダ) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅤ 4位、Sophie Wells & Don Cara.M(イギリス) 写真・山下元気

グレードIV
(金)Sanne Voets & Demantur(オランダ)82.085%
(銀)Louise Etzner Jakobsson & Goldstrike B.J. (スゥエーデン)75.935%
(銅)Manon Claeys & San Dior 2 (ベルギー)75.680%

Sanne Voetsコメント
「うまく言葉に言い表せません。すごく集中していて、普段は入場した時に審判とアイコンタクトをとるようにしているのですが、今回はそれもしなかったんです。私と馬と音楽と。少し催眠状態のような気持ちでした。強く、落ち着いてリラックスして自信を持った演技でした。経路を踏むとき、『どうしよう』という気持ちになることがありますが、今回はもう自然な動きでした。自然な調和で、私と馬だけの世界、そんな気持ちでした」

フリースタイルグレードⅣ金メダル、Sanne Voets & Demantur(オランダ) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅣ銀メダル、Louise Etzner Jakobsson & Goldstrike B.J. (スゥエーデン) 写真・秋富哲生

グレードIII
(金)Tobias Thorning Joergensen & Jolene Hill(デンマーク)84.347%
(銀)Natasha Baker & KeyStone Dawn Chorus(イギリス)77.614%
(銅)Ann Catherin Lubbe & La Costa Majlund(ノルウェー)76.447%

Tobias Thorning Joergensenコメント
「最高の気分です。最高の演技ができるという気持ちで少し力んで入りました。昨日よりも間違いが少し多かったかもしれないですが、限界まで馬を押して演技をしました。
金メダル2つという夢は持っていましたが、きっと厳しいだろうと思っていました。銀、銅でも2つのメダルが初めてのパラリンピックで取れたら嬉しいと思っていましたが、金メダル2つは何とも言えない喜びです」

フリースタイルグレードⅢ金メダル、Tobias Thorning Joergensen & Jolene Hill(デンマーク) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅢ金メダル、Tobias Thorning Joergensen & Jolene Hill(デンマーク) 写真・山下元気
フリースタイルグレードⅢ銀メダル、Natasha Baker & KeyStone Dawn Chorus(イギリス) 写真・山下元気

グレードII
(金)Lee Pearson & Breezer(イギリス)82.447%
(銀)Pepo Puch & Sailor’s Blue(オーストリア)81.007%
(銅)Georgia Wilson & Sakura(イギリス)76.754%

Lee Pearsonコメント
「14個目(の金メダル)、数えていたわけじゃないけれど、何とも言えない喜びです。メダルが取れるかどうかはどうでもよかったんです。馬が精いっぱいの演技をしてくれました。団体戦やインディビジュアルテストに比べて、すごく落ち着いて勇敢でした。まだ少し緊張していたようで入口でちょっと驚いていましたが、ほら、大丈夫、頑張ろうと声をかけました。
実はこの馬に騎乗して競技でフリースタイルを演じるのは初めてだったので、緊張していました。でも、素晴らしい演技をしてくれて、世界で一番の馬を連れて帰るんだって思います。美しくて、本当にいい馬だなぁと実感しています」

フリースタイルグレードⅡ金メダル、Lee Pearson & Breezer(イギリス) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅡ銀メダル、Pepo Puch & Sailor’s Blue(オーストリア) 写真・秋富哲生

日本の人馬で唯一フリースタイルに出場した宮路満英 & Charmanderは8位、67.434%だった。

宮路満英コメント
「一言で言うと楽しかったです。欲を言えばもう少し得点が欲しかったですが、演技は悪くなく楽しくできました。チャーマンダーの持ち味を引き出すのはまだまだかもしれませんが、片麻痺を理解してくれ助けてもらいました。チャーマンダー、日本チームのみんな、関わってくれた人、すべての人に感謝です」(宮路満英)

「選手村から会場に向かうバスの中では、走馬灯のように思い出していました。終わった後に泣くのかなと思っていましたが、泣くことはなかったのですが、感謝の気持ちになりました。普通なら来られないこの場所に連れてきてもらって感謝です。ありがとうございます」(コマンダー=経路を読み上げる人として、宮路を支えた妻の裕美子さん)

日本人場で唯一フリースタイルに出場した宮路満英 & Charmanderは8位。右はコマンダーの妻、裕美子さん 写真・秋富哲生

グレードI
(金)Roxanne Trunnell & Dolton(アメリカ)86.927% *パラリンピック最高新記録*
(銀)Rihards Snikus & King of the Dance(ラトビア)82.087%
(銅)Sara Morganti & Royal Delight (イタリア) 81.100%

Roxanne Trunnellコメント
「いい演技ができればいいと思っていました。音楽に合わせて気持ち良く演技できました。いい体験でした。みんなが明るく優しくしてくれるので厩舎内もいいムードです。帰国したら、みんな本当に喜んでくれると思います」

フリースタイルグレードⅠ金メダル、Roxanne Trunnell & Dolton(アメリカ) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅠ銀メダル、Rihards Snikus & King of the Dance(ラトビア) 写真・秋富哲生
フリースタイルグレードⅢ表彰式 写真・秋富哲生

これにて東京2020パラリンピック馬術競技は終幕。次は休む間もなく、ちょうど1年後に開催されるデンマーク世界選手権が待つ。この世界選手権から再び、次の2024パリパラリンピックに向けて、資格取りがはじまる。次のパラリンピックはどのような戦いが見られるのか? 今回成長を見せた新星たちのさらなる飛躍、そしてベテランたちの引き続きの活躍が楽しみだ。

競技日程、結果 https://olympics.com/tokyo-2020/paralympic-games/ja/results/equestrian/paralympic-schedule-and-results.htm
グリーンチャンネル放送予定 https://www.greenchannel.jp/program/tokyo2020_paralympic.html
パラ馬術とは?https://www.parasapo.tokyo/sports/equestrian
一般社団法人 日本障がい者乗馬協会 https://jrad.jp/
デンマーク世界選手権 https://herning2022.com/

(取材協力 一般社団法人日本障がい者乗馬協会 岡崎千賀子、FEI/Rob Howell、編集・校正 望月芳子)

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