公開: 2026年10月22日 at 7時41分 — 更新: 2026年10月22日 at 16時03分

【水泳】Day3 木下がアジア新で「3冠」日本勢は3日目に19個のメダル

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愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の水泳は10月21日、名古屋市総合体育館(レインボープール)で3日目の決勝が行われ、日本勢は金5・銀9・銅5の計19個、通算42個のメダルを獲得した。

女子100m平泳ぎSB14

女子100m平泳ぎSB14決勝、1分16秒42のアジア新・大会新で優勝し、拳を突き上げる木下あいら(左)。右は銀メダルの芹澤美希香=10月21日 撮影・秋冨哲生

女子100m平泳ぎSB14では木下が1分16秒42で前回(杭州)での芹澤(宮前ドルフィン)のアジア新記録で今大会3冠目を達成し、芹澤、入谷友子とともに表彰台を日本勢が独占した。

男子100mバタフライS10では南井瑛翔(トヨタ自動車)と久保大樹(クボタロジスティクス)が、杭州大会に続く2大会連続の金銀ワンツーフィニッシュを果たした。

一方、わずか0秒03差で金メダルを逃した木村敬一、自己ベストを更新しながら4位に終わった14歳の山田龍芽など、それぞれの泳ぎが大会3日目を彩った。

「必ずワンツーを」南井と久保、2大会続けて実現

男子100mバタフライS10

男子100mバタフライS10決勝で力泳する久保。1分03秒02で銀メダルを獲得し、杭州大会に続いて南井とのワン・ツーを果たした=10月21日、レインボープール 写真・秋冨哲生

男子100mバタフライS10は、予選なしの一発決勝。南井が1分00秒10で優勝し、久保が1分03秒02で銀メダルを獲得した。3位はKENZHEBEK Dias(カザフスタン/1分05秒50)。

杭州大会でも同じ種目で南井が金、久保が銀を獲得している。

「前回大会もワンツーでしたし、今大会も久保選手とお話ししていて、必ずワンツー取りましょうと言っていた。それが実現できてすごく嬉しい」

南井は喜びを語る一方、自己ベストの59秒30には届かず、1分を切れなかったことを悔やんだ。

「少しタイムが悪かったので悔しいんですけど、自国開催で日本で金を取れたということはすごく価値のあるもの」

そして、「アジアが終点ではないので、世界で戦えるタイムを常に狙っていきたい」と先を見据えた。

38歳の久保は、レース前から胸がいっぱいだった。

「いろんな人が応援に来てくれて、危なく入場で泣くところでした」

前日の200m個人メドレーでは2分29秒68をマークし、杭州大会で出した自己ベストを3年ぶりに更新。この日の100mバタフライは自己ベストに0秒43届かなかったものの、「素直に嬉しいです」と笑顔を見せた。

久保は表彰式後、競技人生の節目についても語った。

「プレイヤーとしてはこれで終わりかなとは考えています」

ここまでの競技生活を振り返りながらも、「プロレスラーとかよく引退撤回したりするんで、そんな感じで撤回するかもしれないですけど」と笑いを誘った。

男子100mバタフライS10

男子100mバタフライS10で銀メダルを獲得し、レース後のミックスゾーンで取材に応じる久保。表彰式後には、翌日の400m自由形で選手として区切りをつける考えを語った=10月21日 写真・そうとめよしえ

22日の男子400m自由形S10には2人がそろって出場する。南井は「2回連続のワンツーを狙っていきたい」と話し、久保も最後まで泳ぎ切る決意を示した。

木下、得意ではない平泳ぎでアジア新 表彰台に日の丸3本

女子100m平泳ぎSB14では、木下が1分16秒42のアジア新・大会新記録で優勝した。

杭州大会の覇者、芹澤(宮前ドルフィン)が1分19秒05で銀、18歳の入谷(香川県手をつなぐ育成会水泳部)が1分20秒54で銅。表彰式では3本の日の丸が掲げられた。

