公開: 2025年11月2日 at 3時28分 — 更新: 2025年11月5日 at 12時20分

シンガポールからの凱旋で石浦が世界記録!日本パラ水泳選手権大会が開幕

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2025年11月1日(土)、千葉県国際総合水泳場での「第42回日本パラ水泳選手権大会」(WPS公認大会)初日、ベテラン石浦智美による世界記録が樹立された。

女子50メートル背泳ぎS11(全盲)に出場した石浦智美 写真・秋冨哲生

大会初日に歴史的な瞬間が生まれた。女子50メートル背泳ぎS11(全盲)に出場した石浦智美(伊藤忠丸紅鉄鋼)が、34.65の好記録で泳ぎ切り、世界新記録を樹立した。
同時に、隣のレーンを泳いだ辻内彩野(三菱商事)もS12のアジア記録(34.21)を叩き出し、日本パラ水泳・女子ブラインドの力強さを披露する幕開けとなった。

女子50m背泳ぎにて、辻内(S12/奥)、石浦(S11/手前)の泳ぎ  写真・秋冨哲生

世界選手権の悔しさを胸に

石浦は、9月に行われた「トヨタ世界パラ水泳選手権シンガポール2025」で、リレー種目でアジア新記録を樹立し、2つの銅メダルを獲得したものの、個人種目では思うような結果を残せず、「不甲斐ない結果だった」と語っていた。
今大会では「水の感覚を取り戻したい」と、50メートル4種目のスプリントに挑戦。シンガポールでの悔しさを糧に、自らを再び高める舞台とした。

インタビューで記者の言葉と明日のメイン種目に向き合い自分を鼓舞するように話す石浦 写真・秋冨哲生

「世界記録が公認されてとても嬉しい」と笑顔を見せつつも、「あくまでもメインは明日の50メートル自由形です」と語り、気を緩めることなく次の種目へ向けて集中を続けている。

その開幕日に石浦が刻んだ世界新記録は、日本パラ水泳の不屈の精神を象徴する出来事であった。
「ロスまではまだ3年。まずはパリで取りこぼしたメダルに挑戦し、来年の自国開催となるアジアパラを目標にしていきます」と石浦は語る。

女子S11の舞台には、世界記録保持者を擁する中国勢が立ちはだかる。アジア大会といえども容易な戦いではない。
それでも石浦は、自らの泳ぎで世界へと再び挑む覚悟を示した。
世界新記録の快挙は、明日のメイン種目、そして次なる挑戦へと続く。

会場の千葉県国際総合水泳場。国際基準を満たした50m×10コースのメインプール、50mのサブプールと飛び込みプール、15mの初心者用プールを備える。観客席3600席超。大会のない日は市民利用ができる。 写真・秋冨哲生

(写真取材・秋冨哲生 取材・校正・川村翼)

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