関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 千葉, 国内大会, 夏季競技, 新着 — 公開: 2022年12月12日 at 3:09 PM — 更新: 2022年12月21日 at 10:21 AM

第20回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権が開幕。 大逆転の松本山雅B.F.Cなど4チームがまず準決勝ラウンドへ

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第20回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権が開幕。成田で行われた予選ラウンドは、平林太一が17点を決め逆転1位となった松本山雅B.F.C含む4チームがまず準決勝ラウンドへと進んだ。

開会式後の記念写真  提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 ブラインドサッカーチームの日本一を決める第20回アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権の予選ラウンドが12月10日(土)、11日(日)、重兵衛スポーツフィールド中台(中台運動公園)球技場(千葉県成田市)にて開催された。過去最多タイの22チーム(日本ブラインドサッカー協会への登録チームは30)が参加する。
 予選ラウンド(成田会場、堺会場)、準決勝ラウンド、FINALラウンド全40試合が、12月から2023年2月にかけて、千葉県成田市、大阪府堺市、静岡県浜松市、東京都町田市にて開催される。この成田会場には抽選で決まった11チームが参加、3つのグループに分かれて総当たり戦がおこなわれた。各グループの1位と、ワイルドカードとして各グループ2位チームの中から勝ち点で上回った1チームの計4チームが準決勝ラウンドに進出する。
 グループC(埼玉T.Wings、ラッキーストライカーズ福岡、オガルリーブレ山梨)は埼玉T.WingsがLIGA.i優勝の勢いのまま、2勝0敗で危なげなく準決勝ラウンドに駒を進めた。

2試合で合計8点を決めた菊島宙(9番/埼玉T.Wings)提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 一方、グループA(buen cambio yokohama、乃木坂ナイツ、たまハッサーズ、ソイエ葛飾)、グループB(ファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズ、スフィーダ世田谷BFC、松本山雅B.F.C.、GLAUBEN FREUND TOKYO)は共に勝ち点で複数チームが並ぶ混戦となった。グループAは、yokohama buen cambioが勝ち点7でたまハッサーズと並んだが、得失点差で2点差をつけて1位となった。

チーム最多の3点を決めた中村駿介 (77番/yokohama buen cambio) 筆者撮影

 圧巻はグループBの松本山雅B.F.C.である。日本代表に選ばれ、先日のIBSAブラインドサッカーアジア・オセアニア選手権では予選グループリーグのオーストラリア戦でハットトリックを決めた高校1年生の平林太一に攻撃を任せるスタイルで、1日目2戦終わった時点で、1勝1敗の勝ち点3、得失点差0。平林はこの時点で、「日本一を目指しているので、他力本願ではあるが、可能性がある限り諦めない」とインタビューで語っていた。同時に、GLAUBEN FREUND TOKYOが勝ち点3、得失点差1で残り2試合を残しており、全勝での勝ち抜けの可能性があった。
 松本山雅B.F.Cが最終戦スフィーダ世田谷BFCとの試合開始時点で、暫定1位のファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズは2勝1敗勝ち点6、得失点差17。GLAUBEN FREUND TOKYOも2勝1敗勝ち点6、得失点差9。松本山雅B.F.C.にも自力で1位になる可能性が残っていたが、そのためには17点差以上での勝利が必要であった。松本山雅B.F.C.の対戦相手のスフィーダ世田谷BFCは、この大会が公式戦初参加。初戦はファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズに17失点を喫している。

ゴールに迫る平林太一(9番/松本山雅B.F.C.)提供:鰐部春雄/日本ブラインドサッカー協会

 試合開始早々、平林はシュートを立て続けに打つも5本連続で入らず、1点目は第1ピリオド開始4分。その後第1ピリオドが終わるまでに8点を決めた。第2ピリオド開始3分で9点目を決めたのを皮切りに13分までに17点を決め、そのまま17-0で試合を終えた。平林がこの試合に放ったシュートは筆者のカウントで50本だった。この結果、松本山雅B.F.C.とファンタス千葉SSC 松戸ウォーリアーズは勝ち点・得失点差・総得点で並び、直接対決で勝利した松本山雅B.F.C.の1位が確定した。

 試合後のインタビューで平林は、「17点差はできる限り意識しないようにしたが、緊張や焦りはあった」と語る。「監督に「あわてるな」といわれてやっと落ち着けた」。「1点、1点かえし、周りと連携しながら隙があればゴールを狙うつもりでプレーした」結果が大逆転へとつながった。この冬は「所属する軽音学部の友人と過ごすことを楽しみにしている」と語る高校1年生。予選ラウンド3試合で、手元集計で85本のシュートを放ち、20得点した。準決勝ラウンドでどこまで得点できるか注目である。

 一方、初参加で三試合合計失点43のスフィーダ世田谷BFCの細野亜古監督は、「今大会の自分たちのコンセプトである、「怪我無くチーム全員がフィールドに立って、みんなで楽しみ、ここまで来れたことについてサポーターへの感謝」はできた。次は点をとって勝ちたい。攻撃ができるようになりたい」と語った。二試合目、三試合目と試合が進むにつれプレーが「ちょっとづつよくなっている(細野監督)」ことが見て取れた。今後の成長に期待したい。

 準決勝ラウンドへはyokohama buen cambio、松本山雅B.F.C.、埼玉T.Wingsと、ワイルドカードとしてたまハッサーズが進むことになった。

 成田会場では、地元のサッカー連盟他、のべ62名のボランティアが試合運営をサポートした。初ボランティアで、初めてブラインドサッカーをみた11人制サッカー歴が長い方曰く「視覚が使えない状態で、軸足の置く位置が重要なインステップキックをしっかり蹴っていることに驚いた。学ぶところが多い」と語ってくれた。
 サッカーの経験者がみても驚きと気づきのあるブラインドサッカー。まだの方は是非一度、現地にいってその目で見ていただきたい。今後の予定は以下の通りである。
 
 <予選ラウンド>
 ・2022年12月17日(土)、18日(日)(会場:J-GREEN堺/大阪府堺市)
 <準決勝ラウンド>
 ・2023年1月22日(日)(会場:サーラグリーンフィールド浜北平口サッカー場/静岡県浜松市)
 <FINALラウンド>
 ・2023年2月11日(土)(会場:町田市立総合体育館/東京都町田市)
大会ホームページ http://axa-bravecup.b-soccer.jp/

(写真提供・日本ブラインドサッカー協会 校正・中村和彦、佐々木延江、そうとめよしえ)

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