女子100m平泳ぎSB14

女子100m平泳ぎSB14の表彰式。大型ビジョンに木下が映る中、芹澤、入谷とともに日本勢が表彰台を独占し、3本の日の丸が掲げられた=10月21日 撮影・秋冨哲生

木下は200m自由形、100m背泳ぎに続く3冠目。予選の1分18秒30から決勝では1秒88も記録を縮めた。

それでも平泳ぎは「一番得意ではない種目」だという。専門とする200m個人メドレーは23日に控えている。

「1種目ごとのベストが出るっていうことは、200の個人メドレーにもつながってくる」

種目ごとの記録更新を、得意とする個人メドレーにつなげたい考えだ。

日本勢による表彰台独占については、「日本開催なので、3つ日の丸を掲げられたことは良かったんじゃないかな」と話した。

一方、入谷は10月に行われた母校の壮行会で「自己ベスト更新と決勝進出」を目標に掲げていた。予選、決勝と記録を伸ばし、自らの目標を上回る銅メダルにたどり着いた。

川渕は連覇、山口と西田も大会新で金

男子400m自由形S9では、川渕大耀が4分18秒68の大会新記録で杭州大会に続く連覇を果たした。2位の中国・謝志力に8秒60の大差をつけた。

19日の200m個人メドレーでは敗れた相手だった。今年は「頑張ってきたのにタイムが出ない」時期が続いたという。

苦しい時期に何度も話を聞いてくれた担当コーチの存在が支えとなった。「コーチのためにも、という気持ちが少し芽生えた」と振り返る。

表彰台で聞いた君が代には「パラリンピックでも流したい」と、2028年ロサンゼルス大会への思いを重ねた。

男子100m平泳ぎSB14では、山口尚秀が1分02秒53の大会新記録で優勝。2位のタイ選手に4秒86の差をつけた。

男子100m平泳ぎSB14

男子100m平泳ぎSB14決勝、1分02秒53の大会新記録で優勝した山口。2位のタイ選手に4秒86の差をつけた=10月21日 撮影・秋冨哲生

8月に出した自身の世界記録1分02秒38まで、あと0秒15。「前半のターンのところでタッチのタイミングがちょっと間違った」と、勝利の中にも課題を見つけた。

それでも、手にした金メダルについては「本当に重厚感があって、とても頑張ってきた甲斐があるメダル」と喜んだ。

女子50mバタフライS7では、西田杏が37秒04の大会新記録で優勝した。

女子50mバタフライS7

女子50mバタフライS7決勝、37秒04の大会新記録で優勝し、拳を握る西田=10月21日 撮影・秋冨哲生

西田にとっては仁川、杭州に続く3度目のアジアパラ。

「仁川の時は最高順位が4位。前回は優勝できたけど、タイムが納得できるものではなかった。今回は優勝とタイムをどっちもクリアできた」

37秒04は、パラリンピックや世界選手権を含む主要国際大会での自身の最速記録となった。

0秒03差の銀、最後の50mで逆転した田中

男子200m自由形S5

男子200m自由形S5決勝、最後の50mで逆転し、自己ベストを更新する2分48秒07で銀メダルを獲得した田中映伍=10月21日 撮影・秋冨哲生

男子100m平泳ぎSB11では、今大会初レースの木村が、中国の楊博尊とわずか0秒03差の接戦を演じた。

楊が33秒01で50mを折り返したのに対し、木村は33秒84。後半で差を詰めたものの、最後は1分12秒72の銀メダルとなった。

男子100m平泳ぎSB11

男子100m平泳ぎSB11決勝、中国の楊(右)とわずか0秒03差の接戦を演じた木村(左)。1分12秒72で銀メダル=10月21日 撮影・秋冨哲生

2人はともに北京2008パラリンピックが初出場で、「もう20年近くの付き合い」になる。隣のレーンでは互いの手が当たるほどの接戦だったという。

「33秒台で回って後半テンポを上げていくというところがしっかりできたので、僕がやろうとしたことはやれた」

「格上の選手でしたし、いい勝負ができてよかった。僅差だったので勝ちたかった」

木村はこれでアジアパラ5大会連続のメダルとなった。

男子200m自由形S5では、田中が最後の50mで逆転し、銀メダルを獲得した。

150m地点では3番手。2位の中国・王李超には1秒68の差をつけられていた。しかし、最後の50mを41秒82で泳ぎ、0秒29差でかわした。

「最後5m呼吸をせずに行って、追いつけた」

2分48秒07は自己ベストを0秒48更新する記録。19日から3日続けてのメダル獲得となった。

「2028年にはちゃんと50mでメダルを」

次のパラリンピックを見据えた田中の挑戦は続く。

「昨日より嬉しい銀」辻内と笠本、初めて並んだ表彰台

女子100m背泳ぎS13では、辻内彩野(三菱商事)が1分15秒35で銀、笠本明里(大塚商会)が1分15秒57で銅メダルを獲得した。

50m地点では笠本が先行したが、後半に辻内が逆転。優勝はウズベキスタンのODILOVA Muslima(1分12秒99)だった。石浦智美も決勝に出場し、5位に入った。

