公開: 2026年10月21日 at 15時20分 — 更新: 2026年10月21日 at 21時54分

【水泳】Day2 南井瑛翔、個人メドレーで大会新も背泳ぎはカザフスタンの新鋭に3秒差――鈴木孝幸・木下あいらは2冠、日本勢は14個のメダル

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アジアパラ水泳2日目の10月20日、日本勢は金4・銀7・銅3の計14個のメダルを獲得した。南井瑛翔は個人メドレーを大会新で制したが、背泳ぎでアジア記録を塗り替えたカザフスタンのライバルに敗れた。鈴木孝幸と木下あいらは2冠。岡島貫太は自己ベストで4位、14歳の都甲万結もメイン種目を泳いだ。

男子100m背泳ぎS10決勝を泳ぎおえ、1分01秒98のアジア新記録で優勝したKENZHEBEK Dias(カザフスタン、左)が腕を突き上げる隣で、タイムを見上げる南井瑛翔。3秒15差の銀メダルだった。 写真・秋冨哲生

男子200m個人メドレーSM10の南井瑛翔(トヨタ自動車)は、杭州で自らが出した大会記録を1秒16更新する2分18秒11で金メダルを獲得した。だが、レースの前半はKENZHEBEK Dias(カザフスタン)との競り合いだった。背泳ぎの区間ではKENZHEBEKが南井を約1秒上回り、100mの通過は0秒01差。南井は平泳ぎと自由形で引き離し、3秒50差で逃げ切った。

「しっかりアジア記録保持者として勝ち切れたことは、すごく嬉しく思います」

その約2時間後の100m背泳ぎS10。この種目のアジア記録は、今年5月にKENZHEBEKが1分03秒73まで引き上げていた。名古屋でKENZHEBEKは前半から飛び出し、50mを30秒11で折り返すと、1分01秒98でさらに1秒75更新。南井は従来の大会記録を上回る1分05秒13をマークしたが、3秒15差の銀メダルだった。

「とんでもないタイムで泳がれた。パラリンピックでもメダルが取れるタイムなので。2年後のロスでは必ず来る相手だと思います」

同種目では井戸夢翔(日本福祉大学)が自己ベストの1分07秒64で銅メダル。地元・愛知のプールで自己ベストを出した井戸は「上肢障害でも勝てるんだというところを証明していけたら」と話した。21日には、南井がアジア記録と大会記録を持つ100mバタフライS10の決勝で、再びKENZHEBEKと同じレースに臨む。

鈴木孝幸、木下あいらが2冠――日本勢は14個のメダル

男子50m平泳ぎSB3の鈴木孝幸(GOLDWIN)は49秒72で優勝し、初日の50m自由形S4に続く2冠を達成した。飛び込みで先行し、水中スタートの韓国選手の追い上げを0秒41差でしのいだ。練習が十分に積めない中での「ぶっつけ本番」だった。

「50秒を切れたので良かったですし、無事に金メダルを取れたので嬉しく思います。相手を意識しすぎると自分が崩れるので、自分の泳ぎに集中してやりたい泳ぎをやろうと思っていました」

2日間のオフを挟んで、最終日の100m自由形に臨む。「いいところを見せようとするとまた力むので、ほどほどにしたい」と笑った。

女子100m背泳ぎS14は木下あいら(個人・大阪府)が1分09秒21で制し、初日の200m自由形に続く2つ目の金メダル。9月に自身が出した日本記録を0秒11上回った。杭州大会でCHAN Yui Lam(香港)に0秒17差で敗れ、自己ベストでも相手が上回っていた種目だ。ライバルが強い種目で勝つことを今大会の目標の一つに掲げ、それを果たした。

女子100m背泳ぎS14。レースを終え、金メダルの木下あいら(右)と銀メダルの佐藤璃來が抱き合う。日本勢のワンツーフィニッシュだった。 写真・秋冨哲生

「際どい戦いになるのが分かっていたので、金メダルが取れて素直に嬉しいです。前半は周りが来ても焦らないイメージで泳いで、後半は全力で回す感じでいきました。復帰してから負けたくないの一心でやってきたので、それが結果につながったんじゃないかなと思います」

