4月26日からナショナルトレーニングセンター(東京都北区)ではパリパラリンピックに向けたパラ水泳日本代表(内定)選手の合宿が行われていた。クラス分けで保留となっていた齋藤元希、辻内彩野、福田果音ら3名もパリへの参加資格を満たし22名全員が揃い、パリへ、チームの活動が始まった。
ボッチャでチームビルディング
30日メディアに公開されたのは、ボッチャをテーマにしたチームビルディングのセッションだった。
日本代表チームで心理面を担当する福井邦宗氏によると、優れた「チーム」となるには、多様な個性を持つ人々がいかに目標に向けてその多様性を発揮し協力し合えるかにあるという。多様な障害のあるアスリートが集まるパラ水泳チームは、まさに、さまざまなアイデアや視点の宝庫と言える。
ボッチャを通じて、選手たちは多様なバックグラウンドを持つチームメイトとのコミュニケーションを学び、互いの異なる強みを理解し合うことで、チームとしての結束を深める体験をした。
辻内はS12へクラス変更
辻内彩野はクラス分けのためアメリカでのワールドシリーズに参加。意外な結果を持ち帰っていた。弱視の2つのクラスのうち軽い方のS13から障害がより重いS12に変わったのだ。パリへは新しいクラスで出場する。
「自分では変わると思っていなかったのでS12と言われびっくりしました。S12になったことで、パリでは100mと400の自由形にS12として挑戦するという選択肢が増えました。今まで通り50m自由形S13にも出ることができます。そういうところで種目選択の幅が広がりましたが、障害が進行したという面では生活がしづらくなることでもあり、複雑です」とクラス分けへの感想を話していた。
2023年のランキングを参照すると、辻内のタイムをS12で出場する100mに当てはめると世界ランク4位、400mだと3位でメダル圏内。S13で出場する50mも4位に位置する。いずれにしてもメダルも見えているが、「メダルを目標に置くと体が固まってタイムが出にくくなると自覚している。タイムを意識して泳ぐことにします」と、パリでのレースに向き合った。具体的な練習については、週末のジャパンパラ後にコーチらと相談する予定。
週末は、国内最高峰のジャパンパラ水泳競技大会!
合宿の成果を披露する場として、5月3日から横浜国際プール(横浜市都筑区)でジャパンパラ水泳競技大会が開催される。この大会には、国内外のトップ選手が集結し、競技の魅力とともに、パリパラリンピック日本代表チームの顔ぶれと、団結力を目の当たりにすることができる。
多様性を活かした強固なチームビルディングを目指し、日本代表チームが一丸となって挑んでいる。ぜひ、現地で観戦してほしい。
<参考>
ボッチャでチームビルディング(写真/facebook)
https://www.facebook.com/media/set?vanity=paraphotoclub&set=a.852409166925627
ジャパンパラ水泳競技大会
https://www.parasports.or.jp/japanpara/swimming/
(写真・秋冨哲生、校正・地主光太郎)