11月18日、大会4日目。亀澤理穂(住友電設)は東京体育館で行われた卓球混合ダブルスに亀澤史憲とのペアで出場し、一回戦で中国のWANG Cong/WANG Zheペアと対戦。0-4でストレート負けを喫した。

デフリンピック卓球の特徴
デフリンピック卓球は、音に頼らず視覚を中心として戦う競技だ。試合開始の合図には手話やランプ、フラッグなどが使われ、コーチからのアドバイスは手話やサインで行われる。また、ボールがラケットに当たる音が聞こえないため、相手のフォームや打球のタイミングを「目」で読む高度な観察力が求められる。

亀澤は、「ボールが台に入っているかを必ず目で確認するので、どうしても腰が高くなってしまう」と語る。それでも技術と経験で巧みに調整し、世界の舞台で結果を残し続けてきた。

逆転のチャンスもあと一歩
立ち上がりの第1、2ゲームは緊張もあってか、 7-11、2-11で連続ゲームを落とす苦しい展開。しかし第3ゲームでは、コーチのアドバイスを受けて少し台との距離をとってプレー。視野が広がると相手の打球タイミングを正確に捉え、6-6の同点、さらに一時は9-8と逆転に成功。会場の期待も高まったが、終盤で押し切られ9-11で惜敗。第4ゲームも4-11で落とし、ストレートでの敗退となった。

娘に捧げる金メダル
亀澤は、2009年の台北デフリンピック大会から4大会連続出場。2022年には、娘が生まれてから初のデフリンピック大会を経験した。これまでに銀3個、銅5個を獲得しながらも、どうしても届かなかった「忘れ物の金メダル」。試合後には「全種目で金メダル取りたいという目標が一つなくなってしまった」悔しい想いを語った。

亀澤は以前、「練習や試合で娘に寂しい思いをさせた分、絶対に金メダルを取って娘の首にかけたい」と語っている。今回の初戦を授業で見られなかった娘に、残り3種目で優勝の喜びを届けられるか…。まず次戦は11月19日(水)の女子ダブルスだ。11月20日、21日には女子シングルス、11月23日(日)、24日(月)には団体戦も控えている。私たちも心から見守りたい。


(写真取材:秋冨哲生 校正:丸山裕理)






