公開: 2026年9月3日 at 13時44分 — 更新: 2026年9月4日 at 9時19分

Aachen世界選手権:団体戦はアメリカが圧巻の金

知り・知らせるポイントを100文字で

2026年8月21日から22日(現地時間)、ドイツ・アーヘンにあるAllianz Park Stadium 3で、馬術世界選手権のパラ馬術団体競技が(グランプリB)行われた。

団体戦には各国3人馬または4人馬が出場。4人馬で構成されたチームは、4人のうち上位3人の得点を合計して団体成績を決定する。さらに、グレードI~IIIの選手を少なくとも1人含み、同一グレードからは2人までというルールに基づくチーム編成になっている。

今回の団体戦は、21日にグレード I、II、III、22日にグレードIV、Vが行われ、個人競技とは異なるGrand Prix Bの経路が使用された。また、この日の得点と、個人競技の得点を合算したものが23日最終日の個人フリースタイル出場を決める大事な競技だ。

最大の注目は、2024年パリパラリンピックで団体金メダルを獲得したアメリカ。過去の王者オランダや、ドイツ、イギリスなどははたして今回どれだけ成績を上げてくるのか。また、開催枠を持つアメリカを除く上位7カ国が次回2028年ロサンゼルスパラリンピックの団体出場権を得られることもあり、緊張感の漂う競技となった。

初日はアメリカの2人馬が好スタート

団体戦初日の8月21日はグレード I、II、IIIが行われた。

優勝候補のアメリカは、グレードIIのFiona Howard&Diamond Dunes(栗毛/13歳/牡/ハノーバー)(グレードII)が79.300%を記録。個人戦の75.000%から大きく得点を伸ばし、チームに上々なスタートをもたらした。

Fiona Howard&Diamond Dunes
© FEI/Leanjo de Koster

そして続くグレードIで、Marie Vonderheyden&Fan Tastico H(青毛/9歳/セン/オルデンブルグ)が76.375%。個人戦での76.71%に続く好成績となり、アメリカの金メダル争いをさらに優位にした。

Marie Vonderheyden&Fan Tastico H
© FEI/Leanjo de Koster

他国もまけずに高得点

オランダも負けてはおらず、ベテランRixt van der Horst&Eisma’s Royal Fonq N.O.P.(栗毛/11歳/牡/ウェストファーレン)が78.470%でトップ。過去に複数のメダルをとった経験をもつデンマークのTobias Thorning Jørgensen&Blue Hors Zackorado(青毛/10歳/牡/オルデンブルグ)が77.07%で続いた。

Rixt van der Horst&Eisma’s Royal Fonq N.O.P.
© FEI/Leanjo de Koster
Tobias Thorning Jørgensen&Blue Hors Zackorado
© FEI/Leanjo de Koster

日本は稲葉、吉越、大川が登場

今回4人馬でチームを組む日本は、初日にグレード IIの稲葉将(グリーンフィールドET)&Dallas(鹿毛/13歳/セン/オルデンブルグ)、吉越奏詞(岡本ライティングクラブJAPAN)&Vior(鹿毛/6歳/牝/ハノーバー)そしてグレードIの大川順一郎(蒜山ホースパーク)&RH’s Totally Joker(栗毛/14歳/セン/ハノーバー)が登場。
まずは激戦のグレードII。2番手に登場した吉越&Viorは66.443%で12人馬中8位。途中審判が誤ってベルを鳴らし、演技が中断。その後馬が緊張してしまい、得点に響いた。続いて稲葉&Dallasは高得点を叩き出した5番目アメリカのHowardの後、6番手に登場。66.500%で12人馬中7位に終わった。

「あのベルは経路違反ではなく、審判が間違えて鳴らしたものです。しかたなく演技を止めましたが、そのためViorは緊張してしまい、本領発揮できませんでした。68%以上を目指して練習してきたので悔しかったです。また、フリースタイルに進める順位は8位までなのですが、現在9位です。何よりも頑張ってくれた愛馬に申し訳ない気持ちでいっぱいです」(吉越)

Soshi Yoshigoeriding Vior
© FEI/Leanjo de Koster
Sho Inaba (JPN) riding Dallas
© FEI/Leanjo de Koster
Toshifumi Jo (JPN) riding Elmero
© FEI/Leanjo de Koster

