杭州から佐賀、そしてパリへ。「第40回日本パラ水泳選手権大会」で年内のレースが終了。パラ水泳に多様な魅力を求める声も

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パリへ向かう2023シーズンの公式レースが終わろうとするなかで、パラ水泳の多様な価値を模索する言葉が語られた。

100m背泳ぎS8、窪田

8月マンチェスター世界選手権で銀メダル、アジアパラで金メダルを手にした窪田幸太(NTTファイナンス)は、今大会1日目は50m背泳ぎS8で大会新、50m平泳ぎSB8で自己ベストのほか、200m個人メドレーSM8と3種目に出場。2日目はメインの100m背泳ぎS8に出場し1分8秒64で今年最後のレースを終えた。
窪田は「アジアパラより遅かった、6秒台くらい出したかった。原因は手の入水が入り過ぎているようだ。35mあたりで手が入り過ぎていると気づいたがペース配分に集中していて意識しきれなかった」と今年最後のレースを振り返った。

アジアパラ100m背泳ぎで金メダルを獲得した窪田幸太(NTTファイナンス) 写真・中村 Manto 真人
佐賀2日目、100m背泳ぎS8を泳ぐ窪田幸太(NTTファイナンス) 写真提供・日本パラ水泳連盟

「世界選手権で、最後に迫られ競り負けてしまう経験をした。迫られても勝ち切るということを課題として、アジアパラでは東京でメダルを取った選手と競り合って勝ち、克服できた。身体の調子が良かったのでベストが出ると思っていたが出せなかったところは、3月とパリに向けて、1分5秒台で泳げるようにしていけたらと思います」と、今年1年を振り返って語った。

石浦智美が50m背泳ぎS11で世界記録

杭州アジアパラ初日の50m自由形S11でメダル第一号となりチームを沸かせた石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)は、今大会も50m背泳ぎで3月(シンガポール)の自身の世界記録を更新した。メインの50m自由形で30秒49で自身の日本記録更新したほか、50m平泳ぎ、50mバタフライでも大会記録を更新した。
メインとなる50mと100mの自由形で世界で戦う。今回は杭州からの期間が短かったためスプリント4種目に絞り出場した。「50m自由形については東京の選考会よりもはるかに速いタイムが設定されると思う。29秒台を出していかないといけないだろう」と3月の静岡に向け、1月に千葉で開催されるIPC公認の知的日本パラ水泳選手権にも出場し準備していく。今年1月から高城 直基コーチのもとで練習に取り組みその今までの苦手をクリアし成果が出ているという。

杭州アジアパラで石浦は「前回まではメダルがとれて当たり前だったんですが、今回の大会は、私たちS11にはトップ選手がそろっている。コンマ何秒の争いができて嬉しい」と話しアジアのレベルが上がったことを喜んだ 写真・中村 Manto 真人

100m平泳ぎSB14、山口、芹澤

男子は、王者・山口尚秀(四国ガス)が、8月の世界選手権で優勝し、パラ水泳初のパリパラリンピック出場権獲得となった。山口にとって初めてのアジアパラでは、100m平泳ぎSB14、100m背泳ぎS14、200m個人メドレーSM14で大会記録、混合S14フリーリレーではアジアレコード。出場4種目全てで記録更新し金メダルを獲得した。

アジアパラで金メダル
アジアパラで山口尚秀の表彰 写真・中村 Manto 真人

山口は、佐賀2日目の100mバタフライS14に出場後「バタフライで優勝できて嬉しい。バタフライは平泳ぎと共通点があり、水の捉え方、キャッチと体重移動などバタフライのキックで平泳ぎをすることもあるので活かしていけたら良いと思います」と、アジアパラでは平泳ぎ以外での金メダルを「専門外」とコメントしていたが、今大会では専門外の種目にも前向きな姿勢を見せていた。
11月後半から山口はイギリスへ一人武者修行と現地での大会のため遠征する。1月そして3月には経験を積みさらに大きく成長した山口に会えるのが楽しみだ。

女子は、芹澤美希香(宮前ドルフィン)がアジアパラで、アジアレコードを樹立し金メダルを獲得した。

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