関連カテゴリ: Tokyo 2020, ジャパンパラ水泳, チームジャパン, 取材者の視点, 横浜, 水泳 — 公開: 2021年5月23日 at 4:04 AM — 更新: 2021年5月29日 at 11:07 AM

新たな内定選手は出ずも…実力派若手が手ごたえをつかむ~WPS公認ジャパンパラ水泳競技大会・DAY2~

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東京パラリンピックの出場枠をかけ、横浜国際プールで開催されている「ジャパンパラ水泳競技大会」は5月22日、大会2日目を迎えた。初のパラリンピック出場を狙う西田杏(三菱商事)は女子50mバタフライS7に出場し、37秒41。派遣基準の36秒54には届かなかったものの、3ヶ月後に迫った東京パラリンピックに向け手ごたえをつかんだ様子だった。

西田杏、女子50mバタフライS7決勝を泳ぐ「西田杏、左腕の筋力アップで道が開けた!」 写真・秋冨哲生

「派遣標準記録まであと0秒47という結果は、50mという短い距離にしては大きなハードルになるが、不可能じゃないと思った。だからこそ悔しいです」
レースを終えた西田は取材陣に対し、悔しさと手ごたえの両方を感じながらも、明るい表情で振り返った。
午前中の予選では、37秒01の日本記録をたたき出していた西田。今年3月の「第37回日本パラ水泳選手権大会」出した日本記録の37秒74から、わずか2ヶ月半で0秒7も縮めていた。

飛躍の要因は、コロナ状況下で取り組んでいた障害のある左腕の筋力アップ。左右バランスの差が少なくなったことが、タイムに好影響を及ぼしているのだ。
東京パラリンピックへの望みはまだ残っている。「決勝で力んでタイムを落としてしまったので、1日2本しっかり泳いでタイムを上げていけるように、体力面の強化をしていきたい」と課題をつかんだようだ。

15歳の日向楓、 「イルカのような泳ぎ」で躍進

メインの50mバタフライ決勝をスタートする日向楓(宮前ドルフィン) 写真・秋冨哲生

15歳の新星、日向楓(宮前ドルフィン)は、2日続けて日本記録をマークした。今日は男子50mバタフライS5の予選で35秒89秒の日本記録。目標としていた35秒台を達成した。決勝では35秒78とさらにタイムを縮めたものの、派遣基準の35秒14には惜しくも届かなかった。
日向は両腕欠損の障害を持ち、ドルフィンキックのみでバタフライを泳ぐスイマーだ。自身の特徴について、「できるだけなめらかな、イルカのような泳ぎを目指している。まだまだ水の抵抗が生じているので、東京パラリンピックに向けて改善していきたい」。また「後半のタイムが落ちやすく持久力トレーニングをしてきたが、しっかり克服して後半に強い選手になりたい」と課題を口にした。

ベテランの貫録。鈴木孝幸、前日に続く記録突破

男子150m個人メドレー決勝を泳ぎ終えた鈴木孝幸(GOLDWIN) 写真・秋冨哲生

昨日の男子200m自由形S4で5大会連続のパラリンピック出場を決めた鈴木孝幸(GOLDWIN)。今日は男子150m個人メドレーSM4に出場し、2日続けて派遣基準を切るレースを見せた。
150m個人メドレーは、障害が重いSM3とSM4ならではの種目で、背泳ぎ→平泳ぎ→自由形と、バタフライをのぞいた3泳法でタイムを競う。
予選では3分51秒93とゆっくり泳いだが、ウォーミングアップだったのだろう。決勝では1分以上縮めて2分38秒76としっかりとベテランの貫録を見せ、派遣標準を突破した。
「国内大会でなかなか2分40秒を切れていなかったので、タイムに関してはひとまず良かったと思う。明日は明日で頑張る」と冷静に振り返った鈴木。3ヶ月後に控えた自国開催のパラリンピックについては、「パラリンピックに出場する、という意味では正直今までと変わらない気持ちで望んでいる。ただ、自国開催の大会は経験したことがないので、雰囲気を味わいたい。コロナ状況下で”泳いでいていいのか”と思った時期もあるが、これが自分の仕事なので、しっかり全うしていく」とコメントした。

知的クラスはせめぎ合い。山口・東海林の一騎打ちの行方は

選手層の厚い知的障害クラスの男子100m自由形S14は、2019年の世界選手権ですでに東京パラリンピック出場を決めている山口尚秀(四国ガス)と東海林大(三菱商事)の2人の一騎打ちとなり、山口が54秒02で1着、東海林が54秒13で2着となった。

男子100m自由形S14決勝、スタート前の山口尚秀(四国ガス) 写真・秋冨哲生

2人とも明日23日には男子100mバタフライS14を控えており、山口は「バタフライでも(派遣標準を)切れると思う」と自信たっぷり。対する東海林は「(今日の)悔しい気持ちを忘れずに平常心で臨みたい」とコメントした。

男子100m自由形S14決勝を終えた東海林大(三菱商事)「今日の悔しい気持ちを忘れずに平常心で臨みたい」 写真・秋冨哲生

ジャパンパラ水泳競技大会は、明日23日まで。東京パラリンピック出場の残り22枠をめぐって、選手たちが白熱したレースを展開する。

(写真取材・秋冨哲生、校正・佐々木延江)

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