続いてグレードIに登場したのは個人競技で70.750%で8位入賞を果たした大川&Joker。期待が集まるなか順調に演技。しかし不運にも途中で馬の状態が急に変わり、バランスを崩して落馬失権となってしまった。なお、大川はただちに医療チームの診療を受け、病院でさらに検査を行ったが幸い大事に至らず、帰宅することができた。また、馬のJokerも怪我はなく無事だった。

団体戦は3つのスコアの合計で競う。4人馬であれば一番低いスコアをカットするのだが、大川の失権により残る城のスコアを含め、すべてのスコアが団体得点に採用されることになった。

2日目:メダル確定。金アメリカ。銀はオランダとの接戦を制したドイツ

22日はグレードIVとVが行われ、その結果団体戦のメダルが決定した。
グレード I、II、IIIを終えた時点では、アメリカが3人馬、ドイツが1人馬、オランダが3人馬の演技を終えている。この3か国は4人馬が出場しているので、最後までメダルの行方はわからない。

アメリカ(3人馬):Fiona Howard(II) Marie Vonderheyden(I) Rebecca Hart(III)
ドイツ(1人馬):Heidemarie Dresig(II)
オランダ(3人馬):Annemarike Nobel (I)Tessa Baaijens Van De Vrie(III) Rixt Van Der Holst (III)

まずは最初にグレードVの人馬が演技。
3番手に登場したドイツのRegine Mispelkamp&Highlander Delight’sが75.740%を記録。そして21人馬中最後から2番目に登場したオランダのBritney de Jong&Caramba N.O.P.は74.610%を記録し、わずかにMispelkampのスコアに届かなかった。

グレードI~IIIを終えた時点で、アメリカは236.135%で独走。ドイツが224.454%で2位、オランダが223.362%で3位。両国の差は1.092ポイントとなり、ドイツが銀メダル争いでわずかにリード。ここまででオランダはすべての人馬が演技を終了しており、残るグレードIVのドイツ2人馬の結果で銀メダルがどちらか確定する。

ドイツの人馬で、先に11番手で登場したのはHelen Brandt&Vulkan Vegas IB(栗毛/8歳/セン/ウェストファーレン)は73.300%。演技を終えた3人馬のなかで一番低いスコア。そして、期待のかかるドイツの4番手、Anna-Lena Niehues&Vive l’Amour(栗毛/9歳/牝/ウエストファーレン)が登場。安定した演技を見せ、76.410%を記録。この時点でBrandtのスコアはカウントせず、Nieuhuesのより高いスコアが総合得点に加算される。結果、ドイツはライバルのオランダ(227.639%)を逆転し、229.875%で銀メダルを獲得した。

銀メダル:ドイツ
© FEI/Leanjo de Koster

銅メダル:オランダ
© FEI/Leanjo de Koster

アメリカ、パリパラリンピックに続く団体金

今回躍進を見せたアメリカの団体メンバーは以下:

Fiona Howard&Diamond Dunes ― 79.300%
Marie Vonderheyden&Fan Tastico H ― 76.380%
Rebecca Hart&Floratina ― 73.533%(不採用)
Kate Shoemaker&Vianne ― 80.460%

(4人中上位3人の得点を採用するため、Rebecca Hartの73.533%は団体得点に加算されず)

とくにKate Shoemaker&Vianneは80.460%を記録。今大会の最高得点となり、アメリカの金メダルを決定づけた。Vianneはまだ若い10歳、芦毛の牝馬。個人戦でも78.89%の世界記録を更新していた。
「アーヘンに来るにあたって、私にとって何より大切だったのはチームの結果でした」 (Shoemaker)

また、総合成績を見ると、アメリカは236.135%を記録。2024年パリパラリンピックの235.567%を更新し、世界選手権の舞台でも圧倒的なチーム力を示した。
「最高の結果を出すには、チーム全員の力が必要です。パリを超える記録が出るなんて、みんな本当によく頑張りました」(Michel Assouline、監督)

Team USA :Fiona Howard and Diamond Dunes
© FEI/Leanjo de Koster

団体最終順位
1.アメリカ 236.135%
2.ドイツ 229.875%
3.オランダ 227.639%
4.デンマーク 225.867%
5.イギリス 222.379%
6.イタリア 220.808%
7.フランス 219.818%
8.スウェーデン 219.106%
———————————————-
ノルウェー 211.878%
ベルギー 207.883%
オーストリア 206.828%
カナダ 205.622%
シンガポール 204.292%
ブラジル 203.891%
スペイン 203.070%
アイルランド 201.811%
チェコ 199.083%
ポーランド 193.990%
日本 193.933%
香港 186.567%

