
木村が100mバタフライS11銅メダル!

男子100mバタフライS11では、木村敬一(東京ガス)が銅メダルを獲得した。
「パリで国際大会のレベルがぐんと上がったところで、この速さにきちんとついていきたい。それが競技スポーツとして健全なことだと思うし、負けないようにしたい」と語った。

さらに「まだパリの休養から回復しきれていない部分はあるが、この高いレベルの競技がすごくいい刺激になった。これからも国際大会で戦っていきたい」と手応えを感じていた。
若手の挑戦を育てる

男子50m背泳ぎS5で田中映伍(東洋大学)が決勝進出。「ベストが出せました。練習してきたことを発揮できた。ただ、後半残り5メートルでばてることがわかった。課題にしていきたい」と振り返った。

1年間を通して指導した岸本太一コーチも「練習の多くを活かすことができ、世界との差も明確になった。成長が見える泳ぎだった」と評価した。
前田恵麻(福井工業大学)は、初めての世界選手権を泳いだ。200m個人メドレーSM9の予選・決勝とも7位だった。


「とにかく自分が世界とどう戦えるのかを知るために、今出せる力を全て出そうと思って泳ぎました」と振り返り、「決勝は落ち着いて泳げたけれど、世界の速い選手についていくのは難しい」と現実を見つめた。だが、その表情には次への挑戦がにじんでいた。
パリ銀メダリスト窪田に試練、荻原は前進

男子100m背泳ぎS8でパリ大会銀メダリストの窪田幸太(NTTファイナンス)は、4位。長く自己ベスト(01:05.56)に近づけないもどかしさがある。
一方、同種目で5位に入った荻原虎太郎(あいおいニッセイ)は「3年ぶりの7秒台。パリ後にレベルが上がった大会で5位になれたのはかなり嬉しい」と、手応えを感じていた。
苦闘と模索
齋藤元希(スタイル・エッジ)は初日から2種目に出場し、ともに決勝8位に終わった。「泳ぐ中で自分の可能性に気づく面があった」と前向きな言葉があった。

富田宇宙(EY Japan)は「自分でできる限界かなと感じた。チャンスはあったが環境の確保ができなかったことが大きなチャンスを逃した」と語り、「来年のアジア大会まで日本で競技を続けるために考えたい。400m自由形では必ず何かを持って帰れるように頑張りたい」と意欲をみせた。

早くも6つの世界記録が更新
2日間で各3つの世界記録が生まれた。男子150m個人メドレーSM2では、ブラジルのガブリエル・ドスサントス・アラウージョが3:16.26の世界新を樹立し、会場を沸かせた。この種目は競技人口が(重度の障害となり)少なく複数クラスが同時に開催されている。
日本チームは木村が銅メダルを収めつつも、パリ後の真の課題が見え始めた一日となった。若手が世界の舞台で手応えを得る一方、ベテランも復調や環境面の壁に挑んでいる。
アジア初開催の舞台は、世界の競技力の加速とともに、日本のパラ水泳に新たな問いを投げかけている。大会の模様はパラリンピック公式YouTubeチャンネルから世界中に配信されている。
(写真取材・秋冨哲生 校正・丸山裕理)