「隣であかりさんがいい感じで泳いでくれてたのが、すごく今回のタイムにもつながりました」

辻内は笠本とのレースを振り返った。

8年前のジャカルタ大会では、表彰台に立ったのはウズベキスタンの選手と自分だけだったという。

「初めてあかりさんと一緒に表彰台に乗れて、自分のことのように嬉しい。昨日の銀より多分嬉しい銀メダルです」

視力0.005の辻内は、壁との距離をつかみにくくなったことから、最近はタッピングを取り入れている。

一方、40歳の笠本にとっては、アジアパラで初めてのメダルとなったという。

女子100m背泳ぎS13

女子100m背泳ぎS13決勝、両手を振って入場する笠本。1分15秒57で銅メダルを獲得し、アジアパラで初めてのメダルとなった=10月21日 撮影・秋冨哲生

「2010年からずっと出てきて、人数が揃わなくて、すごい苦しいアジアパラっていうのが多かった」

リオ2016パラリンピックの後も、「やめるやめると言いながら、結局続けてきた」と振り返る。

半年前、リオ大会の頃に指導を受けたコーチのもとに戻り、マンツーマンで練習を重ねてきた。専門とする背泳ぎでは、最近のレースから約2秒の記録短縮を実現した。

「ロスに向けて、もう最後だと思って、あと2年頑張りたい」

長く競技を続けてきた2人にとって、同じ表彰台に立つことには、メダルの色を超えた喜びがあった。

荻原は3日連続メダル、水上は同じ夜に銅から銀へ

この日も、日本勢は各種目でメダルを積み重ねた。

男子100m自由形S8

男子100m自由形S8決勝で力泳する荻原虎太郎(あいおいニッセイ同和損害保険)。1分00秒24で銀メダルを獲得し、3日連続のメダルとなった。10月21日 撮影・秋冨哲生

荻原は1分00秒24で銀メダルを獲得。3位の中国選手に0秒36差で競り勝ち、初日から3日連続のメダルとなった。予選では50mを30秒53で通過していたが、決勝では28秒98まで改善。「59秒は欲しかった」と、さらなる記録向上を課題に挙げた。

女子100mバタフライS10

女子100mバタフライS10決勝、1分16秒52で銀メダルを獲得した川辺多恵.
本命種目で1分16秒52を記録し、杭州大会の銅から銀へと順位を上げた。3位との差はわずか0秒13。「自信を持ってレースすることができて、ひと安心しています」と語った。 撮影・秋冨哲生

水上(女子100m自由形S8・銅、50m自由形S8・銀)

100m自由形で1分18秒53の銅メダルを獲得した後、50m自由形では35秒49で銀メダルを手にした。

「50mは100mで取った色よりもいい色を絶対取るって決めて」

その言葉どおり、同じ夜にメダルの色を上げた。50mの3位との差は0秒02だった。

女子50m自由形S8

女子50m自由形S8決勝、35秒49で銀メダルを獲得した水上真衣。100m自由形の銅に続き、同じ夜にメダルの色を上げた=10月21日 撮影・秋冨哲生

前田(女子400m自由形S9・銅)

5分21秒04で自己ベストを0秒11更新し、200m個人メドレーに続く銅メダル。「1番は無理でも順位を少しでも上げる」という目標を結果につなげた。

富田(男子200m個人メドレーSM11・銅)

2分32秒82でシーズンベストを更新し、銅メダルを獲得。「悔しさはありますけど悔いはないです」と、レースを振り返った。

男子200m個人メドレーSM11

男子200m個人メドレーSM11決勝、2分32秒82でシーズンベストを更新し、銅メダルを獲得した富田宇宙=10月21日 撮影・秋冨哲生

混合4×100mメドレーリレー34ポイント・銀

荻原、福田果音、岡島貫太、前田恵麻の4人が4分42秒70で銀メダルを獲得。優勝は中国(4分31秒43)だった。

混合4×100mメドレーリレー34ポイント

混合4×100mメドレーリレー34ポイント決勝、日の丸を掲げて日本チーム(荻原、福田、岡島、前田)に声援を送る応援席=10月21日 撮影・秋冨哲生
混合4×100mメドレーリレー34ポイント決勝、アンカーの前田(手前)を迎える福田(左)と荻原(右)。4人は4分42秒70で銀メダルを獲得した=10月21日 撮影・秋冨哲生
混合4×100mメドレーリレー34ポイント決勝で銀メダルを獲得し、手を上げる荻原(右)。左から岡島、福田=10月21日 撮影・秋冨哲生

自己ベストでも届かない6秒 14歳・山田が知った世界との差

男子100m平泳ぎSB5では、14歳の山田(宮前ドルフィン)が4位となった。

1分53秒82は自己ベストを0秒01更新する記録。しかし、目標にしていたメダルには6秒04届かなかった。

男子100m平泳ぎSB5

男子100m平泳ぎSB5決勝を終え、表情をゆがめる14歳の山田。1分53秒82の自己ベストで4位、メダルには6秒04届かなかった=10月21日 撮影・秋冨哲生

「タイムは一応自己ベストでしたけど、3位の人と6秒差ぐらいついてしまったので、ちょっと辛かったです」

課題として挙げたのは後半の泳ぎだった。

「後半になってくると選手も速くなってくるので、ちょっと自分が遅くなってきちゃった」

自己記録を更新することと、国際大会でメダルを獲得すること。その間にある距離を、山田は14歳で経験した。

2大会連続のワンツーを実現した南井と久保、競技人生の節目を見つめるベテラン、そして表彰台を目指す若い選手たち。

それぞれが異なる目標を持って臨んだ大会3日目。22日は南井と久保の男子400m自由形S10、荻原の男子100m背泳ぎS8、木村の男子50m自由形S11などが行われる。

<参考>
・3日目(10月21日)のリザルトはこちら
・公式ページはこちら

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予選;https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1587917683374768&type=3
決勝;https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1588406856659184&type=3

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