
混合49ptメドレーリレーは、視覚障害の選手によるチーム編成が49ptを超えてはならない。そのチーム編成や戦略がレース展開の鍵を握る。

レースはブラジルが独走、スペイン(欧州新記録/4分25秒33)が続く展開。日本は250m通過段階でブラジルから13秒差の3位をキープし、最後までその座を譲らなかった。
第1泳者(背泳ぎ)石浦智美(S11/伊藤忠丸紅鉄鋼)

第2泳者(平泳ぎ)齊藤元希(S13/スタイル・エッジ)

第3泳者(バタフライ)木村敬一(S11/東京ガス)

第4泳者(自由形)辻内彩野(S12/三菱商事)

泳者たちの声

アンカーを担った辻内は「みんなが頑張れば世界で勝てる、チームでメダルを獲得できて本当に嬉しい」と笑顔を見せた。
石浦は「個人種目ではふがいない結果に終わったが、仲間に支えられて結果を残せた。明日からまた挑戦したい」と前向きに語った。
木村は「4人全員がメダリスト級になれば世界で勝てる。今日はチーム力の成果を喜び、さらに上を目指す空気をつくりたい」と冷静に分析した。
齊藤も「自分の役割を果たせたことが嬉しい」と、チームへの信頼と満足感を口にした。
世界との距離と課題
強豪ブラジル、スペインが世界新・欧州新を記録した一方、日本のアジア新は14秒差。49ポイントリレーの国際水準は依然として高く、木村が指摘したように「個々の底上げ」は不可欠だ。それでも、中国を抑えた銅メダルと記録更新は「世界に迫る」手応えを示した。
今後へ
「4人全員がメダリスト級に」という言葉通り、みんなで力を合わせてつかんだこのアジア記録は、日本が抱える「若手層の薄さ」という課題を克服するための大きな励みとなるだろう。複数種目に挑戦する若手を育む、将来の世界へ挑戦する次世代へ受け渡すバトンとなった。


また、この銅メダルは、2006年から世界に挑み続けた石浦智美が20年求め、手にした悲願のメダルであった。チームの努力と重なり、アジア記録を塗り替えたこのリレーは、トビウオパラジャパンの新しい未来を描くレースとなった。世界との差はまだ大きいが、確かな、銅色の輝きがつぎの一歩を照らした。
(写真取材・秋冨哲生 校正・久下真以子、そうとめよしえ)






