関連カテゴリ: Tokyo 2020, イベント, オンライン観戦会, コラム, トラック・フィールド, 取材者の視点, 周辺事情, 夏季競技, 東京, 義足アスリート, 陸上 — 公開: 2021年8月27日 at 8:42 AM — 更新: 2021年9月9日 at 2:13 PM

義足エンジニア・遠藤謙による「東京パラ注目の義足アスリートの見どころ!(男性編)」

アラン・オリベイラ(ブラジル、29歳)

彼を語る上で、欠かせないのが南アフリカの両足義足のオスカー・ピストリウス選手です。彼はロンドンオリンピックで歴史上初めてオリンピックに出場した義足アスリートとなりました。ピストリウス選手は北京パラリンピックでは、100m,200m, 400mで金メダルをとり、当時は敵なしの状態でした。そんな中、ロンドンオリンピックでも活躍をし、ロンドンパラリンピックでも彼の活躍を多くの人が期待していた中、彼を200mで破ったのがアランオリベイラ選手でした。負けた後、オスカー・ピストリウス選手はオリベイラ選手の義足の長さについて苦言を吐いていましたが、オリベイラ選手は当時のレギュレーションの範囲内での長さで走っていました。その後、2019年のシーズンから長さに関するレギュレーションが変わったのは有名な話です。彼はロンドンパラリンピックでは100mでは11.33で7位という成績でした。

https://note.com/kenendo/n/n5d943ca244f2

 

2012年ロンドン パラリンピック

200m決勝

100m決勝

ロンドンの100mの決勝レースをみて分かる通り、彼はスタートでクラウチングではなくスタンディングの状態からスタートします。両足がブレードで不安定なため、より安全なスタンディングでのスタートを選んだと思われます。それでも彼がスタート時動いてしまったため、不正スタートとなりやり直しになっています。それだけ、スタートは特に両足義足の選手にとっては難しいものなのです。さらにスタートから20m~30mの加速も片足が健足の選手とは違い、地面を能動的にけることができないため、一般的に遅れてしまうことが多いのです。ロンドンパラリンピックの決勝でも、スタートからだいぶ出遅れて後半伸びてくるものの、先頭まで届かないようなレース展開でした。

 

ロンドンではスタートでの出遅れでタイムも伸びませんでしたが、かれは2013年に10.70という世界記録を更新しており、実力的にはもっと速く走れる選手でした。それが証明されたのが、次の年のロンドンパラリンピックの一年後に行われたアニバーサリーゲームでした。彼は相変わらずのスタンディングからのスタートで、スタートは他の選手に比べ出遅れますが、後半圧倒的なスピードを見せつけ、10.57という驚異的な世界記録を作りました。この世界記録はクラス分けのレギュレションがT43からT62への変更に伴い、義足の長さのレギュレーションも変わったので、2016年クラス分けが変更された時点で消滅してしまいました。

 

2017年アニバーサリーゲーム

そして、その後はタイムが伸び悩み彼の体格は少し丸みを帯びてしまいます。2015年では銅メダル、2016年では予選落ちを期してしまいます。しかも予選通過タイムと同タイムの11.26で彼は明らかにスピードを緩めてゴールしているのが分かります。

 

2016年リオパラリンピック100m予選

そして、それから彼は世界の第一線からしばらく姿を消してしまいます。このまま引退してしまうのかと思っていた矢先、2021年のランキングで11.08という好タイムを出していました。そして、彼のインスタグラムを見ると元気に走っていることが分かります。

https://www.instagram.com/alanfonteles_oficial/

 

彼は若い時から世界の第一線で活躍し、何度も複数回世界記録を更新しました。その時に使用されていたのは当時のオスカー・ピストリウス選手も履いていた主流のOssur社のCheetahというブレードでした。このブレードの特徴は跳ねるという動作はしづらいのですがとにかく軽いことで、オリベイラ選手はこのブレードを最大限まで長い状態で義足に取り付け、ストライドを伸ばす戦略をとっていたと思われます。スタートが出遅れるのは、長い義足を扱う難しさが原因だと思われますが、トップスピードに乗った時の彼は本当に速いのです。そして、最近の彼のインスタグラムのポストを見ると、彼の足元にはOssur社のXtendが使用されています。義足を新調し、年齢もまだ29歳とこれから成熟期を迎える中、東京パラリンピックで世界の第一線への再起を目指しています。本番では、再び彼の本来の走りが見れることを今から楽しみです。

 

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