来月行われるデフリンピックでは、バドミントン競技が11月16日〜21日(個人戦)、11月23日〜25日(団体戦)の日程で、京王アリーナTOKYOにて開催される。日本代表壮行会は、近隣の方々にも公開され60名弱が参加した。
デフリンピックは“両耳で500 Hz、1000 Hz、2000 Hzの平均聴力損失が55 dB以上”という基準を満たした選手が出場できる。聞こえる人のバドミントンと同様のルールで行われるが、デフリンピックでは選手同士、また審判・選手間の意思疎通のために、手話や視覚的合図、サインが用いられる。トルコ・サムスン大会メダリストの沼倉昌明は、聞こえる人のバドミントンとの違いの一つとして、「後ろの選手の動きが音で分からないこと」を挙げ「ダブルスの時に後ろの人が、シャトルを強く打ってるのか弱く打ってるのか、ジャンプして打っているのか、低いところで打っているのかということが、聞こえる人には音を聞いて次に来るシャトルの種類が聞き分けるところが、ろう者には実際にシャトルが見えるまで判断できない。その難関を乗り越える工夫は、日頃お互いの癖や動きなどから判断できるようになっていること」と語っている。

出場選手と種目は以下の通り:
【男子】(奥左から)
森本悠生(男子シングルス/男子ダブルス/混合ダブルス/混合団体戦)
太田歩(男子ダブルス/混合団体戦)
永石泰寛(男子シングルス/男子ダブルス/混合団体戦)
沼倉昌明(男子ダブルス/混合ダブルス/混合団体戦)
【女子】(手前左から)
矢ケ部真衣(女子シングルス/女子ダブルス/混合団体戦)
片山結愛(混合ダブルス/混合団体戦)
鎌田真衣(女子シングルス/女子ダブルス)
矢ケ部紋可(女子シングルス/女子ダブルス/混合団体戦)
長原茉奈美(女子ダブルス)
沼倉千紘(混合ダブルス/混合団体戦)
前回2022ブラジルデフリンピックは団体戦では史上初銀メダルを獲得したものの、コロナによる日本選手団全体の棄権に伴い、個人戦の準決勝、決勝を棄権し、女子シングルス(矢ケ部 真衣)/女子ダブルス(矢ケ部紋可・矢ケ部真衣)/男子ダブルス(太田歩・沼倉昌明)が4位入賞の結果となった。今大会はこれを上回る成績が望まれる。
前回大会でベスト16に進出し、今大会ではメダル獲得を目指し、夫妻で混合ダブルスに出場する沼倉昌明・沼倉千紘。
夫婦で組むメリットについて、「試合や練習の中で自分が思ったことをしっかり相手に伝えられ、納得するまでお互い話し合える、本音で話し合えるところ」と話す。一方で、「相手に対して求めるレベルが高くなり、雰囲気が悪くなってしまうこと」もあったそうだが、今ではそれを乗り越えた実感があるという。今の課題について千紘は、「私は前なので後ろの様子が分からない。自分がカバーに行くのか行かないのか、我慢してそこにいるのかという判断が、今日の練習試合の中でも難しいなと思った。本番までに修正していきたい」昌明はこれに自身の問題として「基本的に私が上から打つのですが、疲れてきた時にもう決めたいという気持ちが出てきて、決め急いで相手に逆にカウンターを取られてしまうということが何度もある。そこは我慢をして、次の球につなげるという意識をしながら打つ」ということを挙げた。混合ダブルスのJerlin Anika / Abhinav Sharma(インド)やBoon Wei Ying / Teo Edmund(マレーシア)らの強豪と戦って打ち破っていくことを期待したい。

日本で行われるデフリンピック。バドミントン選手の活躍を目に焼き付けるべく、是非会場に足を運んで声援を送ろう(観戦無料)。選手に見える形での旗振り応援やサインエールも喜ばれるので、ウェブなどでチェックしていくのをおすすめする。
以下、公開練習の様子







(校正 久下真以子・佐々木延江・宮川里咲)







