
男子200m個人メドレーSM10の南井瑛翔(トヨタ自動車)は、杭州で自らが出した大会記録を1秒16更新する2分18秒11で金メダルを獲得した。だが、レースの前半はKENZHEBEK Dias(カザフスタン)との競り合いだった。背泳ぎの区間ではKENZHEBEKが南井を約1秒上回り、100mの通過は0秒01差。南井は平泳ぎと自由形で引き離し、3秒50差で逃げ切った。
「しっかりアジア記録保持者として勝ち切れたことは、すごく嬉しく思います」
その約2時間後の100m背泳ぎS10。この種目のアジア記録は、今年5月にKENZHEBEKが1分03秒73まで引き上げていた。名古屋でKENZHEBEKは前半から飛び出し、50mを30秒11で折り返すと、1分01秒98でさらに1秒75更新。南井は従来の大会記録を上回る1分05秒13をマークしたが、3秒15差の銀メダルだった。
「とんでもないタイムで泳がれた。パラリンピックでもメダルが取れるタイムなので。2年後のロスでは必ず来る相手だと思います」
同種目では井戸夢翔(日本福祉大学)が自己ベストの1分07秒64で銅メダル。地元・愛知のプールで自己ベストを出した井戸は「上肢障害でも勝てるんだというところを証明していけたら」と話した。21日には、南井がアジア記録と大会記録を持つ100mバタフライS10の決勝で、再びKENZHEBEKと同じレースに臨む。
鈴木孝幸、木下あいらが2冠――日本勢は14個のメダル
男子50m平泳ぎSB3の鈴木孝幸(GOLDWIN)は49秒72で優勝し、初日の50m自由形S4に続く2冠を達成した。飛び込みで先行し、水中スタートの韓国選手の追い上げを0秒41差でしのいだ。練習が十分に積めない中での「ぶっつけ本番」だった。
「50秒を切れたので良かったですし、無事に金メダルを取れたので嬉しく思います。相手を意識しすぎると自分が崩れるので、自分の泳ぎに集中してやりたい泳ぎをやろうと思っていました」
2日間のオフを挟んで、最終日の100m自由形に臨む。「いいところを見せようとするとまた力むので、ほどほどにしたい」と笑った。
女子100m背泳ぎS14は木下あいら(個人・大阪府)が1分09秒21で制し、初日の200m自由形に続く2つ目の金メダル。9月に自身が出した日本記録を0秒11上回った。杭州大会でCHAN Yui Lam(香港)に0秒17差で敗れ、自己ベストでも相手が上回っていた種目だ。ライバルが強い種目で勝つことを今大会の目標の一つに掲げ、それを果たした。

「際どい戦いになるのが分かっていたので、金メダルが取れて素直に嬉しいです。前半は周りが来ても焦らないイメージで泳いで、後半は全力で回す感じでいきました。復帰してから負けたくないの一心でやってきたので、それが結果につながったんじゃないかなと思います」
同種目では15歳の佐藤璃來(個人・東京都)が1分10秒24で銀メダルを獲得し、日本勢がワンツーを飾った。
このほか、男子100m平泳ぎSB12-13の齋藤元希(スタイル・エッジ)が金、男子100m背泳ぎS12でも銀。ジャカルタ大会では予選落ちだった齋藤は「18、19位で圧倒的な予選落ちだったので、そこから金メダルを取れるなんて予想していなかった。初めての金メダルで、親も来ているので良い経験をさせてあげられた」と話した。
銀は男子400m自由形S11の富田宇宙(EY Japan)、女子200m個人メドレーSM10と100m背泳ぎS10でともに自己ベストの松永琴寧(立教大学)、女子100m平泳ぎSB11-13の辻内彩野(三菱商事、1分25秒69の大会記録)。銅は男子50mバタフライS5の田中映伍(東洋大学、32秒64の日本新記録)、男子200m個人メドレーSM8の荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損害保険)。日本勢はこの日、金4・銀7・銅3の計14個のメダルを獲得した。
自己ベストでも届かなかった岡島、14歳の都甲万結は初のアジアパラ

男子50m自由形S9の岡島貫太(セントラル)は、約3年ぶりの自己ベストとなる26秒58をマークしながら4位。地元・愛知での本命種目で、メダルにあと一歩届かなかった。
「2、3年ぶりぐらいのベストなので、嬉しい反面悔しいというか、安心もあり複雑です。目指していたメダルには届かなかったので、しっかり鍛え直して出直したい。明日以降のレースでしっかり挽回できるように頑張ります」
日本チーム最年少、14歳の都甲万結(大分パラ水連・大分市立南大分中学校)は、女子50m自由形S9で31秒90の7位。自国開催のアジアパラで、メイン種目の決勝を泳いだ。課題に挙げたのは、飛び込みのあとの浮き上がりだ。
「飛び込んでからの上がりがうまくいかなかったので、そこでタイムが落ちちゃったのかなと」。海外の選手との友達は「できました。いっぱい」と笑顔を見せた。
パレスチナでただ一人のパラ水泳選手、ABU GHOSHI Hanin

ABU GHOSHI Hanin(パレスチナ・S6)は、同国でただ一人のパラ水泳選手だ。36歳。刑法の修士課程を修了した弁護士で、本格的に泳ぎ始めたのは1年前。50mプールのないパレスチナで、週5日、25mプールの練習を重ねてきた。日本体育大学が紛争や災害で練習環境を失ったパラアスリートを支えるSFT-NSSU HOPEプロジェクトの支援を受け、5月のワールドシリーズ富士・静岡で参加標準記録を突破。エルサレムからヨルダン、カタールを経由して名古屋に入り、女子50m自由形S6で決勝に進んだ。
「一番大切なのは、プールサイドでパレスチナの旗を見られたことです。36歳からでも始められた。パラリンピックに遅すぎるということはありません」
将来の夢は、パレスチナの国会議員になることだという。6月に語っていた「名古屋でパレスチナの旗を見たい」という願いが、かなった。
<参考>
・2日目(10月20日)のリザルトはこちら
・公式ページはこちら
・パラフォト記事「名古屋でパレスチナの旗を見たい」―SFT-NSSU HOPEプロジェクトの挑戦
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予選;https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1586825180150685&type=3
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