2026年5月16日(土)、ワールドトライアスロン・パラシリーズ横浜大会が開催され、視覚障害クラス(PTVI)には世界各国からトップアスリートたちが集結した。
男子PTVIでは、セルビアのLazar Filipovic(B1)が55分41秒で優勝。日本勢では樫木亮太が4位、山田洋介が7位に入った。女子PTVIではアメリカのMcClain Hermes(B1)が制し、日本の竹内真子(ガイド:巌淵知乃)は6位でフィニッシュした。

世界トップレベルが集う横浜の舞台。その空気を真正面から受け止めながら、それぞれが次につながるレースを刻んだ。
■「悔しい」で終われた横浜。竹内真子が見つけた課題と成長

女子PTVIで6位となった竹内真子は、レース後、「今日は本当に楽しかったです」と振り返った。
「スイムは結構苦手」と話す竹内だが、この日は「練習がいい方向にできていて、継続してやっていこうと思えた」と一定の手応えを口にした。
一方で、バイクとランには課題を感じている。
「2種目続けて練習する時間が少なかった。もう少し強化していかないといけない」
レースを終え、「悔しい」という感情が残ったことも、次へのモチベーションになっている。
「次のレースでは、今以上のタイムを出せるように頑張りたい」


横浜は、アジア選手権やオーストラリア遠征とはまた違う空気だったという。
「海外の選手や応援の声も多くて、ちょっと圧倒されました」
それでも、山下公園周辺のフラットなコースについては「走りやすかった」と語る。一方で、ガイドとの連携についても課題を感じた。
「バイクは、ガイドさんともっと合わせられると、お互いが楽に速く進めるのかなと思いました」
今回ガイドを務めた巌淵知乃とは、大会で初めてペアを組んだ。
「まだこれから作っていく段階。でも、練習の時よりはうまくいったかなと思います」
竹内はブラインドサッカーとの“二刀流”でも知られる選手だ。インタビューでは、それぞれの競技の違いについても語った。
「ブラインドサッカーはチームスポーツなので頭を使う。トライアスロンは自分との戦い」

一方で、ブラインドサッカーで培った感覚やイメージ力は、トライアスロンにも活きているという。特に苦手とするスイムでは、「イメージ作り」を重視している。
「足首が硬いので、体幹を浮かせてキックを打つ練習をしています。水中でも、この部分を意識して泳ぐというイメージを作っている」
さらに、レース中には目を休める感覚もあるという。「バイクでは目をつぶっていることも多い。ランに備えて休めたり、波の感覚を感じたりしています」
現在は、世界選手権やアジア選手権など今後の国際大会を見据えている。
「各レースで30秒、1分ずつでもタイムを更新して、来年のパラリンピック選考につなげていきたい」
そして、その先に見据えるのはロサンゼルス2028パラリンピックだ。
「ブラインドサッカーも続けながら、日々のトレーニングを積み重ねていきたい」
■男子PTVI、日本勢も世界に挑む

男子PTVIでは、樫木亮太が4位に入った。レース後には、「とにかく最高です」と充実感をにじませた。
特に課題として取り組んできたランについては、「去年の反省だった」と語る。


「去年はランで思うように走れなかった。バイクの強化と、疲れた後のラン練習をやってきました」
その成果もあり、「ランが一番良かった」と振り返った。今年は海外勢との差も強く感じているという。
「海外選手たちが速いので、そこに食らいついていけるように成長したい」
一方、山田洋介は7位でレースを終えた。
レース後は「改善しないといけない部分が見えた」と振り返った。

山田は、視覚障害クラスの魅力について、こう語った。
「2人で1つのチーム。やってきたことが全部タイムに出る。残酷でもあり、面白いスポーツ」
また、これから競技を知る人たちに向けては、「まずは会場に来てほしい」と話す。
「こういうレースなんだ、こういう競技なんだって、実際に見るのが一番早いと思う」
世界のトップスピードが駆け抜けた横浜。その中で、日本の選手たちもまた、自分たちの現在地と未来への課題を持ち帰った。
ロサンゼルス2028へ向けた戦いは、すでに始まっている。
((写真・山下元気、秋冨哲生、そうとめよしえ 校正・佐々木延江)