2028年ロサンゼルスパラリンピックへの切符、上位7か国に

団体戦のもう一つの大きな焦点が、2028年ロサンゼルス・パラリンピックの団体出場権。

開催国アメリカはすでに出場枠を確保しているため、アメリカを除く上位7か国、ドイツ、オランダ、デンマーク、イギリス、イタリア、フランス、スウェーデンがパラリンピックの団体出場権を獲得した。

日本勢、世界の舞台で次につながる経験

前日の競技の結果、日本勢に嬉しい知らせが入った。稲葉将 (グリーンフィールドET)&Dallasが2日間のスコアの合計で7位に入り、最終日のフリースタイルに進んだ。「団体戦でも沢山の応援を頂きありがとうございました。2日目も無事に終えることができ、そして良いスコアで終えることができて良かったです。最後のフリースタイルではこの舞台にたてる喜びを感じつつ思い切っていきたいと思います。」 (稲葉)

日本の最終演者はグレードV、城寿文&Elmero(鹿毛/17歳/牡/KWPN)。21人馬中19番手に登場し、61.000%を記録した。この競技は上位7人馬がすべて70%越え。強豪の中で練習と演技をした経験をもって、次につなげて一歩ずつ成長を期待したい。

「準備馬場の雰囲気が過去1番手応えがあったので自信を持って演技に挑みましたが、アリーナに入ってからのElmeroの雰囲気にのって行く事が出来ず悔しい結果となってしまいました。対応力の無さを痛感した大会でした。」 (城)

Toshifumi Jo (JPN) riding Elmero
© FEI/Leanjo de Koster

日本は今回、団体で19位という結果になったが、3人馬が個人競技で入賞。そして稲葉が最終日のフリースタイルに進出するという実績を残した。
団体を4人馬で組み、世界選手権の規模の大会に出場できたことは非常に喜ばしい。

また、この団体戦を通し、各国の事情が少しずつ見えてきた。ベテランが若い馬に乗って挑戦。おそらく2年後のオリンピックを見据えてのことだろう。躍進するアメリカはパラ馬術が馬術連盟の傘下にあり、様々な協力体制を組み始めている。新しい選手の発掘やコーチの育成にも力が入る。ドイツ、オランダ、イギリスも徐々に世代交代が進んだり、馬が変わったり、グレードが変わったり、様々な景色が見えてくる。

いよいよ最終日、23日は個人フリースタイル決勝が行われる。団体戦のGrand Prix Bは、フリースタイル進出を決める第2予選も兼ねている。各グレードでA・B の競技得点を合算した上位8人馬が世界選手権最後の個人メダルを争う。

競技結果:
https://www.longinestiming.com/equestrian/2026/fei-world-championships-aachen-aachen/#area37

https://www.uset.org/u-s-para-dressage-team-are-golden-at-2026-fei-world-championships-aachen/

金メダル・アメリカの演技
Kate Shoemaker & Vianne — Grade IV
https://youtu.be/k8SRQMrizj0?si=eaUHW9ZNbIlaw6s9

Marie Vonderheyden & Fan Tastico H — Grade I
https://youtu.be/qEsLUNkLPPU?si=6BXoTLKio1ZSY1Td
YouTube – FEI Para Dressage World Championship Aachen 2026

https://www.facebook.com/aachen2026.official/videos/gold-for-the-usa-in-para-dressage-what-a-finale-in-the-allianz-prize-kate-shoema/1060924983089252/

ダイジェスト: https://www.youtube.com/watch?v=B_0fuPtl2n0
参考:
FEI World Championships 2026 Aachen https://www.aachen2026.com/
国際馬術連盟 https://www.fei.org/
Para Dressageルール https://inside.fei.org/fei/disc/para-dressage/rules
Para Dressage 2026 Aachen World Equestrian Games Press Kit

クリックしてFEI%20World%20Championships%20Aachen%202026%20-%20Press%20Kit%20PARA%20DRESSAGE.pdfにアクセス

(校正・佐々木延江)

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