「決して諦めない」その姿は名古屋市稲永スポーツセンターにあった。絶対的自信とプライドを持ったエペ決勝で韓国のCHO Eunhye(チョ・ウンヒョ)に惜敗し、止まらない涙を見せたJANA Saysunee (サイスニー・ジャナ)だったが10月23日、サーブルの個人戦が行われる会場に笑顔で現れた。何かが吹っ切れたような表情にも見えた。
実は18試合無敗を誇っていたエペで金メダルを逃した後、彼女はタイのメディアのインタビューで「国民の皆様、申し訳ありません」と謝罪している。彼女は国民的アスリートであり、国民の大きな期待をその背に負っているのだ。そのプレッシャーはどれほどのものか想像もつかない。
しかし、彼女はそのプレッシャーを自分の力に変えることができるアスリートである。入場した時の笑顔は、最後までやり遂げなければならない、私はできるんだという強い思いの現れに思えた。


相手は優勝候補のひとり中国のAO Lanzhu (アオ・ランジュ)。サーブルを得意とする選手で、同じ中国のZHOU Jingjing (ゾウ・ジンジン)を15対5で下し勝ち上がってきた。2023年の杭州大会でもサーブルで銅メダルを獲得している。選手層の厚い中国でもトップ選手の一人だ。しかし、ジャナは開始直前、落ち着いた表情を見せた。
「アンガルド・プレ・アレ」。レフリーによる合図で試合が始まる。ジャナは主導権を一度も譲らず、相手に反撃の隙を与えない圧倒的な強さを見せつけた。結果は15対3、ジャナの圧勝で金メダルを決めた。



最終日の10月24日に行われたのが、ミックスチーム(男女混合団体戦)。2028年のロサンゼルス・パラリンピックの種目として決定していて、アジアパラ大会でも今回初めて採用された新種目。男女4人がチームを組み、男女別、カテゴリー別でそれぞれ対戦する。1人5点先取で次の選手と交代。得点を積み重ねながらリレーをし、先に20点をとったチームが勝ちとなる。

タイはサーブルミックスの準決勝で強豪中国と対戦した。中国は常に優勝候補に挙げられるチームだが、勢いに乗るタイは20対19で勝利した。
続く決勝戦では韓国と対戦。第1ラウンドは女子Bから始まった。ジャナの相手はエペで彼女から金メダルを勝ち取ったチョ・ウンヒョ。だが、相手を圧倒する強さを見せつけたジャナは5対1で勝利。続く男子A、女子Aも連勝し、15対8で最終ラウンドの男子Bにつないだ。
タイのCHAROENTA Chitiphat(チャロエンタ・シティパット)に対するのは韓国のLEE Jinsol(イ・ジンソル)。韓国に猛追されるシーンもあったが、チャロエンタはしっかり自分の役割を果たし、最終的に20対15で勝利を決め、タイは仲間とともに最高のフィナーレを迎えることができた。

エペとフルーレ個人戦で金メダルを逃し、後がなくなったジャナだったが、大会終盤にサーブル個人戦とミックスチームで2つの金メダルを獲得。結果的に合計9つのメダルを得たことになった。敗戦の悔しさを力に変え、自分の感情とうまく向き合うことができる力、そして、諦めない気持ちで戦う姿勢を見せたジャナ。やはり「女王は女王だった」という貫禄を見せつけられた大会だった。







