「I’m POSSIBLE」パラリンピックの魅力を伝える、初の公開授業がスタート!

by
体験学習「シッティングバレーボールをやってみよう!」の授業風景

体験学習「シッティングバレーボールをやってみよう!」の授業風景

4月20日(火)東京都東久留米市立神宝小学校6年1組で、IPC(国際パラリンピック委員会)公認のパラリンピック教材「I’m POSSIBLE(アイム・ポッシブル)日本語版」による初の公開授業が行われ、特別支援学級の子供を含む約40名が、パラリンピックの魅力を知る授業に出席した。

パラリンピック教育は、既存するオリンピック・パラリンピック教育とは異なるパラリンピック独自の教育プログラム。2010年のバンクーバーパラリンピック(カナダ)で始まり、2012年のロンドンパラリンピック(イギリス)で完成した。各開催国がパラリンピックで何を遺すか、という「レガシー」への関心が国際的に高まったことから、2020年の東京大会に向け、世界で活用できる教材として開発されている。日本語版・第1弾の4セットはこのほど完成し、全国約2万5000の私立・公立小学校に4月20日に発送された。

日本語版の授業と特徴

教室での公開授業「パラリンピック・スポーツについて学ぼう!」

教室での公開授業「パラリンピック・スポーツについて学ぼう!」

「ロンドンやリオでのパラリンピック教育との違い、あるいは共通点は?」という質問に対し、同校を訪れたIPC教育委員会のニック・フラー委員長は「ロンドン、リオ大会で上手くいったものを採り入れ、日本の教育制度に沿って構成しています。同じではありません。競技の内容、大会の歴史、どのような運動なのかの背景、学びにつながるさまざまな教訓は各国が独自に作っていくものです」と説明している。

この日の授業は、座学の「パラリンピック・スポーツについて学ぼう!」と、体育館での体験学習「シッティングバレーボールをやってみよう!」。それぞれ45分、2単元が行われた。


<座学>

教室での公開授業。感じたこをとワークシートに書く

教室での公開授業。感じたこをとワークシートに書く

座学では、リオパラリンピックのダイジェスト映像を見ながら、クイズ形式でパラリンピックの四つのキーワード「記録」「工夫」「用具」「サポートする人」に触れていく。例えば、「記録」では車いすマラソン。障害のない人のフルマラソン世界記録と比較すると、時速約30kmの車いすマラソンは約40分早くゴールすることを伝える。走り幅跳びでは、義足のパラリンピック選手がオリンピック記録をしのぐ8m40を持っていることなどに触れた。
「工夫」では、障害を考慮しつつ、スポーツの大切な要素である競争性や公平性を追求したルールの工夫が行われていることを学んでもらった。この中では、視覚障害の柔道は、あらかじめ組んで始まること、車いすバスケットボールのドリブルはボールを持って車椅子を2回までプッシュできる、といったルールに触れている。

<体験学習>

体育館での体験学習「シッティングバレーボール」は、床にお尻をつけた状態でプレーする。子供たちは実際に、ふわふわしたビーチバレーボール状のボールを座ったまま運ぶリレーに加え、グループに分かれて自由にパスをつないだ。座る姿勢ではどんな座り方がやりやすいか、仲間へのパスはどう送れば受けやすいか。そんなことを考える機会にもなった。

体育館での公開授業。シッティングバレーボールをやってみよう!

体育館での公開授業。シッティングバレーボールをやってみよう!

この日の授業を担当した石塚智弘教諭は、ガイドランナー(伴走者)として青梅マラソンの10kmの部に出場した経験があり、授業では自らの体験も語りながら、子供たちにスポーツの楽しさを伝えた。もっとも、今回の教材は、スポーツ経験がなくても魅力ある授業が提供できるよう、お助けツールが豊富に同封されている。石塚さんは教材を使う授業について「とてもやりやすかった。DVDや教師用の指導案もパッケージになっていて、詳細な知識なども書き込まれています。スポーツを行っていない先生でも受け入れやすい。分からない部分や知識のない部分も補える教材になっています」と話していた。

公開授業はフラー委員長のほか、JPC(日本パラリンピック委員会)、日本財団パラリンピックサポートセンターのプロジェクトチームメンバーらが見守るなかで行われた。

授業終了後、フラー氏が子供たちに「2020東京パラリンピックを観戦したいですか?」と尋ねると、子供たちからは「行きたい!」「観たい!」という答えが次々に。フラー氏も「2020東京に向けて大きな勢いがついたのではないかと思う。今日は大成功」と満足したようだった。


また、このプロジェクトのリーダーで1998年長野パラリンピック日本代表・金メダリストのマセソン美季さんは「いろんな角度からパラリンピックのおもしろさを伝えることのできる教材。スポーツに興味のない人にも興味を示してもらい、たくさんの子供たちに身近に感じてもらい、関わってほしい。”かわいそう”、ではなく、”凄い!”と思ってもらいたい」と話していた。

「I’m POSSIBLE」は今後も準備ができ次第リリースされる。2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のホームページからも公開され、一般の人もダウンロードできるようになる。

<参考>
「I’m POSSIBLE」名称について
プロジェクト名「I’m POSSIBLE」は、2014年ソチパラリンピック(ロシア)での閉会式の演出による。「Impossible(=不可能)」の文字に対し、車椅子の選手がロープを昇りアポストロフィを加えたことで「I’m POSSIBLE(=私は、できる)」となった。

参考記事1:ありがとう、ソチ! ありがとう、ロシア!
http://www.paraphoto.org/?p=1502

参考記事2:パラリンピック公式教材「I’m POSSIBLE」発表!
http://www.paraphoto.org/?p=12625

(取材協力:小嶋智、森田和彦/編集協力:高田昌幸)