クラブチーム日本一を決める「第25回車いすラグビー日本選手権大会」は14日、最終日を迎えた。
決勝では8年ぶりの優勝を目指す古豪・BLITZと悲願の初優勝を狙うTOHOKU STORMERSが対戦。55-46でBLITZが勝利を飾った。
BLITZはパラリンピック5大会に出場経験のあるベテラン・島川慎一(3.0)のほか、ローポインターの長谷川勇基(0.5)や小川仁士(1.0)と、日本代表が多く在籍。中でも日本のエース・池崎大輔(3.0)の今シーズン新加入は「大型補強」として注目を集めた。
車いすラグビーは生涯スポーツへ
今大会は多くのクラブチームが「若手の育成」と位置づけ、若い選手を多く起用する中、BLITZは徹底的に「勝ち」にこだわった。実際に決勝でも「池崎ー島川ー小川ー長谷川」の日本代表ラインが試合時間の多くを占め、他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた。
さらに特徴的だったのが、年齢層の高さ。29歳の小川がチーム最年少であるほか、島川は48歳、池崎は45歳、元日本代表の田村学が(2.5)が49歳。元日本代表ヘッドコーチの荻野晃一(1.0)が57歳。さらには55歳の山村泰史(2.0)が21年ぶりに車いすラグビーの選手として復帰し、縦横無尽にコートを駆け回っていた。選手の平均年齢は41.8歳と、国内では2番目に高いチームとなった(1番高いのは北海道に拠点を置くSILVER BACKSの45.2歳)。
これについて島川は、「自分たちより上の世代が活躍していることが刺激になるし、今のBLITZが最高に楽しい。アメリカでは70代の選手もいるので、代表にいつまで残れるかどうかは別にしても、いくつになってもできる競技だと思う」。
山村は「心身の健康を維持できるし、若い子たちとも触れ合えて元気が出る。体が続く限り、続けていきたい」と話していた。
準優勝のTOHOKU STORMERSは「来年こそリベンジ」
敗れたTOHOKU STORMERSは2年連続の準優勝。今大会のテーマを「執着」とし、最後まで粘り強いプレーを見せたが、BLITZの前に一歩及ばなかった。
大会MVPに選ばれた橋本勝也(3.5)は「BLITZの強さに圧倒されずにやっていこうと臨んだが、相手のペースに持っていかれてしまった。来年こそはリベンジできるように頑張りたい」と振り返った。
また、今年の夏はパリパラリンピックが控え、日本悲願の金メダルが期待されている。「チームとしてはもちろん、個人としての課題もたくさんある。1つ1つクリアしていけば届くと思うので、焦らず着実に取り組んでいく」と橋本はパリを見据えた。
車いすラグビーのパリパラリンピックの決勝は、9月2日に行われる。
(写真提供・内田和稔 校正・佐々木延江)