パリパラリンピックに出場する車いすラグビー日本代表のメンバーがこのほど決定し、7月8日に都内で記者会見が行われた。
日本代表は12人中11人が東京パラリンピックのメンバーで、初選出は23歳の草場龍治(1.0/Fukuoka DANDELION)のただ一人。
一見前回と同じようなメンバーに見えるが、22歳のニュースター・橋本勝也(3.5/TOHOKU STORMERS)を筆頭に若手選手のプレータイムが大幅に増加。「誰が試合に出ても劣らない」ことが日本の強みだ。

会見はメディアの他、協賛各社や抽選で当選したファンも参加。
開始に先立ってMCが選手の名前を読み上げると、大きな拍手の中、1人1人の選手が順番に会場内に登場した。大会本番で使用されるユニフォームの発表が行われた後、選手たちの会見が開始が始まった。

車いすラグビー日本代表HCは昨年、2017年から指揮を執ってきたケビン・オアーが体調不良のため退任。現・岸光太郎HCはロンドン・リオの代表メンバーで、現在でもクラブチームでは選手として活動している。

岸HCは会見の冒頭で「今まで選ばれる立場だったのが、選ぶ立場に変わった。立場が変わると見え方が全然違い、いろいろなことを考えて12人を選んだ」とヘッドコーチとしての実感を吐露。
また、どのラインナップ(選手の組み合わせ)で戦っても勝負できる日本の強みについては、「切っても切っても断面が同じ”金太郎飴”のようなものだ」と独特の比喩で表現した。

2019年から日本代表の副キャプテンを務める羽賀理之(2.0/AXE)は現在のチーム状況について、「一見、世代交代ができていないように見えているかもしれないが、見方を変えれば、長く一線で戦えるハイレベルな選手が同じ時期に一堂に会し、プレーできているということ。このチャンスをものにして、金メダルを狙っていきたい」と話した。

今回の選出で注目を浴びているニューフェイスの草場は、まだ競技歴4年。
当初は「2028年のロスに出られたら」という目標を掲げていたが、昨年パリへの切符を決めた「2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」(東京体育館)をスタンドで観戦し、パリへの思いが大きくなったという。
ローポインターとは思えないスピードと体幹を武器に、この1年で異例の”大出世”。海外のラグビーファンからも「素晴らしい選手だ」と絶賛されているほどだ。
普段はシャイで口数の少ない草場はこの日の会見で、代表に選ばれた気持ちを聞かれると、「世界で戦えるフィジカルやメンタルを普段から意識してトレーニングを頑張っている」。また勝負飯については「地元(福岡)の鳥刺しを食べて元気を出しています」と回答し、会場を沸かせていた。

パリパラリンピックの車いすラグビーは、エッフェル塔のそばに建設された「シャン・ド・マルス・アリーナ」で開会式翌日の8月29日から予選が開始。9月2日に決勝が行われる。
パリパラリンピック日本代表メンバー
選手
池透暢(3.0/Freedom ※キャプテン)
羽賀理之(2.0/AXE ※副キャプテン)
橋本勝也(3.5/TOHOKU STORMERS)
島川慎一(3.0/BLITZ)
池崎大輔(3.0/BLITZ)
中町俊耶(2.0/TOHOKU STORMERS)
乗松聖矢(1.5/Fukuoka DANDELION)
若山英史(1.0/Okinawa Hurricanes)
小川仁士(1.0/BLITZ)
草場龍治(1.0/Fukuoka DANDELION ※初選出)
長谷川勇基(0.5/BLITZ)
倉橋香衣(0.5F/AXE)
ヘッドコーチ
岸光太郎(0.5/AXE)
スタッフ
中谷英樹(アナリスト)
中尾由理(マネージャー)
土屋裕志(通訳)
中村奈津美(トレーナー)
川﨑淳(トレーナー)
川﨑芳英(メカニック)
樋口則之(看護師)
河津慶太(心理・村外スタッフ)
青田竜之介(広報・村外スタッフ)
(校正=佐々木延江、地主光太郎、そうとめよしえ 撮影=秋冨哲生)