同種目では15歳の佐藤璃來(個人・東京都)が1分10秒24で銀メダルを獲得し、日本勢がワンツーを飾った。

このほか、男子100m平泳ぎSB12-13の齋藤元希(スタイル・エッジ)が金、男子100m背泳ぎS12でも銀。ジャカルタ大会では予選落ちだった齋藤は「18、19位で圧倒的な予選落ちだったので、そこから金メダルを取れるなんて予想していなかった。初めての金メダルで、親も来ているので良い経験をさせてあげられた」と話した。

銀は男子400m自由形S11の富田宇宙(EY Japan)、女子200m個人メドレーSM10と100m背泳ぎS10でともに自己ベストの松永琴寧(立教大学)、女子100m平泳ぎSB11-13の辻内彩野(三菱商事、1分25秒69の大会記録)。銅は男子50mバタフライS5の田中映伍(東洋大学、32秒64の日本新記録)、男子200m個人メドレーSM8の荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損害保険)。日本勢はこの日、金4・銀7・銅3の計14個のメダルを獲得した。

自己ベストでも届かなかった岡島、14歳の都甲万結は初のアジアパラ

男子50m自由形S9決勝、入場時にスタンドへ向けてポーズをとる岡島貫太。地元・愛知での本命種目は、自己ベストの26秒58で4位だった。 写真・秋冨哲生

男子50m自由形S9の岡島貫太(セントラル)は、約3年ぶりの自己ベストとなる26秒58をマークしながら4位。地元・愛知での本命種目で、メダルにあと一歩届かなかった。

「2、3年ぶりぐらいのベストなので、嬉しい反面悔しいというか、安心もあり複雑です。目指していたメダルには届かなかったので、しっかり鍛え直して出直したい。明日以降のレースでしっかり挽回できるように頑張ります」

日本チーム最年少、14歳の都甲万結(大分パラ水連・大分市立南大分中学校)は、女子50m自由形S9で31秒90の7位。自国開催のアジアパラで、メイン種目の決勝を泳いだ。課題に挙げたのは、飛び込みのあとの浮き上がりだ。

「飛び込んでからの上がりがうまくいかなかったので、そこでタイムが落ちちゃったのかなと」。海外の選手との友達は「できました。いっぱい」と笑顔を見せた。

パレスチナでただ一人のパラ水泳選手、ABU GHOSHI Hanin

女子100m自由形S6のABU GHOSHI Hanin(パレスチナ)。自由形を背泳ぎで泳ぎゴールを目指した。自由形は泳法が自由なため、背泳ぎで泳ぐこともできる。 写真・秋冨哲生

ABU GHOSHI Hanin(パレスチナ・S6)は、同国でただ一人のパラ水泳選手だ。36歳。刑法の修士課程を修了した弁護士で、本格的に泳ぎ始めたのは1年前。50mプールのないパレスチナで、週5日、25mプールの練習を重ねてきた。日本体育大学が紛争や災害で練習環境を失ったパラアスリートを支えるSFT-NSSU HOPEプロジェクトの支援を受け、5月のワールドシリーズ富士・静岡で参加標準記録を突破。エルサレムからヨルダン、カタールを経由して名古屋に入り、女子50m自由形S6で決勝に進んだ。

「一番大切なのは、プールサイドでパレスチナの旗を見られたことです。36歳からでも始められた。パラリンピックに遅すぎるということはありません」

将来の夢は、パレスチナの国会議員になることだという。6月に語っていた「名古屋でパレスチナの旗を見たい」という願いが、かなった。

<参考>
・2日目(10月20日)のリザルトはこちら
・公式ページはこちら
・パラフォト記事「名古屋でパレスチナの旗を見たい」―SFT-NSSU HOPEプロジェクトの挑戦

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