公開: 2026年3月15日 at 10時13分 — 更新: 2026年3月15日 at 10時13分

【ノルディックスキー】激変する現在地と未来——荒井秀樹副団長と選手たちが語るテーゼロでの日々

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ミラノ・コルティナ2026パラリンピックのノルディック競技が、イタリア・テーゼロのクロスカントリースタジアムで開催された。日本チームは8大会連続のメダル獲得には届かなかったが、選手たちは持てる力を出し切り、新たな時代へ向き合う姿勢を見せた。荒井秀樹副団長と選手たちの言葉から、パラノルディックスキーの現在地と展望をレポートする。

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h2>チームの絆と浮き彫りになった課題

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3月14日のクロスカントリースキーリレー(4×2.5km)は、気温8.5度・雪温マイナス0.2度の曇天下で行われた。日本は新田佳浩、森宏明、川除大輝(第3・4走)の布陣で24分44秒7を記録し、7位入賞を果たした。
新田は「誰一人諦めずにタスキと思いをつなぎ切った。チームにとって価値ある7位だ」と振り返り、森は「今のチームのベストを尽くした結果」と胸を張った。アンカーの川除はラストスパートでポーランド選手を抜き去り、「1、2走が流れを作ってくれたおかげ」とチーム一丸の成果を強調した。
男女混合ミックスリレーには源貴晴、岩本啓吾、阿部友里香、岩本美歌が出場し27分29秒2で8位入賞。岩本啓吾は「他の3人のおかげ」と仲間に感謝した。

世界の急速な進化

海外勢の台頭は著しい。ミックスリレーではアメリカが金メダルを防衛。Jake Adicoffが4番手から3人を抜く快走を見せ、Oksana Mastersは今大会4個目の金メダルを獲得した。オープンリレーでは中国が制し、3位争いではノルウェーがウクライナをわずか0.2秒差でかわした。

新田はこうした状況に危機感を示す。「あらゆるカテゴリーが確実に強くなっている。ゼロベースで強化システムを議論し直し、次なる『新生ジャパン』を作らなければならない」。

気候変動と公平なルールの課題

温暖化の影響でコースはザクザクのコンディション。現行のファクター(係数)設定が整備されたコースを前提としているため、ダブルポールを使える選手が大きく有利となり、ワンポール・ノーポールの選手には不利な条件となった。今大会からFIS等へ完全移行したパラノルディックの運営について、荒井副団長は「パラリンピックならではのハンデ戦の意義を理解してもらい、各国と連携しながら『公平に戦う』環境の整備を強く求めていく」と語った。

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h2>専門強化体制の構築が急務<h/ 2>
IBUとFISへの管轄分離で大会日程も大きく変化した。カナダ・ノルウェー・ドイツなどの強豪国はすでにコーチ陣・チームを分けた専門体制を敷いている。日本もパラバイアスロンのワーキンググループを立ち上げたが、今大会への対応には間に合わず、目標未達の一因となった。競技ごとの専門強化体制の早期構築が不可欠だ。
国内拠点の整備とインクルーシブな環境へ
欧米・中国が力をつけた最大の要因は、自国に練習拠点を持ち、選手とコーチが共に生活しながら鍛錬できる環境だ。荒井副団長は、2025年10月にスポーツ庁長官に就任したパラリンピアンの河合純一氏とともに、国内拠点の整備を急ピッチで進めていることを明かした。
拠点候補には雪が豊富な北海道(旭川など)が挙がる。パラリンピックの選手にとどまらず、デフリンピックや知的障害の選手も共に活動できるインクルーシブな環境が理想だ。かつて新田らを輩出した「スポーツ少年団」のように、障害の有無を問わず地域で子どもたちが共にスポーツを楽しむ仕組みを再構築し、次世代の発掘につなげることが強く求められている。

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h2>平和への願い<h
荒井副団長は最後に、揺れる国際情勢の中で平和の重要性を訴えた。「長野大会の頃に当たり前だと思っていた平和が、いかに大切かを実感している。紛争や戦争のない、誰もが平和の中でスポーツを楽しめる環境を強く求めたい」。
激動の時代に入ったパラノルディックスキー。「オリパラ一元化」へと向かう世界の潮流の中、荒井副団長と選手たちの言葉は、日本のウィンタースポーツが目指すべきインクルーシブな未来と、パラスポーツの果たす真の役割を力強く示している。

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