公開: 2026年10月13日 at 23時38分 — 更新: 2026年10月14日 at 0時18分

【水泳】愛知・名古屋2026アジアパラへ向け代表チームが公開練習——荻原虎太郎、富田宇宙、木下あいらが示す「多様な挑戦と存在感」

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10月18日に開幕する愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会を前に、水泳日本代表が10月12日、東京都北区のナショナルトレーニングセンター・イースト(NTC-E)での合宿を公開した。代表は身体障害27人、知的障害12人の計39人。代表チームは、ふだんから練習会を開いているこのプールで、大会の直前まで調整を続けた。

この日の練習は障害の区分ごとに分けず、5つのグループに身体と知的の選手が一緒に入る形で行われた。チームは14日に名古屋へ移動する。

この日の練習メニューは、ドリルのあと、ターン、ゴールタッチ、25mのスタートダッシュと短い距離のスピード練習が続いた=10月12日、NTC-E

拠点となる中部国際空港(セントレア)近くのホテルから会場の名古屋市総合体育館(レインボープール)までは、バスで片道約1時間かかる。予選と決勝で1日2往復になる。水泳日本代表の上垣匠総監督によると、チームはジャパンパラや横浜インクルーシブ水泳競技大会などで、同じくらいの移動とウォーミングアップの時間合わせを試してきた。予選後は一度ホテルに戻って休む。

荻原虎太郎――環境を変えた1年、キャプテンとして

左から、木村敬一(東京ガス)、富田宇宙(EY Japan)、田中映伍(東洋大学)、荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和)、福田果音(KSGときわ曽根) 

背泳ぎを専門とする荻原は、この1年で練習拠点と生活の環境を移した。安心できる環境を離れたことを、会社やコーチを巻き込んだ「大ばくち」だったと振り返る。「結果を出さなければいけないプレッシャーはありましたが、やれるトレーニングや選択肢が増え、今となっては本当に良い判断だったと感じています」

キャプテンとして自国開催のアジアパラに臨む荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損害保険)。左腕にまひがあり、S8クラスで泳ぐ=10月12日、NTC-E

技術面では、バサロキックの直後にバタ足を入れる泳ぎを身につけた。足先が跳ね上がる抵抗を抑え、後半に体力を残せるようになったという。9月のジャパンパラでは、100m背泳ぎで日本記録を2度更新した。
チームでは、ベテランと若手をつなぐ「パイプ役」「中間管理職」を自任する。自身は個人種目での金メダルを目標に掲げた。上垣総監督によると、荻原はチームミーティングで「自分が自己ベストを必ず出すからついてきてほしい」と宣言し、その言葉どおりの結果でチームを勢いづけたという。

富田宇宙――自国開催を、伝える力に

報道陣の多さに、自国開催への関心の高さを感じたと話す富田宇宙(S11・EY Japan)=10月12日、NTC-E

全盲のS11クラスで泳ぐ富田は、プールサイドに集まった多くの報道陣を前に、自国開催への関心の高さを歓迎した。

自国開催の東京パラリンピックという機会をきっかけに歩んできた富田は、こう話す。「メディアの皆さんが来てくださり、多くの人に障害のある人のスポーツの魅力や可能性を直接伝えられるチャンスがあること自体が、日々のモチベーションであり大きなエネルギーになっています」

記者の前で話す、富田宇宙(EY Japan)

企業で働く立場からは、パラスポーツは国の補助に頼る構造から抜け出し、Bリーグのように経済的に自立していく変化が必要だとも語った。自国開催は、ふだんパラスポーツを見ない人に届く機会でもあるという。

木下あいら――後半の「まだ行ける」が戻ってきた

木下あいら(S14・個人/大阪府)=10月12日、NTC-E

知的障害のS14クラスで泳ぐ木下は、療養を経て競技に復帰した。9月のジャパンパラでは100m自由形でアジア記録を更新している。

「復帰した当初は、強みだった200mの後半でスタミナが持たないことが課題でした。でも、しっかり練習を積むことができて、最初の頃よりは『まだ行ける』という手応えがあります」

アジアパラのために初めて施したジェルネイルを見せる木下あいら(S14・個人/大阪府)=10月12日、NTC-E

取材では、この大会のために初めて施したジェルネイルを笑顔で見せた。
「金メダルを目指して、大好きなミセス(Mrs. GREEN APPLE)のカラーやマークを入れてもらいました」

今大会は個人5種目に出場し、すべてで自己ベストと金メダルを目指す。

写真で見る代表――地元・愛知から最年少まで

地元開催に「格好悪いところは見せられない」と話す岡島貫太(S9・セントラル(コンコルドグループ))。マンツーマンの指導で泳ぎを変え、50m自由形での自己ベスト更新を狙う
腰のけがのケアをしながら調整を続ける井戸夢翔(S10・日本福祉大学)。腕のピッチを上げる泳ぎに取り組み、100m背泳ぎでメダルを狙う
世界記録を持つ100m平泳ぎに向け、ウエートトレーニングで体をつくってきた山口尚秀(SB14・四国ガス)
バタフライで、肘を伸ばして幅広く入水する腕の動きを確かめる木村敬一(S11・東京ガス)。タッパーとの信頼関係でレースに臨む
代表最年少、中学2年の山田龍芽(S6・宮前ドルフィン)。体幹を使って脚を水面に近づける泳ぎで、400m自由形の自己ベスト5分34秒90の更新に挑む。鈴木孝幸らベテランの姿に学びたいという
同じく14歳の都甲万結(S9・大分パラ水連)。50m自由形で日本記録を狙い、クロスカントリースキーとの二刀流にも取り組む

水泳は19日から23日まで、名古屋市総合体育館(レインボープール)で行われる。

(校正・久下真以子)

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